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第35話 披露
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ミリアがこれほど強力な魔術師と知り、俺達は驚愕するとともに、彼女に対する認識を改めた。
通常の移動に関しても、
「長時間の歩行程度ならば問題はない、浮遊魔法があるから崖上りだって平気だ」
と聞かされ、足手まといどころか、最高戦力であると全員納得した。
この後、ミリアが凄まじい魔術を披露してくれたのに対抗? して、まずユナが自分の得意技を見せることになった。
「大疾空雷撃破!」
呪文と共にほとばしる、衝撃波を伴った凄まじい雷撃!
直撃を受けた人形は、火花をスパークさせながら飛び散り、バラバラに落ちて燃え広がった。
「舞氷雪千万!」
眼前に突如巻き起こる暴風雪が、飛び散って燃えている炎の破片を打ち消し、さらに地表を白く凍結させた……ミウの氷結呪文だ。
「……二人とも凄いじゃないか、雷撃系と氷結系の上級呪文……それを完璧に使いこなしている!」
ジフラールさんが目を見開いてそう声を上げた。
「……ミリア、ユナ、そしてミウ……優秀な魔術師に派手な呪文を使われたら、僕は霞んでしまうけど……それでも、新しくオルド様に貸して頂いた剣ならば、これぐらいはできるっ……延長剣突!」
ユアンが、持っていた長剣で渾身の突きを放つ……するとまるで銀の刀身が、その勢いのまま白く伸びるかのように輝き、そして十数メル離れた人形を串刺しにした。
……いや、別に刀身は伸びていない……ただ、純粋な刺突のエネルギーが伸びたのだ。
「……すごいね。その剣、無意識に魔力が込められるんだ……斬撃も放てる?」
魔導剣士のユナが、青年剣士に声をかけた。
「ああ、一日の使用回数は限られているけど……白光残波!」
ユアンが袈裟斬りに剣を振ると、白色に輝く刃の軌跡が、まるで意思を持つかのように突き進み、やはり十数メル離れた人形を斜めに切り裂いた。
「……凄いけど、鎧を着た相手には弱い、かな?」
「うん、最初の延長剣突なら貫けるものもあるだろうけどね」
平然とそんな会話をしているけど……皆、化け物か?
ユアンに関しては装備を変更したこともあるだろうけど……ミウまでもが……いや、そもそも真竜にトドメを刺したのは彼女か。
「……皆さん、すごいですね……私は攻撃魔法はほとんど使えないのですが、こういうのはどうでしょうか……誰祝於為輝!」
ジル先生がその呪文を唱えると、我々の周りにキラキラと白い光がまとわりついて……途端に気分が高揚し、体が軽くなるような感覚をおぼえた!
「……わあ、凄い! 攻撃支援魔法……さすがジル先生、こんなの使えるんですね!」
ユナも驚いている。
「正確には、疲労回復と士気高揚の複数人対象魔法です。本来は、山登りなどをした時の体力回復用……以前の真竜退治の時の反省から、新しく聖魔法書を購入して練習し、覚えたのです……見た目ほど劇的な効果ではないと思いますが、お役に立ちそうですか?」
「はい、それはもちろん! 実際の旅でも、ちょっとした戦闘よりも、長時間荒れた道を歩いたりしたときの方が疲労は厳しいですから!」
ユナは大喜びだ。
……ジル先生までこんな凄い魔法使うと、俺だけなんにもできないから落ち込んでしまう。
「……どうしたの、タク? 元気ないね……タクもなにか、やって見せてよ」
空気を読め、ユナ。お前等みたいな化け物じみた戦闘能力、俺が持っているわけ無いじゃないか!
「ほら、前に見せてくれたあの投擲! あの一番遠い人形、狙ってよ!」
俺の唯一の得意技、投擲の事か。
でも、凄く地味だと思うけど……。
俺が投擲用のナイフを取り出すと、ユナは
「ちょっと待って、そのナイフ見せて……うん、これでいいよ」
ユナは、何か微量の魔力をナイフに込めたようだが……まあ、あまり気にせず、百メルほど先にある人形めがけて、そのナイフを投げつけた。
綺麗な放物線を描きながら、それは人形の中心に突き刺さった。
「おおっ!」
という歓声が重なった。
……ものすごく地味だと思ったけど、みんな、派手な魔法並に驚いてくれるんだ……。
「さっき、目印の魔法を付与したから、絶好のターゲットになるわ……見てて!」
ユナはそう言うと、
「疾空雷破!……疾空雷破、疾空雷破!」
と、呪文を連発し、それらは全て、狙い違わず俺がナイフを突き刺した人形に命中した。
「さっきも言ったけど、目印となるようにちょっとだけ魔力を込めておいたの。だから、私はあまり狙いを定めなくても、放った魔法が自動的に誘導されたのよ」
ユナは得意げに話した。
なるほど、そういう使い方もあるのか……。
「すばらしい……よくこれだけの戦力が揃いましたな。上級冒険者パーティ……いや、それ以上に匹敵するではありませぬか。さすが剣聖オルド殿ですな」
デルモベート老公が褒め称える。
「いえ……私ではありません。全て、タクヤ殿の『縁結び』能力によるものです」
と、オルド公は謙遜する……って、俺?
「……なるほど、さすが儂が『えげつない』と認めた能力ですじゃ……これなら、ミリアを預けても大丈夫……いや、そうなる運命だったという事でしょうな」
「そういうことです……私も、ミウを旅に出すのは少し不安だと思っていましたが……大人であるジル先生もいらっしゃる。ここは、先生の占いの通り、彼等だけでアクテリオス殿の捜索の旅に出ていただきましょう」
……なんか、俺の能力が変に誤解されているような気がする。
俺のはあくまで、『理想の結婚相手』を見つけるだけなんだけど……。
若干の不安は感じたものの、今回の旅は『人捜し』で、その相手が居る場所も、だいたい見当がついている。
俺以外、戦闘および治癒能力の高い人たちが集まったし、それほど面倒な旅にはならない……俺は、そう考えていた。
そしてこれからこのメンバーで始まる旅を、楽しみにすら思っていたのだ。
通常の移動に関しても、
「長時間の歩行程度ならば問題はない、浮遊魔法があるから崖上りだって平気だ」
と聞かされ、足手まといどころか、最高戦力であると全員納得した。
この後、ミリアが凄まじい魔術を披露してくれたのに対抗? して、まずユナが自分の得意技を見せることになった。
「大疾空雷撃破!」
呪文と共にほとばしる、衝撃波を伴った凄まじい雷撃!
直撃を受けた人形は、火花をスパークさせながら飛び散り、バラバラに落ちて燃え広がった。
「舞氷雪千万!」
眼前に突如巻き起こる暴風雪が、飛び散って燃えている炎の破片を打ち消し、さらに地表を白く凍結させた……ミウの氷結呪文だ。
「……二人とも凄いじゃないか、雷撃系と氷結系の上級呪文……それを完璧に使いこなしている!」
ジフラールさんが目を見開いてそう声を上げた。
「……ミリア、ユナ、そしてミウ……優秀な魔術師に派手な呪文を使われたら、僕は霞んでしまうけど……それでも、新しくオルド様に貸して頂いた剣ならば、これぐらいはできるっ……延長剣突!」
ユアンが、持っていた長剣で渾身の突きを放つ……するとまるで銀の刀身が、その勢いのまま白く伸びるかのように輝き、そして十数メル離れた人形を串刺しにした。
……いや、別に刀身は伸びていない……ただ、純粋な刺突のエネルギーが伸びたのだ。
「……すごいね。その剣、無意識に魔力が込められるんだ……斬撃も放てる?」
魔導剣士のユナが、青年剣士に声をかけた。
「ああ、一日の使用回数は限られているけど……白光残波!」
ユアンが袈裟斬りに剣を振ると、白色に輝く刃の軌跡が、まるで意思を持つかのように突き進み、やはり十数メル離れた人形を斜めに切り裂いた。
「……凄いけど、鎧を着た相手には弱い、かな?」
「うん、最初の延長剣突なら貫けるものもあるだろうけどね」
平然とそんな会話をしているけど……皆、化け物か?
ユアンに関しては装備を変更したこともあるだろうけど……ミウまでもが……いや、そもそも真竜にトドメを刺したのは彼女か。
「……皆さん、すごいですね……私は攻撃魔法はほとんど使えないのですが、こういうのはどうでしょうか……誰祝於為輝!」
ジル先生がその呪文を唱えると、我々の周りにキラキラと白い光がまとわりついて……途端に気分が高揚し、体が軽くなるような感覚をおぼえた!
「……わあ、凄い! 攻撃支援魔法……さすがジル先生、こんなの使えるんですね!」
ユナも驚いている。
「正確には、疲労回復と士気高揚の複数人対象魔法です。本来は、山登りなどをした時の体力回復用……以前の真竜退治の時の反省から、新しく聖魔法書を購入して練習し、覚えたのです……見た目ほど劇的な効果ではないと思いますが、お役に立ちそうですか?」
「はい、それはもちろん! 実際の旅でも、ちょっとした戦闘よりも、長時間荒れた道を歩いたりしたときの方が疲労は厳しいですから!」
ユナは大喜びだ。
……ジル先生までこんな凄い魔法使うと、俺だけなんにもできないから落ち込んでしまう。
「……どうしたの、タク? 元気ないね……タクもなにか、やって見せてよ」
空気を読め、ユナ。お前等みたいな化け物じみた戦闘能力、俺が持っているわけ無いじゃないか!
「ほら、前に見せてくれたあの投擲! あの一番遠い人形、狙ってよ!」
俺の唯一の得意技、投擲の事か。
でも、凄く地味だと思うけど……。
俺が投擲用のナイフを取り出すと、ユナは
「ちょっと待って、そのナイフ見せて……うん、これでいいよ」
ユナは、何か微量の魔力をナイフに込めたようだが……まあ、あまり気にせず、百メルほど先にある人形めがけて、そのナイフを投げつけた。
綺麗な放物線を描きながら、それは人形の中心に突き刺さった。
「おおっ!」
という歓声が重なった。
……ものすごく地味だと思ったけど、みんな、派手な魔法並に驚いてくれるんだ……。
「さっき、目印の魔法を付与したから、絶好のターゲットになるわ……見てて!」
ユナはそう言うと、
「疾空雷破!……疾空雷破、疾空雷破!」
と、呪文を連発し、それらは全て、狙い違わず俺がナイフを突き刺した人形に命中した。
「さっきも言ったけど、目印となるようにちょっとだけ魔力を込めておいたの。だから、私はあまり狙いを定めなくても、放った魔法が自動的に誘導されたのよ」
ユナは得意げに話した。
なるほど、そういう使い方もあるのか……。
「すばらしい……よくこれだけの戦力が揃いましたな。上級冒険者パーティ……いや、それ以上に匹敵するではありませぬか。さすが剣聖オルド殿ですな」
デルモベート老公が褒め称える。
「いえ……私ではありません。全て、タクヤ殿の『縁結び』能力によるものです」
と、オルド公は謙遜する……って、俺?
「……なるほど、さすが儂が『えげつない』と認めた能力ですじゃ……これなら、ミリアを預けても大丈夫……いや、そうなる運命だったという事でしょうな」
「そういうことです……私も、ミウを旅に出すのは少し不安だと思っていましたが……大人であるジル先生もいらっしゃる。ここは、先生の占いの通り、彼等だけでアクテリオス殿の捜索の旅に出ていただきましょう」
……なんか、俺の能力が変に誤解されているような気がする。
俺のはあくまで、『理想の結婚相手』を見つけるだけなんだけど……。
若干の不安は感じたものの、今回の旅は『人捜し』で、その相手が居る場所も、だいたい見当がついている。
俺以外、戦闘および治癒能力の高い人たちが集まったし、それほど面倒な旅にはならない……俺は、そう考えていた。
そしてこれからこのメンバーで始まる旅を、楽しみにすら思っていたのだ。
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