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魔法って便利
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「ショウさん、お帰りなさい! 早かったですね!」
耳をピコピコ、しっぽをフリフリさせて笑顔で出迎えてくれたシルヴィ。
画像をネットにアップしたりと作業があったので数分かかったのだが、移動距離はほぼゼロなので、彼女が想像していたのよりは早かったのだろう。
そこからシルヴィの案内で、また階段を上り、廊下を歩いて、さらにまだ行ったことのない部屋の扉の前にたどり着いた。その間、彼女はずっと楽しそうにしゃべりっぱなしだった。
「ショウさん、ご到着しました!」
シルビィがそう声を出すと、中から招き入れる声がして、彼女は大きな扉をゆっくりと開け、俺を中に入るように促した。
そこは大きな広間になっており、銅像なんかも置いてあって、なかなか豪華な作りだ。
天井からはシャンデリアのようなものが吊るされている。
しかし、決して華美になりすぎることはなく、落ち着いた雰囲気もある部屋だ。
映画なんかでよく見るような長細い机が置かれ、椅子が二十脚ほど並んでいた。多分メインテーブルなのだろうが、今回、そこには誰も座っていない。
そのかわり、その横に置かれていた、いわばサブテーブルに、すでにアイゼン、ソフィアが座っており、俺の姿を見ると立ち上がって出迎えてくれた。
そのテーブルの形状は、いわゆる円卓だ。
すぐ側に、メイド服を着た小柄な少女が立っていた。
「紹介しておこう。彼女が、メイドのミクじゃ」
「……ミクです。よろしくお願いいたします」
そう言って深く一礼し、顔を上げた。
すまし顔というか、ちょっと困り顔というか、そんな感じだが、たしかにシルヴィが言う通り、めちゃくちゃかわいい。動物に例えるなら、ネコっぽいかんじだろうか。
ダークブラウンの髪で、ショートカット。
メイド服は黒を基調としながら、白のフリフリのようなものが付いており、なかなか可愛らしい。
アイゼンの爺さん、自分に仕える者を顔で選んでいるんじゃないかと思うほど、美少女が三人揃っている……単純に工学部に通っている俺の目が女の子慣れしていないだけかもしれないが。
円卓の上には、すでに俺の分も含めて5つのカップが置かれており、ティーポットも準備されていた。
「……ショウ様、お菓子があるとお伺いしていますが……」
ミクが、あまり表情を変えないままそう聞いてきたので、俺はリュックからケロリーメルトを取り出した。
箱を開け、金色の包み紙から取り出すと、彼女はそれをトングでつまみ、高価そうな白いさらに一つずつ乗せていく。
……って、ケロリーメルトってよく考えたら栄養補助食品で、厳密にはお菓子じゃないんだけどな……。
それでも皿の高級感もあって、なんか上品な焼き菓子に見えるから不思議だ。
「うわあ……とっても甘くていい匂いがしますぅー!」
シルビィは早くも反応して、イヌ耳をピコピコ動かしている。
「確かに……今までに体験したことのない香りだな……」
ソフィアも興味津々だ。
「うむ……これはどうやって食べればいいのじゃ?」
アイゼンがそう尋ねてきた。
皿にはフォークが添えられていたが、それで突き刺すには硬すぎる。
「えっと、焼き菓子なので、指でつまんで……」
俺がそう言うと、みんな意外そうに顔を上げる……ひょっとして、上流階級では手づかみで食べる習慣、ないのかな?
「なるほど、それが一番手軽じゃな……皆、今一度、手を洗浄してやろう」
アイゼンはそう言って立ち上がった。
そして三人の少女たちが、順番に両手を差し出す。
その老魔術師が小さく呪文を唱えると、途端に彼女たちの両手が手毬ぐらいの水の塊に覆われ、みんなそれで手を揉むように洗っている。
しばらくすると、その水は蒸発するように消えてしまった。
「……さあ、ショウ殿もやってみなされ」
アイゼンに促され、両手を差し出すと、俺の腕も水の塊に覆われた。
人肌ぐらいの温度で、ちょっとシュワシュワして気持ちいい。
手を揉み洗いすると、その水はすっと消えて、後にはものすごくきれいに洗えた手が残った……魔法って便利。
そしてもう一度席に着き、みんなで一度うなずいた後、一斉に口に入れた。
すると、アイゼンも、少女たちも、顔を上げ、目を見開いて驚いた。
「これは……初めて食べる味だ……美味しい……」
「とっても甘いです……」
「……おいしい……」
「……うむ、これは美味じゃ!」
一番甘いメープルシロップ味とはいえ、栄養補助食品のケロリーメルトがここまで絶賛されることに、逆に俺が驚いた。
耳をピコピコ、しっぽをフリフリさせて笑顔で出迎えてくれたシルヴィ。
画像をネットにアップしたりと作業があったので数分かかったのだが、移動距離はほぼゼロなので、彼女が想像していたのよりは早かったのだろう。
そこからシルヴィの案内で、また階段を上り、廊下を歩いて、さらにまだ行ったことのない部屋の扉の前にたどり着いた。その間、彼女はずっと楽しそうにしゃべりっぱなしだった。
「ショウさん、ご到着しました!」
シルビィがそう声を出すと、中から招き入れる声がして、彼女は大きな扉をゆっくりと開け、俺を中に入るように促した。
そこは大きな広間になっており、銅像なんかも置いてあって、なかなか豪華な作りだ。
天井からはシャンデリアのようなものが吊るされている。
しかし、決して華美になりすぎることはなく、落ち着いた雰囲気もある部屋だ。
映画なんかでよく見るような長細い机が置かれ、椅子が二十脚ほど並んでいた。多分メインテーブルなのだろうが、今回、そこには誰も座っていない。
そのかわり、その横に置かれていた、いわばサブテーブルに、すでにアイゼン、ソフィアが座っており、俺の姿を見ると立ち上がって出迎えてくれた。
そのテーブルの形状は、いわゆる円卓だ。
すぐ側に、メイド服を着た小柄な少女が立っていた。
「紹介しておこう。彼女が、メイドのミクじゃ」
「……ミクです。よろしくお願いいたします」
そう言って深く一礼し、顔を上げた。
すまし顔というか、ちょっと困り顔というか、そんな感じだが、たしかにシルヴィが言う通り、めちゃくちゃかわいい。動物に例えるなら、ネコっぽいかんじだろうか。
ダークブラウンの髪で、ショートカット。
メイド服は黒を基調としながら、白のフリフリのようなものが付いており、なかなか可愛らしい。
アイゼンの爺さん、自分に仕える者を顔で選んでいるんじゃないかと思うほど、美少女が三人揃っている……単純に工学部に通っている俺の目が女の子慣れしていないだけかもしれないが。
円卓の上には、すでに俺の分も含めて5つのカップが置かれており、ティーポットも準備されていた。
「……ショウ様、お菓子があるとお伺いしていますが……」
ミクが、あまり表情を変えないままそう聞いてきたので、俺はリュックからケロリーメルトを取り出した。
箱を開け、金色の包み紙から取り出すと、彼女はそれをトングでつまみ、高価そうな白いさらに一つずつ乗せていく。
……って、ケロリーメルトってよく考えたら栄養補助食品で、厳密にはお菓子じゃないんだけどな……。
それでも皿の高級感もあって、なんか上品な焼き菓子に見えるから不思議だ。
「うわあ……とっても甘くていい匂いがしますぅー!」
シルビィは早くも反応して、イヌ耳をピコピコ動かしている。
「確かに……今までに体験したことのない香りだな……」
ソフィアも興味津々だ。
「うむ……これはどうやって食べればいいのじゃ?」
アイゼンがそう尋ねてきた。
皿にはフォークが添えられていたが、それで突き刺すには硬すぎる。
「えっと、焼き菓子なので、指でつまんで……」
俺がそう言うと、みんな意外そうに顔を上げる……ひょっとして、上流階級では手づかみで食べる習慣、ないのかな?
「なるほど、それが一番手軽じゃな……皆、今一度、手を洗浄してやろう」
アイゼンはそう言って立ち上がった。
そして三人の少女たちが、順番に両手を差し出す。
その老魔術師が小さく呪文を唱えると、途端に彼女たちの両手が手毬ぐらいの水の塊に覆われ、みんなそれで手を揉むように洗っている。
しばらくすると、その水は蒸発するように消えてしまった。
「……さあ、ショウ殿もやってみなされ」
アイゼンに促され、両手を差し出すと、俺の腕も水の塊に覆われた。
人肌ぐらいの温度で、ちょっとシュワシュワして気持ちいい。
手を揉み洗いすると、その水はすっと消えて、後にはものすごくきれいに洗えた手が残った……魔法って便利。
そしてもう一度席に着き、みんなで一度うなずいた後、一斉に口に入れた。
すると、アイゼンも、少女たちも、顔を上げ、目を見開いて驚いた。
「これは……初めて食べる味だ……美味しい……」
「とっても甘いです……」
「……おいしい……」
「……うむ、これは美味じゃ!」
一番甘いメープルシロップ味とはいえ、栄養補助食品のケロリーメルトがここまで絶賛されることに、逆に俺が驚いた。
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【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
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本当に、ありがとうございます。
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