明けぬ夜には翡翠色の灯火を~愛を知らないヴァンパイアが愛を知ったら溺愛されるようになりました~

あんみつ~白玉をそえて~

文字の大きさ
12 / 34

ただの食事、いつもの食事

しおりを挟む
出立の日、リエルは身につけたものの総額を改めて計算して固まっていたが、上空に登れば、前と同じくきゃっきゃとはしゃいでいた。

宿について互いにおやすみと言ったあと、慌てた様子でリエルが部屋へと入ってきた。

「そんなに慌ててどうした」
「今日、血を吸って貰う日でした!」

さあどうぞと言わんばかりに、肩を出して私の前に立つ。初めて吸血した日から、あの約束は一度も忘れず続いていた。変わったことといえば、リエルが恥ずかしいからと言って後ろから吸血するよう望んだくらいか。しかしその願いからもしばらく経つ。私たちはいつも通り、何一つ変わりなく、捕食する側とされる側として、私は首筋に噛み付いた。
ただ一つ違ったのは、目の前に鏡があったこと。ただそれだけ。

吸血鬼は鏡に映らない。だけれど人間は写る。そう、写ってしまう。私はその時初めて見たのだ。吸血時の、リエルの顔を。
プスリと歯を突き立てた瞬間、漏れる呻きと一気に上気する頬。血を吸われれば吸われるほど、目を細め、体を震わせ、吐息が激しくなる。この表情を、私はどこかで見たことがある。そうだ、あの。
思い出した瞬間、私はリエルをベッドに押し倒していた。困惑したような素振りを見せつつも、まだリエルは恍惚とした表情に溺れている。ペロリと口の端から垂れた血液を舐める。リエルは一層昂った表情を浮かべた。

「吸血される時、お前はいつもこのような表情をしていたのか?」

耳元で囁けばリエルは顔を真っ赤にして、先程までとは打って変わった、幼い表情を見せる。けれどそれすら、今の私には興奮を掻き立てる要因にしかならない。

「私は食事をしていただけなのに……お前は毎度あんなにもいやらしい顔を浮かべていたのだな」

ふっと耳元に息を吹きかけると、面白いくらいリエルの体が跳ねる。

「そういえばお前は当初、俺を愛していると言っていたな。もしやこの半年間、ずっとこうなることを期待していたのではないか?……ふははっ、素直なのは変わらないな」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

創作BL短編集

さるやま
BL
短編まとめました。 美形×平凡、ヤンデレ、執着・溺愛攻め多め

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

処理中です...