クリムゾン・ウィッチ

なつき

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序章

紅の魔女

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夕暮れには家にお帰り。
紅の魔女がやってくる前に。
子供に聞かせるお伽噺。
国の誰もが知っている有名なお話。

かつて王国は他国の軍勢に襲われた。
その数、約一万。
王国軍は必死に応戦したが、あわや落城寸前まで追い詰められた。
その危機に現れたのは一人の魔女。
魔女は人智を越えた力を以て敵国の軍勢をあっという間に攻め滅ぼした。
敵兵の血に染まった魔女を、人々は畏れと敬いを以てこう呼んだ。
紅の魔女【クリムゾン・ウィッチ】と。

魔女によりもたらされた平和から百年。
王国は近隣諸国にひけをとらぬ栄華を誇る大国となった。
今は伝説でしか知られぬ紅の魔女。
その姿を知る者はいない。
ただ伝承だけが語り継がれる。

夕暮れには家にお帰り。
紅の魔女がやってくる前に。
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