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愛されない、それが普通

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「お前を愛することはない」

その言葉通りに、私の新婚生活は続いた。旦那様が行くのはいつも異世界から来たとかいう素性のよく分からない女、リサ様の元。対する私は1週間に1度、言葉を交わせばよい方。メイドからの哀れみの視線。執事からの呆れた目線。みんなみんな、慣れてしまった。生まれつき大柄な私に対して、異世界から来たという女は小さくて小さくて。抱きしめたら折れてしまいそうなくらい華奢で。自分の身長の高さを酷く呪った。旦那様よりいくらか小さいだけの私。今まで出会ったどの女性よりも、時には男性よりも、背の高い私。
でももしかしたら今日は。気が変わって今日は。私のことを愛してくださるかもしれない。その一心で身支度を整え、旦那様の代わりとして夜会に赴く……その間、旦那様はあの女の所。仕事をこちらに出来るだけ押し付けあの女と逢瀬を重ねている。
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