207 / 230
起転承[乱]結Λ
66話 漢の浪漫。
しおりを挟む
美しきイェルク・ケルンテン子爵は旧帝都エゼキエルを訪れていた。
「おや、イェルク卿ではありませんか」
詩編大聖堂の正門を入ったところで、物陰から筋肉質な男が姿を現した。
「ロ、ロマン卿──」
得体の知れぬ笑みを顔貌に貼り付けたロマン・クルノフ男爵である。
トールから命ぜられるままに領邦の中立を保ち、インフィニティ・モルディブの利益率拡大に血道を上げるロマン男爵も此度のコンクラーヴェ招集に応じていた。
無論、トール・ベルニクの許可を取った上だが──。
──"ええ。ご自由にどうぞ。"
トールはコンクラーヴェの成り行きなど興味が無かったのだ。
──"ですけど、ロマン卿は異端審問を受けるところだったでしょう?"
──"そ、そうなのですが、今回のコンクラーヴェに応じれば、私の過去は不問に付すと言われましてな。"
──"わぁ、良かったですね。アハハ。"
かような次第で旧帝都を訪れたロマンは、詩編大聖堂の正門で想い人の到来を心待ちにしていたのだ。
「久方ぶりですな」
と、弾む声音で告げた。
「卿の邦許が何やら騒がしいと聞いておりますが、さすがは信仰篤きイェルク卿と感服致しましたぞ」
「い、いえ、そういう訳ではないのです──」
大仰なロマンの世辞に対し、イェルクは苦笑を浮かべる。
ケルンテン領邦ではエカテリーナ・ロマノフ率いる先遣隊が本隊の駐留準備を整え、いよいよ十万隻近い連合艦隊が動き出すと噂されていた。
故に、疑義あるコンクラーヴェに参集しないという選択肢もあったのである。
「どうにも、動きが緩慢なのです」
「──と言いますと?」
「先遣隊はとうに準備を終えているようですが、未だに連合艦隊はオソロセアに駐留したままでして……」
「ほう」
行動の速さに定評あるトール・ベルニクが関わっておきながら珍しい──と、ロマンは内心で不審を感じていた。
──そういえば今次はロスチスラフ侯が率いるのだったな。
──となると、自身が連合艦隊総司令官ではないと臍を曲げたか……。
──いや、そういう類の男ではないな……。
業火に包まれるプロヴァンスを背に微笑む呑気な悪魔は、胸の大きさ以外に通俗的な欲を持ち合わせていない。
「そのような訳で戦まで猶予がありそうだと言う臣下の意見も多く、急ぎこちらに参った次第です。レオ猊下のお顔も立てておきませんと後々──」
と、イェルクは語尾を濁した。
「お気持ち、痛いほどに解りますぞ……。我等の如く小領は、常に煮え湯を飲まされる」
「ええ──とはいえ、ロマン卿は全てをご自分で差配なされる。実に羨ましい事です」
イェルクは家臣達の派閥力学を無視できない己の非力を嘆いていた。
譜代の家臣を置かず顧問団のみとするロマンに対して、予てより尊崇の念を抱いていたのだ。
つまり、ロマンの気分を真に良くしてくれる相手である。
「ハハハハ、気苦労が絶えませんぞ。我がロマン街道は」
美しきイェルクの双眸に浮かぶ潤みが、彼の気持ちをより昂らせていく。
──ううむ、違うところも昂って参ったわい。
──聖堂閉居となる今宵まで待ちきれぬ──どれひとつ軽く──ふふふ。
辺りに人影の無い事を確認しつつ、ロマン男爵が指先を尻へ伸ばした時──、
「おやおや、陽はまだ高うございますぞ」
二人が密談を交わしていた正門傍の物陰のさらに奥、植林された大樹の向こう側から聖職衣に身を包んだ老人が姿を現した。
「励まれるのは夜にされよ。フホ、フホホ」
大司教パリスである。
◇
「ようやく、エロ爺も詩編大聖堂に入ったぜ。妙に楽しそうにしてやがったけど」
「──ふうん。って事は、不埒な現場でも見付けたんじゃないかね」
安楽椅子に腰かけたミセス・ドルンは、杖のように見える細い棒を磨きながら応えた。
「だろうな」
スプリングの硬いベッドの上で胡坐をかいていたテルミナは、そのまま横に倒れ込んでミセス・ドルンの様子を眺めた。
旧帝都ハイエリアから遠く離れた地区の安モーテルで宿泊して一週間以上が過ぎている。
独りを好むテルミナが見ず知らずの老婆と同室を受け入れた理由は、祖母と孫の巡礼という設定にリアリティを持たせる為だった。
戒厳令下で宿の主人に疑惑を抱かせたなら一巻の終わりなのである。
「しかしさ、婆さん──」
「ミセス・ドルンとお呼び」
厳しい声音で告げた後に老婆は、磨いていた杖をテルミナへ向けた。
「何度言っても改まらない小娘だね」
「何度言っても改めねぇよ」
「なかなか、面白いじゃないか」
ミセス・ドルンが片頬を上げる。
「おうおう、婆が棒切れでポコポコ殴ろうってか? テメェは不殺の誓いでもしてんのかよ」
小馬鹿にした口調でテルミナは嘯くと、枕元に置いたバヨネットの柄に手を伸ばした。
「そんな間抜けな誓いをアタシが立てる謂れはないだろう?」
「ハンッ、棒切れの分際で──」
だが、テルミナの言い掛けた悪態は、狭い客室に響いた鋭い金属音に遮られる。
「──!」
ミセス・ドルンが人差し指で持ち手を軽く叩くと、杖の先から飛び出した錐の尖端がテルミナの鼻先に突き付けられている。
錐の筒部分に細かい棘が散りばめられており、引き抜く際に筋組織や内臓へさらなる損傷を与える形状となっていた。
「ちっ。礼儀作法がどうのこうのと怪しい婆だったが、パリスの話は噓八百かよ?」
「一から十まで本当だよ。ちょいと前まではベルニクで、今はフェリクスで礼儀作法を教えてる。ここへは馬鹿女の尻を蹴り上げに来ただけさ」
「婆の礼儀が一等劣悪じゃねぇか。そもそも、クルノフで何してやがった?」
大司教パリスの聖巡船は、クルノフの邦都へ老婆を迎えに行ったのだ。
「ふん。野暮用さね」
「そう言う奴が──」
顎を引き錐先から距離を取りつつ愛用のバヨネットを握った。
「──結局、極悪人なんだよッ!」
左脚の踵でベッドを蹴り上げ勢いそのまま横転し、素早く体勢を立て直すとバヨネットを眼前に構えた。
ミセス・ドルンも老婆とは思えぬ機敏さで既に椅子から立ち上がっており、仕込み杖を構える姿には一分の隙も見られない。
古びた安ベッドを挟む幼女と老婆が剥き身の刃を向け合い対峙するシュールな光景となった。
だが──、
「──っとに、いつも妙なタイミングを狙う野郎だな」
忌々し気に呟くテルミナが項に触れると、剣呑な二人の間に照射モニタが現れた。
「やあ、どうも。元気そうですね」
一触即発な幼女と老婆という状況に狼狽える様子もなく、照射モニタに写るトール・ベルニクは笑顔で何度か頷いている。
最高度のセキュアプロトコルを使用している為にブロックノイズの目立つ映像だが、月面基地の司令官室とテルミナにも分かった。
「誰かと思えば、噂の伯爵閣下じゃないか」
老いたりとはいえ褪せぬ好奇に満ちた隻眼の瞳を光らせる。
その輝きだけは少女時代から何も変わらない。
「こいつは光栄だね」
「いえいえ、ボクの方こそ光栄です。だって──」
おや、という表情を浮かべたテルミナの顔貌が二人の間を往復した。
「ひとつ目殿にお会いできた訳ですからね!」
「お前──」
その名を口にして良い人間は限られる。
「この前プロイスを訪れた際に、ボクも秘密結社である七つ目に混ぜてもらったんです。妙な儀式も済ませましたよ」
「──ディアだね──まったく、線香臭い娘っ子が勝手な事を──」
「よろしくお願いします。ひとつ目殿!」
クラウディア方伯夫人からの申し出以来、トールは心秘かに張り切っていたのだ。
──これって浪漫だよね。
由緒正しき秘密結社の一員になったのである。
「おや、イェルク卿ではありませんか」
詩編大聖堂の正門を入ったところで、物陰から筋肉質な男が姿を現した。
「ロ、ロマン卿──」
得体の知れぬ笑みを顔貌に貼り付けたロマン・クルノフ男爵である。
トールから命ぜられるままに領邦の中立を保ち、インフィニティ・モルディブの利益率拡大に血道を上げるロマン男爵も此度のコンクラーヴェ招集に応じていた。
無論、トール・ベルニクの許可を取った上だが──。
──"ええ。ご自由にどうぞ。"
トールはコンクラーヴェの成り行きなど興味が無かったのだ。
──"ですけど、ロマン卿は異端審問を受けるところだったでしょう?"
──"そ、そうなのですが、今回のコンクラーヴェに応じれば、私の過去は不問に付すと言われましてな。"
──"わぁ、良かったですね。アハハ。"
かような次第で旧帝都を訪れたロマンは、詩編大聖堂の正門で想い人の到来を心待ちにしていたのだ。
「久方ぶりですな」
と、弾む声音で告げた。
「卿の邦許が何やら騒がしいと聞いておりますが、さすがは信仰篤きイェルク卿と感服致しましたぞ」
「い、いえ、そういう訳ではないのです──」
大仰なロマンの世辞に対し、イェルクは苦笑を浮かべる。
ケルンテン領邦ではエカテリーナ・ロマノフ率いる先遣隊が本隊の駐留準備を整え、いよいよ十万隻近い連合艦隊が動き出すと噂されていた。
故に、疑義あるコンクラーヴェに参集しないという選択肢もあったのである。
「どうにも、動きが緩慢なのです」
「──と言いますと?」
「先遣隊はとうに準備を終えているようですが、未だに連合艦隊はオソロセアに駐留したままでして……」
「ほう」
行動の速さに定評あるトール・ベルニクが関わっておきながら珍しい──と、ロマンは内心で不審を感じていた。
──そういえば今次はロスチスラフ侯が率いるのだったな。
──となると、自身が連合艦隊総司令官ではないと臍を曲げたか……。
──いや、そういう類の男ではないな……。
業火に包まれるプロヴァンスを背に微笑む呑気な悪魔は、胸の大きさ以外に通俗的な欲を持ち合わせていない。
「そのような訳で戦まで猶予がありそうだと言う臣下の意見も多く、急ぎこちらに参った次第です。レオ猊下のお顔も立てておきませんと後々──」
と、イェルクは語尾を濁した。
「お気持ち、痛いほどに解りますぞ……。我等の如く小領は、常に煮え湯を飲まされる」
「ええ──とはいえ、ロマン卿は全てをご自分で差配なされる。実に羨ましい事です」
イェルクは家臣達の派閥力学を無視できない己の非力を嘆いていた。
譜代の家臣を置かず顧問団のみとするロマンに対して、予てより尊崇の念を抱いていたのだ。
つまり、ロマンの気分を真に良くしてくれる相手である。
「ハハハハ、気苦労が絶えませんぞ。我がロマン街道は」
美しきイェルクの双眸に浮かぶ潤みが、彼の気持ちをより昂らせていく。
──ううむ、違うところも昂って参ったわい。
──聖堂閉居となる今宵まで待ちきれぬ──どれひとつ軽く──ふふふ。
辺りに人影の無い事を確認しつつ、ロマン男爵が指先を尻へ伸ばした時──、
「おやおや、陽はまだ高うございますぞ」
二人が密談を交わしていた正門傍の物陰のさらに奥、植林された大樹の向こう側から聖職衣に身を包んだ老人が姿を現した。
「励まれるのは夜にされよ。フホ、フホホ」
大司教パリスである。
◇
「ようやく、エロ爺も詩編大聖堂に入ったぜ。妙に楽しそうにしてやがったけど」
「──ふうん。って事は、不埒な現場でも見付けたんじゃないかね」
安楽椅子に腰かけたミセス・ドルンは、杖のように見える細い棒を磨きながら応えた。
「だろうな」
スプリングの硬いベッドの上で胡坐をかいていたテルミナは、そのまま横に倒れ込んでミセス・ドルンの様子を眺めた。
旧帝都ハイエリアから遠く離れた地区の安モーテルで宿泊して一週間以上が過ぎている。
独りを好むテルミナが見ず知らずの老婆と同室を受け入れた理由は、祖母と孫の巡礼という設定にリアリティを持たせる為だった。
戒厳令下で宿の主人に疑惑を抱かせたなら一巻の終わりなのである。
「しかしさ、婆さん──」
「ミセス・ドルンとお呼び」
厳しい声音で告げた後に老婆は、磨いていた杖をテルミナへ向けた。
「何度言っても改まらない小娘だね」
「何度言っても改めねぇよ」
「なかなか、面白いじゃないか」
ミセス・ドルンが片頬を上げる。
「おうおう、婆が棒切れでポコポコ殴ろうってか? テメェは不殺の誓いでもしてんのかよ」
小馬鹿にした口調でテルミナは嘯くと、枕元に置いたバヨネットの柄に手を伸ばした。
「そんな間抜けな誓いをアタシが立てる謂れはないだろう?」
「ハンッ、棒切れの分際で──」
だが、テルミナの言い掛けた悪態は、狭い客室に響いた鋭い金属音に遮られる。
「──!」
ミセス・ドルンが人差し指で持ち手を軽く叩くと、杖の先から飛び出した錐の尖端がテルミナの鼻先に突き付けられている。
錐の筒部分に細かい棘が散りばめられており、引き抜く際に筋組織や内臓へさらなる損傷を与える形状となっていた。
「ちっ。礼儀作法がどうのこうのと怪しい婆だったが、パリスの話は噓八百かよ?」
「一から十まで本当だよ。ちょいと前まではベルニクで、今はフェリクスで礼儀作法を教えてる。ここへは馬鹿女の尻を蹴り上げに来ただけさ」
「婆の礼儀が一等劣悪じゃねぇか。そもそも、クルノフで何してやがった?」
大司教パリスの聖巡船は、クルノフの邦都へ老婆を迎えに行ったのだ。
「ふん。野暮用さね」
「そう言う奴が──」
顎を引き錐先から距離を取りつつ愛用のバヨネットを握った。
「──結局、極悪人なんだよッ!」
左脚の踵でベッドを蹴り上げ勢いそのまま横転し、素早く体勢を立て直すとバヨネットを眼前に構えた。
ミセス・ドルンも老婆とは思えぬ機敏さで既に椅子から立ち上がっており、仕込み杖を構える姿には一分の隙も見られない。
古びた安ベッドを挟む幼女と老婆が剥き身の刃を向け合い対峙するシュールな光景となった。
だが──、
「──っとに、いつも妙なタイミングを狙う野郎だな」
忌々し気に呟くテルミナが項に触れると、剣呑な二人の間に照射モニタが現れた。
「やあ、どうも。元気そうですね」
一触即発な幼女と老婆という状況に狼狽える様子もなく、照射モニタに写るトール・ベルニクは笑顔で何度か頷いている。
最高度のセキュアプロトコルを使用している為にブロックノイズの目立つ映像だが、月面基地の司令官室とテルミナにも分かった。
「誰かと思えば、噂の伯爵閣下じゃないか」
老いたりとはいえ褪せぬ好奇に満ちた隻眼の瞳を光らせる。
その輝きだけは少女時代から何も変わらない。
「こいつは光栄だね」
「いえいえ、ボクの方こそ光栄です。だって──」
おや、という表情を浮かべたテルミナの顔貌が二人の間を往復した。
「ひとつ目殿にお会いできた訳ですからね!」
「お前──」
その名を口にして良い人間は限られる。
「この前プロイスを訪れた際に、ボクも秘密結社である七つ目に混ぜてもらったんです。妙な儀式も済ませましたよ」
「──ディアだね──まったく、線香臭い娘っ子が勝手な事を──」
「よろしくお願いします。ひとつ目殿!」
クラウディア方伯夫人からの申し出以来、トールは心秘かに張り切っていたのだ。
──これって浪漫だよね。
由緒正しき秘密結社の一員になったのである。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』
月神世一
SF
【あらすじ】
「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」
坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。
かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。
背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。
目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。
鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。
しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。
部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。
(……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?)
現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。
すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。
精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。
これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる