映画感想 七月

ニーナ ローマの夏休み

　　夏休みのＢ面的過ごし方

　『ぼくの伯父さんの休暇』で、画角の広い、引きで撮った画面は上品で心地良いとしみじみ感じたのですが、この作品も同じく、構図の美しい、抜け感のある映像にうっとりします。
　夏休みになっても、旅行することなく、ローマ郊外の町に残って過ごす夏の時間。人気ひとけの少ない町は、寂しげというより、何かホッとしているようにも見えます。
　ヒロインは、歌を教えたり、預かった犬の散歩をしたり、ランニングをしたり（犬は連れて行かないんだね）、食事のかわりに６人分のケーキを食べたり、チェロ弾きの青年と恋をしたり、それなり充実した暮らしぶり。
　登場人物の繊細な心の機微だとか、セリフまわしだとか、説明しすぎることなく、丁寧にオシャレに描かれているのだけども、まずは映像と音楽の美しさ、閑散とした静かな町の開放感、倦怠感に、うっとりしたい。