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シエンとレウザン様

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「!やあ、レウザン」
「お前はいつも気付くのが速いな……そちら側からこちらは逆光で見えないだろう?何故わかる?」
「だって、全然魔力の感じが違うからね」

感じ、ねえ。とレウザン様が呆れたように言う。

「お前には何を聞いても基本その答えしか返ってこん。ほら、また教科書を持ってきた。せいぜいこれで語彙を増やせ」

……なるほど、あの大量のドリルに教科書は、レウザン様によるものか。

「それと、先週末家に帰ってお前のことを調べた……俺がまだ立ち入ることを禁止されている書庫がある。そこだろうと忍び込んでみたが、案の定だった」
「レウザンってこういう時意外と大胆だよねえ……」
「?バレなければ問題あるまい。それで、だ。お前の家と本当に代々交流があるのはわかった。過去の文献にも記されていた。アスターと、家名は言うそうだな」
「ああ、そういえばそうだねえ。苗字なんて聞かれないから忘れちゃってた」
「で、だ。もう一度聞きたい」

レウザン様の目つきが真剣なものへと変わる。

「もう本も読んだ、ある程度の教育も受けた。様々な人生があることがわかっただろう。その上で、お前は何を望む?」
「……色んな知識を得てね、私のご先祖様はこんなすごい人達の生活を支えていたんだって、感動した。それに、君たちが立派な人間だともわかった。君たちを思えばこそ、私はこの生活を誇らしく思うよ……願うとすれば、この世界の平和かな」

ゆっくりと、最後の一文だけ、私の方を見た気がした。

「……その気が変われば何時でも言え」
「こういう時はありがとう、だっけね。ああ、でも外の世界に興味は出たかな」

シエンはにこりと笑った。
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