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ヴィーの日記

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5月某日 ~ヴィーの日記~
今日は共通イベントである薬草狩りがあった。が、私の目標であったリーシェンとフィリちゃん、それに私というグループを形成することはかなわなかった。
進展が1つ。不思議なことが2つ。
まず、確実にリーシェンとの仲が深まった。これは大きな進展だ。それに何よりただただ嬉しい!!!これ、前世の私が知ったら卒倒するだろうなあ……前世といえば、また1つ。最近前世のことを思い出す回数が減った、明らかに。羽村美穂音として生きた15年間という数字は変わらないのに、ヴィーとして生きた時間は増え続けるばかりだからだろう。そう思えば、当然だが、やはり抵抗感はあった。生まれ年、日本の文化、風習、少しづつ薄らいでいく。両親の声は、もう朧げだ。東京、大阪、名古屋。ああ、沖縄とか行けなかったなあ。本州出たことない私が世界から飛び出したってどういうことよ。意味不明。
そう、で、不思議なことは、一に私の魔法が効かなかったこと。二にあの不気味な声。そもそも魔法の成否の条件としては、本人の慣れ、想いの込め方、自身に残存する魔力量、それに周辺に漂う魔力がある。まず慣れは、完璧にクリア。前日に練習したときも、番号は上手く切り替わったし、全く同じ方法でくじも作った。想いも込めた。十分すぎるくらい。自身の魔力量も問題なし。あの日魔法を使ったのはあれが初めてだったし、前日も魔法を使うのをセーブして、魔力の回復をした。最後に辺りに漂う魔力。この世界は魔力が動力源となってインフラが整備されている。ぶっちゃけた話、魔力量底なしという隠しキャラがこの原動力なのだが、まあそれは置いておいて。そのため節々から漏れ出した魔力が常にその辺りを漂っている。反対に人口的に供給されない魔力は自然の多いところから発生する。薬草狩りの舞台である学校裏の森。ここは魔力濃度が高く、初心者でも魔法が成功しやすいと教師が前に言っていた。だから、最後の条件もクリア。
さて、やはり失敗する原因は思い当たらない。たまたま?でもそんな理由で魔法は失敗するものなのか?……まあだが、起きたことはどうしようもない。私は魔法に失敗した。そして原作通りのグループ分けとなった。
あと、学園長に褒められた!話は長いが学園長は大変すごい方で、この国の根幹を支える者の一人だ。この薬草狩りは毎年の事なのでもう一種の行事と化しているのだが、見回りついでに学園長もふらっと立ち寄る。その学園長に、薬草狩りが終わった後、君たちのグループは良く連携が取れていたし、獲得量も一番だった、すばらしい、と言われたのだ。原作では描かれなかったキャラだが、普通にいい人で私は好きだ。
次に、第二の不可解なことだが……これは本当に、わけがわからない。カウントダウン3。その言葉は今もはっきり思い出せるが、あの時私以外に動きが止まった者も、違和感を唱える者もいなかった。立ち眩みとかそのあたりか……?まあ、一瞬動けなくなった程度でそれ以外の害はなし。今後も似たようなことが起こらない限り、気のせいだと思っておいていいだろう。
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