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お土産
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情報番組『ザップ』といえば、毎朝生放送されている全国区の情報番組だ。
十年以上続く人気番組で、アナウンサーも人気が高い。
そんな有名テレビ局から本当に誘いがかかったのか!?
いやいや、待て待て。これは何かの詐欺かもしれない。
「放送するけど、その分お金振り込んでね!」っていう手法で、もちろん偽者なのでそれっきり、というパターンだ。
そう疑って詳しく文面を読んでいくが、特に振り込め系の文言は書かれていなかった。
ただ、この動画の著作権が俺にあること、それとテレビで紹介したことによるトラブルが発生したとしても責任は持てないので、そこんとこヨロシク、的なことが(もちろん、もっと丁寧な言葉で)書かれていた。
念のために、面白そうに俺の様子を見ていた白い子猫のトゥエルに問題ないか確認してみると、
「うん、いいんじゃないかニャ。 ボクとしても、並行世界のことが多くの人に知れ渡ることは望むところだニャ」
と許容してくれた。
うーん、いまいちこの白ネコの狙いが読めない部分はあるのだが……まあ、ファンタジーな世界のことが広まったとして、誰かが困るということもないだろう。
ということで、
「この動画は自分で作成したオリジナルのものであるため、著作権は自分にあります。放送していただけるととても光栄です!」
というようなことを書いて返信した。
そのあとも、とても一日では読み切れないぐらいのダイレクトメッセージやコメントを、ドキドキしながら読んでいったのだが、日付が変わるぐらいになるとまた強烈な眠気が襲ってきて、そのままベッドにダイブした。
そして翌早朝。
情報番組の『ザップ』をずっと見ていたのだが、さすがにこの日に放送されることはなかった。
動画の再生回数は150万を突破。まだまだ勢いは衰えていない。
まだ、他にもいくつかストックはあるのだが……さすがにあの魔狼の戦いはアップできないな、と思ったところで、ふとシルヴィのことが気になった。
コンビニでお土産のチーズケーキを買って、部屋に戻りゲートをくぐった。
すると今日は、ミクが迎えに来てくれた。
「……シルヴィ、寝込んでる……」
いつも通りほとんど表情を変えず、ぼそりと言った彼女の一言が衝撃的で、思わず何と言ったのか聞き返した。
「……お風呂で寝ちゃって……溺れそうになっていたところを私とソフィアさんが助けた」
……うーん、相当疲れが溜まってたんだな……。
お見舞いに行こうかとも思ったが、熟睡しているとのことで彼女の部屋を訪れることは遠慮した。
例のチーズケーキは人数分買っていたので、食堂でミクやソフィア、アイゼンにも勧めたのだが、
「気持ちは嬉しいが、シルヴィが寝込んでいる以上、そんな珍しく、興味深いものを私たちだけで食べることはできない」
「……シルヴィと一緒に食べたい……」
「女性二人がそう言っておる以上、儂だけ食べるわけにはいかんのう」
と、みんなに断られた……まあ、これはそれだけシルヴィのこと、家族のように慕い合っているということだろう。
もちろん、俺だけ食べるわけにはいかない。
まあ、持ち帰って冷蔵庫に入れとけば明日までぐらいは大丈夫だろう。
「ところで、ショウ殿……シルヴィが起きているときに聞いたのじゃが……貴殿はあの娘の本来の姿を見たそうじゃのう」
アイゼンのそのセリフを聞き、ひょっとして裸の姿を見たことを言っているのかと思い焦ったが、そうではなく、あの大きな魔狼のことだろうと理解し、
「あ、はい、狼の群れに襲われたときに」
「ふむ、やはり本当じゃったか……それで、どう思うた?」
「どうって……かっこいいというか、神々しいというか……」
「……怖いとは思わなんだか?」
「あ、それ、シルヴィも言ってましたけど、あの正体が彼女だと知っている以上、怖いなんて考えもしなかったです」
「……ふむ……なるほど、シルヴィの言う通りじゃ……あの娘に慕われるわけじゃな。そして神はそういうお方を遣わされた、ということじゃ……」
アイゼンは笑みを浮かべ、何かを悟ったかのように何度も深く頷いていた。
十年以上続く人気番組で、アナウンサーも人気が高い。
そんな有名テレビ局から本当に誘いがかかったのか!?
いやいや、待て待て。これは何かの詐欺かもしれない。
「放送するけど、その分お金振り込んでね!」っていう手法で、もちろん偽者なのでそれっきり、というパターンだ。
そう疑って詳しく文面を読んでいくが、特に振り込め系の文言は書かれていなかった。
ただ、この動画の著作権が俺にあること、それとテレビで紹介したことによるトラブルが発生したとしても責任は持てないので、そこんとこヨロシク、的なことが(もちろん、もっと丁寧な言葉で)書かれていた。
念のために、面白そうに俺の様子を見ていた白い子猫のトゥエルに問題ないか確認してみると、
「うん、いいんじゃないかニャ。 ボクとしても、並行世界のことが多くの人に知れ渡ることは望むところだニャ」
と許容してくれた。
うーん、いまいちこの白ネコの狙いが読めない部分はあるのだが……まあ、ファンタジーな世界のことが広まったとして、誰かが困るということもないだろう。
ということで、
「この動画は自分で作成したオリジナルのものであるため、著作権は自分にあります。放送していただけるととても光栄です!」
というようなことを書いて返信した。
そのあとも、とても一日では読み切れないぐらいのダイレクトメッセージやコメントを、ドキドキしながら読んでいったのだが、日付が変わるぐらいになるとまた強烈な眠気が襲ってきて、そのままベッドにダイブした。
そして翌早朝。
情報番組の『ザップ』をずっと見ていたのだが、さすがにこの日に放送されることはなかった。
動画の再生回数は150万を突破。まだまだ勢いは衰えていない。
まだ、他にもいくつかストックはあるのだが……さすがにあの魔狼の戦いはアップできないな、と思ったところで、ふとシルヴィのことが気になった。
コンビニでお土産のチーズケーキを買って、部屋に戻りゲートをくぐった。
すると今日は、ミクが迎えに来てくれた。
「……シルヴィ、寝込んでる……」
いつも通りほとんど表情を変えず、ぼそりと言った彼女の一言が衝撃的で、思わず何と言ったのか聞き返した。
「……お風呂で寝ちゃって……溺れそうになっていたところを私とソフィアさんが助けた」
……うーん、相当疲れが溜まってたんだな……。
お見舞いに行こうかとも思ったが、熟睡しているとのことで彼女の部屋を訪れることは遠慮した。
例のチーズケーキは人数分買っていたので、食堂でミクやソフィア、アイゼンにも勧めたのだが、
「気持ちは嬉しいが、シルヴィが寝込んでいる以上、そんな珍しく、興味深いものを私たちだけで食べることはできない」
「……シルヴィと一緒に食べたい……」
「女性二人がそう言っておる以上、儂だけ食べるわけにはいかんのう」
と、みんなに断られた……まあ、これはそれだけシルヴィのこと、家族のように慕い合っているということだろう。
もちろん、俺だけ食べるわけにはいかない。
まあ、持ち帰って冷蔵庫に入れとけば明日までぐらいは大丈夫だろう。
「ところで、ショウ殿……シルヴィが起きているときに聞いたのじゃが……貴殿はあの娘の本来の姿を見たそうじゃのう」
アイゼンのそのセリフを聞き、ひょっとして裸の姿を見たことを言っているのかと思い焦ったが、そうではなく、あの大きな魔狼のことだろうと理解し、
「あ、はい、狼の群れに襲われたときに」
「ふむ、やはり本当じゃったか……それで、どう思うた?」
「どうって……かっこいいというか、神々しいというか……」
「……怖いとは思わなんだか?」
「あ、それ、シルヴィも言ってましたけど、あの正体が彼女だと知っている以上、怖いなんて考えもしなかったです」
「……ふむ……なるほど、シルヴィの言う通りじゃ……あの娘に慕われるわけじゃな。そして神はそういうお方を遣わされた、ということじゃ……」
アイゼンは笑みを浮かべ、何かを悟ったかのように何度も深く頷いていた。
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