4 / 44
イヌ耳
しおりを挟む
アイゼンの反応に、エルフのソフィアも反応し、
「……どうやら害はないようだな……」
と、自分に言い聞かせるようにつぶやいて剣を収め、近づいてきた。
「ソフィアよ、これを見てみよ。こんなことが、儂らの世界の人間にできると思うか? 少なくとも、この賢者と称えられる儂であってもできんぞ!」
アイゼンが興奮気味にそう話して、スマホ画面をソフィアにも見せた……って、この爺さん、賢者と呼ばれているのか?
「……これはっ!? 私が……私の姿が……なぜ……」
彼女も目を見開いて驚いている。
どうやら、この世界には、スマホはもちろん、写真すらないのかもしれない。
「これは……簡単に言えば、鏡に映った像を、そのまま残すような仕組みです。我々の世界で『スマホ』と言われる道具の……まあ、魔法みたいな機能の一つです」
「……それで、これに写し取られた者はどうなるのだ? 何か呪いがあるのか?」
ソフィアがちょっと怯えた、それでいながら睨みつけるような目線を送ってきた。
「いや、まさか。単純に写し取っただけ……そう、絵と同じです」
俺はそう言って、庭園の花や木、そしてその向こうに広がる森林の、美しい風景を写して二人に見せた。
「……なるほど、見たそのままの絵を一瞬で描いてくれる魔法の道具、というわけか……」
ソフィアが納得したようにそうつぶやき、俺もそれに対して肯定の返事をした。
「どうじゃ、ソフィアよ。この方が異世界から来たということは信じてもらえたかな?」
アイゼンが、なぜか得意げに笑みを浮かべる。
「……はい。確かに、それは間違いないようです。しかし……信用してよいのでしょうか?」
「ああ、それは間違いない。この儂が、神の化身・トゥエル様から直々にお告げを聞き、そして迎え入れたのじゃ」
そこまで自信をもって断言するアイゼンを見て、ようやく彼女も納得したようで、俺に向かって
「……先ほどは大変失礼しました」
と頭を下げてきた。
「いや、主を守るのは警護の仕事として当然のことですよ。俺は全然気にしてないから」
恐縮しながらそう答えると、彼女はほっとした表情を浮かべた。
と、そのとき。
「あれー、お客様ですかぁー!」
と、また別の女性の声が聞こえてきた。
その方向を見ると、廊下を歩いてきたのは、身長160センチぐらい、十代後半ぐらいの可愛らしい少女だった。
ただ、その身長には、頭の上部に生えた「三角形の耳」の高さも含まれる。
ニコニコと愛想よく微笑む彼女、ベージュのズボンに丈夫そうな同色の、ポケットがたくさんついたジャケットを着こなしている……まあ、分かりやすく言えば作業着だ。
しかし可愛い女の子が着ていると、それはそれでオシャレに見えるから不思議だ。
栗色の大きな瞳と、同じ色の背中まで伸びる長い髪。
そしてズボンの後側、腰の部分からは、かなり太いモフモフのしっぽが上向きに生えていて、左右に大きく元気に揺れている。
(獣人だ! ネコ……いや、犬か?)
獣人だと即座に理解した俺は、エルフに続いて亜人種に出会えたことに興奮した。
「……どうやら害はないようだな……」
と、自分に言い聞かせるようにつぶやいて剣を収め、近づいてきた。
「ソフィアよ、これを見てみよ。こんなことが、儂らの世界の人間にできると思うか? 少なくとも、この賢者と称えられる儂であってもできんぞ!」
アイゼンが興奮気味にそう話して、スマホ画面をソフィアにも見せた……って、この爺さん、賢者と呼ばれているのか?
「……これはっ!? 私が……私の姿が……なぜ……」
彼女も目を見開いて驚いている。
どうやら、この世界には、スマホはもちろん、写真すらないのかもしれない。
「これは……簡単に言えば、鏡に映った像を、そのまま残すような仕組みです。我々の世界で『スマホ』と言われる道具の……まあ、魔法みたいな機能の一つです」
「……それで、これに写し取られた者はどうなるのだ? 何か呪いがあるのか?」
ソフィアがちょっと怯えた、それでいながら睨みつけるような目線を送ってきた。
「いや、まさか。単純に写し取っただけ……そう、絵と同じです」
俺はそう言って、庭園の花や木、そしてその向こうに広がる森林の、美しい風景を写して二人に見せた。
「……なるほど、見たそのままの絵を一瞬で描いてくれる魔法の道具、というわけか……」
ソフィアが納得したようにそうつぶやき、俺もそれに対して肯定の返事をした。
「どうじゃ、ソフィアよ。この方が異世界から来たということは信じてもらえたかな?」
アイゼンが、なぜか得意げに笑みを浮かべる。
「……はい。確かに、それは間違いないようです。しかし……信用してよいのでしょうか?」
「ああ、それは間違いない。この儂が、神の化身・トゥエル様から直々にお告げを聞き、そして迎え入れたのじゃ」
そこまで自信をもって断言するアイゼンを見て、ようやく彼女も納得したようで、俺に向かって
「……先ほどは大変失礼しました」
と頭を下げてきた。
「いや、主を守るのは警護の仕事として当然のことですよ。俺は全然気にしてないから」
恐縮しながらそう答えると、彼女はほっとした表情を浮かべた。
と、そのとき。
「あれー、お客様ですかぁー!」
と、また別の女性の声が聞こえてきた。
その方向を見ると、廊下を歩いてきたのは、身長160センチぐらい、十代後半ぐらいの可愛らしい少女だった。
ただ、その身長には、頭の上部に生えた「三角形の耳」の高さも含まれる。
ニコニコと愛想よく微笑む彼女、ベージュのズボンに丈夫そうな同色の、ポケットがたくさんついたジャケットを着こなしている……まあ、分かりやすく言えば作業着だ。
しかし可愛い女の子が着ていると、それはそれでオシャレに見えるから不思議だ。
栗色の大きな瞳と、同じ色の背中まで伸びる長い髪。
そしてズボンの後側、腰の部分からは、かなり太いモフモフのしっぽが上向きに生えていて、左右に大きく元気に揺れている。
(獣人だ! ネコ……いや、犬か?)
獣人だと即座に理解した俺は、エルフに続いて亜人種に出会えたことに興奮した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜
具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです
転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!?
肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!?
その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。
そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。
前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、
「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。
「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」
己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、
結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──!
「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」
でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……!
アホの子が無自覚に世界を救う、
価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!
おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様
あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。
死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。
「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」
だが、その世界はダークファンタジーばりばり。
人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。
こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。
あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。
ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。
死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ!
タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。
様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。
世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。
地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。
無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~
黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった!
「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」
主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる