【本編完結】政略結婚したのっぽの私はどうやらそのお兄様に溺愛される運命にあるようです

あんみつ~白玉をそえて~

文字の大きさ
26 / 26
後日談

本音6

しおりを挟む
現地に着いてからは、なるべくシオン様の行きたい所へ行った。たった3日間、されど3日間。なんだか、彼の笑みが変わってきたように思えた。

「帰りはまたあのクルーザーに乗るんですよね?」

現地のホテルで膝枕しながら、彼のふわふわの髪を撫でながら、聞く。

「うん、そうだよ」
「それなら、今から考えておいてくださいね?何がしたいか。シオン様は、もっとワガママになっていいんです」
「ワガママ、かあ……うーん、難しいな。だって僕が望むただ一つは、もう既にあるんだもの」

そっと手を取られ、婚約指輪に口付けされた。それが紛れもない彼の本心だとわかっているから、何も言い返せない。

「……あ、じゃあひとつ。このままキスして?」

自分から言い出したものの、真正面から言われると何となく気恥ずかしくなって。私は頬にキスを落とす……文句を言われるとわかっていて。ほら、やっぱり。

「もう、意地悪だなあ。ここにして欲しい……言わなきゃわかんない?」

唇をとんとんと指さされる。

「……目、閉じててくださいね?」
「それは約束出来ないなあ、だって君のキスする時の顔、真っ赤で可愛いんだもの……それに、今思えばこの旅行中、君からまだ一度もキスされてないし」

はっきり言葉にされると、余計顔が熱を持つ。そのままなかなか踏ん切りがつかずにいると、しょうがないなあとシオン様が起き上がった。
何をするのかと思えば、そのまま目を瞑って制止する。何事かと考えていると、その疑問に答えるようにシオン様が言った。

「今回は目、閉じてるよ。だから……ね?」

そこから微動だにしないシオン様。何の気なしに、その顔を眺める。すっと通った鼻筋に、薄い形のいい唇。鍛え上げられた筋肉は分厚くて、でも実用的につけられているのがわかる。グレーの髪色は、本人的には気に入っていないようだけれど、何の変哲もない私のただの金髪からしてみれば、綺麗で美しい。こんなにかっこいい人が、私なんかを愛してくれている……幸せ、だなあ。そんな風に考えていると、シオン様がじれったそうに瞳を開けた。

「もう!躊躇が長いよ~」
「ご、ごめんなさい!思わず見惚れてしまって……」

頬をかけば、シオン様がまた固まった。ただし今回は、顔が真っ赤だ。

「し、シオン様?私何かまたおかしなことでも……?」
「……僕、かっこいい?」

髪の毛で顔を覆うシオン様。これにはすぐに答えられた。

「はい、とっても!」
「~~っ!」

本当、君には適わないなあ。

なにか言った気がしたけれど、次の瞬間には押し倒されていて、それどころではない。

「煽ったのは、君だからね?」

意地悪そうに微笑むシオン様に心当たりがないと言っても通じるわけなくて。私はそのまま「わがまま」に付き合わされることになった。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

王太子妃専属侍女の結婚事情

蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。 未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。 相手は王太子の側近セドリック。 ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。 そんな二人の行く末は......。 ☆恋愛色は薄めです。 ☆完結、予約投稿済み。 新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。 ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。 そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。 よろしくお願いいたします。

1度だけだ。これ以上、閨をともにするつもりは無いと旦那さまに告げられました。

尾道小町
恋愛
登場人物紹介 ヴィヴィアン・ジュード伯爵令嬢  17歳、長女で爵位はシェーンより低が、ジュード伯爵家には莫大な資産があった。 ドン・ジュード伯爵令息15歳姉であるヴィヴィアンが大好きだ。 シェーン・ロングベルク公爵 25歳 結婚しろと回りは五月蝿いので大富豪、伯爵令嬢と結婚した。 ユリシリーズ・グレープ補佐官23歳 優秀でシェーンに、こき使われている。 コクロイ・ルビーブル伯爵令息18歳 ヴィヴィアンの幼馴染み。 アンジェイ・ドルバン伯爵令息18歳 シェーンの元婚約者。 ルーク・ダルシュール侯爵25歳 嫁の父親が行方不明でシェーン公爵に相談する。 ミランダ・ダルシュール侯爵夫人20歳、父親が行方不明。 ダン・ドリンク侯爵37歳行方不明。 この国のデビット王太子殿下23歳、婚約者ジュリアン・スチール公爵令嬢が居るのにヴィヴィアンの従妹に興味があるようだ。 ジュリエット・スチール公爵令嬢18歳 ロミオ王太子殿下の婚約者。 ヴィヴィアンの従兄弟ヨシアン・スプラット伯爵令息19歳 私と旦那様は婚約前1度お会いしただけで、結婚式は私と旦那様と出席者は無しで式は10分程で終わり今は2人の寝室?のベッドに座っております、旦那様が仰いました。 一度だけだ其れ以上閨を共にするつもりは無いと旦那様に宣言されました。 正直まだ愛情とか、ありませんが旦那様である、この方の言い分は最低ですよね?

女王は若き美貌の夫に離婚を申し出る

小西あまね
恋愛
「喜べ!やっと離婚できそうだぞ!」「……は?」 政略結婚して9年目、32歳の女王陛下は22歳の王配陛下に笑顔で告げた。 9年前の約束を叶えるために……。 豪胆果断だがどこか天然な女王と、彼女を敬愛してやまない美貌の若き王配のすれ違い離婚騒動。 「月と雪と温泉と ~幼馴染みの天然王子と最強魔術師~」の王子の姉の話ですが、独立した話で、作風も違います。 本作は小説家になろうにも投稿しています。

隣国の王族公爵と政略結婚したのですが、子持ちとは聞いてません!?

朱音ゆうひ@11/5受賞作が発売されます
恋愛
「わたくしの旦那様には、もしかして隠し子がいるのかしら?」 新婚の公爵夫人レイラは、夫イーステンの隠し子疑惑に気付いてしまった。 「我が家の敷地内で子供を見かけたのですが?」と問えば周囲も夫も「子供なんていない」と否定するが、目の前には夫そっくりの子供がいるのだ。 他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n3645ib/ )

幼馴染み同士で婚約した私達は、何があっても結婚すると思っていた。

喜楽直人
恋愛
領地が隣の田舎貴族同士で爵位も釣り合うからと親が決めた婚約者レオン。 学園を卒業したら幼馴染みでもある彼と結婚するのだとローラは素直に受け入れていた。 しかし、ふたりで王都の学園に通うようになったある日、『王都に居られるのは学生の間だけだ。その間だけでも、お互い自由に、世界を広げておくべきだと思う』と距離を置かれてしまう。 挙句、学園内のパーティの席で、彼の隣にはローラではない令嬢が立ち、エスコートをする始末。 パーティの度に次々とエスコートする令嬢を替え、浮名を流すようになっていく婚約者に、ローラはひとり胸を痛める。 そうしてついに恐れていた事態が起きた。 レオンは、いつも同じ令嬢を連れて歩くようになったのだ。

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

婚約破棄された際もらった慰謝料で田舎の土地を買い農家になった元貴族令嬢、野菜を買いにきたベジタリアン第三王子に求婚される

さら
恋愛
婚約破棄された元伯爵令嬢クラリス。 慰謝料代わりに受け取った金で田舎の小さな土地を買い、農業を始めることに。泥にまみれて種を撒き、水をやり、必死に生きる日々。貴族の煌びやかな日々は失ったけれど、土と共に過ごす穏やかな時間が、彼女に新しい幸せをくれる――はずだった。 だがある日、畑に現れたのは野菜好きで有名な第三王子レオニール。 「この野菜は……他とは違う。僕は、あなたが欲しい」 そう言って真剣な瞳で求婚してきて!? 王妃も兄王子たちも立ちはだかる。 「身分違いの恋」なんて笑われても、二人の気持ちは揺るがない。荒れ地を畑に変えるように、愛もまた努力で実を結ぶのか――。

処理中です...