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消耗戦
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ミクの両肩の砲から、絶え間なく青色の魔光弾が放たれる。
弓矢よりも高速で飛ぶそれを、200メール先のワーウルフ達はほとんど躱しながら接近してくる。
その数は、二十体を超えていた。
さすがに、100メール以内に近づいてくると躱しきれず、被弾する魔物も出てくるが、多少のダメージならばそのまま構わず突っ込んでくる。その勢いに、ミクは焦りの色を濃くしていた。
「……どうして逃げないの……何かに操られているの?」
そう呟きながらも、なおも魔光弾を連射する。
その魔力使用量は、150万ウェンと言われた、前日の試射での充魔量をとっくに超えているように思われた。
遠距離戦では為す術もないライナスは、ただミクを建物の壁際に誘導するしかできず、歯がゆい思いをする。
せめて魔物に接近されたら、自分を盾にして彼女を守るつもりだ。
建物の壁が背後になるように誘導したのは、敵に後ろへ回り込ませないためだが、それは同時に彼女の逃げ場をなくすことにもなる。つまり自分が倒れれば、彼女は接近戦を強いられてしまうのだ。
強力な防御力の鎧と、細かい動作、強力な魔法展開が可能な万能ロッドを持ってはいるが、数と力で押されると危うい。
ついに、十体ほどのワーウルフがミクの魔光弾を掻い潜り、50メールほどの距離にまで迫った。
ここで彼女は両肩のカノンからの射出を、魔光弾から猛烈な勢いの火炎放射に変更する。
その圧倒的な火力に包まれ、火だるまになって転げ回る数体のワーウルフ。
正面の魔物はそれで倒せたが、左右に分かれた別の個体が、ついにほんの十数メールにまで接近した。
「爆撃(エイスティック・クラッシュ)!」
そのうちの一体、右側の個体に対して、ミクがロッドで爆撃魔法を放ち、一撃でバラバラに吹き飛ばした。
残りの一体が、左側から鋭く長い四本の爪を伸ばして迫る。
しかし、その爪を手首ごとライナスが長剣で切り落とし、さらに体当たりで押し戻すと、腹部に深々と刃を突き立て、ワーウルフを戦闘不能に陥れた。
なおも前方から新手が迫ったが、今度はその胴体を一撃で両断した。
さらに接近する二体は、ミクのツイン・カノンの真正面だったため、火炎放射により焼き尽くされた。
これで接近してきたワーウルフは、全て倒すことができた。
しかし、新たにまた二十体ほどが森から出現し、こちらに迫ってきていた。
「くそ、新手か……どれだけいるんだ……でも、さっきと同じ要領で対処すれば大丈夫だ。接近してきたら僕が倒す!」
己の剣が通用し、ミクを守れたことに、ライナスは「いける」と自分を鼓舞した。
「ライ君、サポートありがと……でも、ちょっと悪い知らせがあるわ」
ミクが、悲壮な表情でそう打ち明ける。
「……何があっても守りぬくつもりだけど、一応、聞いておくよ」
「ツイン・カノンの魔力が、ほとんど残っていないの。予備の魔石も持ってきてるけど、充魔には数分かかるから間に合いそうにないの……ロッドの方はまだ残ってるけど、爆撃魔法だと、たぶん十発ぐらいで尽きてしまう」
「……なるほど……魔力が全部無くなったら、接近戦になるな……大丈夫、そのために僕がいるんだ。さっきも倒したの、見ただろう? 僕が守るよ!」
「うん、ありがと……じゃあ、お願いしますっ!」
ミクに頼られた。
それが嬉しかったが、正直、相当きついな、と思った。
壁を背にしているとはいえ、前、右、左から同時に襲いかかられると防ぎきれる自信が無い。
上位のワーウルフは、あの体格で、あのスピードだ。
もし倒し損ねた場合、あの鋭く長い爪の攻撃が、鎧で完全に防げるかどうか疑問だった。
それでも、やるしかない……そう考えながら、迫り来るワーウルフ達を見つめていた。
と、そのときだった。
一筋の白い光の矢が、ライナス達の斜め後方から放たれて、ワーウルフの首元に、正確に命中した。
その一撃で、倒れて悶絶する魔物。
さらに二の矢、三の矢が放たれ、命中したワーウルフ達は異常な苦しみ方をした。
「ミク、その新しい装備、威力は凄いが外しすぎだ。無駄が多い……もっと命中精度を上げないとダメだ」
いつの間にか、二人の近くに、ライナスの物とよく似た鎧と兜、そしてやや短めの剣、小さな盾を装備した青年が立っていた。
「……アクト兄さん! えっ、どうしてここにいるの?」
「メルから聞いて、二人だけで旅に出たって言うのを聞いて何か嫌な予感がしたので追ってきたんだ……おまえがライナスだな。今のところ、無傷でミクを守っているか……まあ、上出来だ。とはいえ、これだけの数の上位ワーウルフ種……異常だ。何が起こるか分からない。気合いを入れていくぞっ!」
ライナスよりは幾分小柄ながら、遙かに強者のオーラを感じるその青年に、彼は大きな刺激を受けた。
そして、前にパーティーのリーダーだったグリントの言葉を思い出した。
『妖魔』を滅ぼす希少な『聖光魔法』を使える三ツ星のハンター。
魔道剣士アクテリアス……彼が、この戦いに参戦した。
弓矢よりも高速で飛ぶそれを、200メール先のワーウルフ達はほとんど躱しながら接近してくる。
その数は、二十体を超えていた。
さすがに、100メール以内に近づいてくると躱しきれず、被弾する魔物も出てくるが、多少のダメージならばそのまま構わず突っ込んでくる。その勢いに、ミクは焦りの色を濃くしていた。
「……どうして逃げないの……何かに操られているの?」
そう呟きながらも、なおも魔光弾を連射する。
その魔力使用量は、150万ウェンと言われた、前日の試射での充魔量をとっくに超えているように思われた。
遠距離戦では為す術もないライナスは、ただミクを建物の壁際に誘導するしかできず、歯がゆい思いをする。
せめて魔物に接近されたら、自分を盾にして彼女を守るつもりだ。
建物の壁が背後になるように誘導したのは、敵に後ろへ回り込ませないためだが、それは同時に彼女の逃げ場をなくすことにもなる。つまり自分が倒れれば、彼女は接近戦を強いられてしまうのだ。
強力な防御力の鎧と、細かい動作、強力な魔法展開が可能な万能ロッドを持ってはいるが、数と力で押されると危うい。
ついに、十体ほどのワーウルフがミクの魔光弾を掻い潜り、50メールほどの距離にまで迫った。
ここで彼女は両肩のカノンからの射出を、魔光弾から猛烈な勢いの火炎放射に変更する。
その圧倒的な火力に包まれ、火だるまになって転げ回る数体のワーウルフ。
正面の魔物はそれで倒せたが、左右に分かれた別の個体が、ついにほんの十数メールにまで接近した。
「爆撃(エイスティック・クラッシュ)!」
そのうちの一体、右側の個体に対して、ミクがロッドで爆撃魔法を放ち、一撃でバラバラに吹き飛ばした。
残りの一体が、左側から鋭く長い四本の爪を伸ばして迫る。
しかし、その爪を手首ごとライナスが長剣で切り落とし、さらに体当たりで押し戻すと、腹部に深々と刃を突き立て、ワーウルフを戦闘不能に陥れた。
なおも前方から新手が迫ったが、今度はその胴体を一撃で両断した。
さらに接近する二体は、ミクのツイン・カノンの真正面だったため、火炎放射により焼き尽くされた。
これで接近してきたワーウルフは、全て倒すことができた。
しかし、新たにまた二十体ほどが森から出現し、こちらに迫ってきていた。
「くそ、新手か……どれだけいるんだ……でも、さっきと同じ要領で対処すれば大丈夫だ。接近してきたら僕が倒す!」
己の剣が通用し、ミクを守れたことに、ライナスは「いける」と自分を鼓舞した。
「ライ君、サポートありがと……でも、ちょっと悪い知らせがあるわ」
ミクが、悲壮な表情でそう打ち明ける。
「……何があっても守りぬくつもりだけど、一応、聞いておくよ」
「ツイン・カノンの魔力が、ほとんど残っていないの。予備の魔石も持ってきてるけど、充魔には数分かかるから間に合いそうにないの……ロッドの方はまだ残ってるけど、爆撃魔法だと、たぶん十発ぐらいで尽きてしまう」
「……なるほど……魔力が全部無くなったら、接近戦になるな……大丈夫、そのために僕がいるんだ。さっきも倒したの、見ただろう? 僕が守るよ!」
「うん、ありがと……じゃあ、お願いしますっ!」
ミクに頼られた。
それが嬉しかったが、正直、相当きついな、と思った。
壁を背にしているとはいえ、前、右、左から同時に襲いかかられると防ぎきれる自信が無い。
上位のワーウルフは、あの体格で、あのスピードだ。
もし倒し損ねた場合、あの鋭く長い爪の攻撃が、鎧で完全に防げるかどうか疑問だった。
それでも、やるしかない……そう考えながら、迫り来るワーウルフ達を見つめていた。
と、そのときだった。
一筋の白い光の矢が、ライナス達の斜め後方から放たれて、ワーウルフの首元に、正確に命中した。
その一撃で、倒れて悶絶する魔物。
さらに二の矢、三の矢が放たれ、命中したワーウルフ達は異常な苦しみ方をした。
「ミク、その新しい装備、威力は凄いが外しすぎだ。無駄が多い……もっと命中精度を上げないとダメだ」
いつの間にか、二人の近くに、ライナスの物とよく似た鎧と兜、そしてやや短めの剣、小さな盾を装備した青年が立っていた。
「……アクト兄さん! えっ、どうしてここにいるの?」
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そして、前にパーティーのリーダーだったグリントの言葉を思い出した。
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