167 / 291
小助くんと森のなかまたち
ばけものにだっこされた小助くん
しおりを挟む
キツネとタヌキは、今日もどっちがうまくばけることができるのか言い合っています。
「この森で上手にばけることができるのは、おれのほうだぜ」
「かってに言わないでよ! ぼくのほうが上手にばけることができるもん!」
おたがいにはり合う2ひきは、すぐにはっぱを頭にのせるとけむりにつつまれながらくるりと回りました。すると、キツネとタヌキは自分のすがたを見て思わずびっくりしています。
「わっ! ばけものだ!」
2ひきの目に入ったのは、この森にはいないであろうばけものらしきすがたです。キツネとタヌキは、お母さんグマと同じくらいの大きさのばけものにばけています。
「へへへ、このすがたを見ればだれもがびっくりするぜ」
ばけものにばけたキツネは、にやにやとわらいながら草むらの中へかくれることにしました。べつの草むらには、同じようにばけたタヌキがかくれています。
「だれもこないよ」
「そのうちだれかがくるはずさ」
キツネとタヌキは、自分たちのすがたを見ておどろかそうと草むらでずっとまちつづけています。
そのころ、小助は子グマたちといっしょにお母さんグマのおっぱいをのんでいます。小助たちがかわいい顔つきであまえようとするようすに、お母さんグマはやさしいえがおで見つめています。
「いっぱいのんで、すくすくと大きくなろうね」
小助がいつも元気なのは、人間とどうぶつのお母さんたちのおっぱいをのんでいるおかげです。お母さんグマのおっぱいをのみおえた小助たちは、森のおくに向かってかけ出しました。
「ふふふ、みんな元気いっぱいだね」
クマのお母さんは、小助たちの後をおうようについていきます。子どもたちのあまりの元気さに、お母さんグマはまけてしまいそうです。
かけっこが大すきな小助は、子グマたちよりもはやい足どりで前のほうへすすんでいます。そんな時、右がわと左がわの草むらから2ひきのばけものがいきなりあらわれました。
「おっと、ここから先には行かせないぜ」
ばけものたちは、小助の前でぶきみな声を上げながら立ちふさがっています。後ろからやってきた子グマたちは、ばけものの顔を見るのがこわくてその場からにげ出しました。
そんな中、小助はばけものにしがみついたままではなれようとしません。小助は、おそろしい顔つきをしたばけものをあいてにかわいい声でおねだりをしています。
「だっこ! だっこ! だっこ!」
「そんなにだっこがしたいのか?」
「だっこ! だっこ! だっこ!」
ばけものたちは、ぜんぜんこわがらない小助のすがたを見てこまっています。しかたがないので、ばけものは小助をだっこさせることにしました。
「キャッキャッ、キャッキャッキャッ」
「なんでおれがこんなことを……」
ばけものにばけているキツネは、ぶつぶつ言いながら小助をだくことにしました。すると、小助はだっこされるのがうれしくてかわいい声を上げています。
「ちっ、そんなにだっこされるのがうれしいのか」
「だっこ! だっこ!」
小助は、だっこのおねだりをまだやめようとはしません。そこで、ばけものは自分のおそろしい顔の手前まで小助をりょう手でもち上げることにしました。
「へへへ、おれの顔がどれだけおそろしいのかよく見ておくことだな」
ばけものは、こわがってなきさけぶ小助のすがたを見るのが今から楽しみにしているようです。そんな小助がだっこされたままで、ばけものの顔の手前までやってきたその時のことです。
「ジョパジョパ、ジョジョジョジョジョジョジョジョジョジョ~ッ」
「わっ! おれの顔におしっこするな!」
「キャッキャッキャッ、キャッキャッキャッ」
小助は、ばけものの顔に向かっていきおいよくおしっこをめいちゅうさせています。いきなりのできごとに、ばけものはあわてふためいているようすです。
その間も、小助によるおしっここうげきはまだまだつづきます。
「ジョジョジョジョジョジョジョジョ~ッ」
「たのむから、おれの顔に……」
ばけものは、小助のかわいいこうげきの前にあわてて白いけむりにつつまれました。そこにあらわれたのは、ばけものにばける前のキツネのすがたです。
キツネは、ばけものから元のすがたにもどったタヌキとともに草むらの中へいそいでにげて行きました。
「ぼうや、大じょうぶだった?」
クマのお母さんは、ばけものといっしょだった小助にしんぱいそうなようすで声をかけました。
「ばけものとだっこ! ばけものとだっこ!」
いつも通り元気いっぱいの小助のすがたに、お母さんグマはすっかり安心しています。どんなおそろしいあいてであっても、小助のかわいいえがおとわんぱくぶりにはかないません。
「この森で上手にばけることができるのは、おれのほうだぜ」
「かってに言わないでよ! ぼくのほうが上手にばけることができるもん!」
おたがいにはり合う2ひきは、すぐにはっぱを頭にのせるとけむりにつつまれながらくるりと回りました。すると、キツネとタヌキは自分のすがたを見て思わずびっくりしています。
「わっ! ばけものだ!」
2ひきの目に入ったのは、この森にはいないであろうばけものらしきすがたです。キツネとタヌキは、お母さんグマと同じくらいの大きさのばけものにばけています。
「へへへ、このすがたを見ればだれもがびっくりするぜ」
ばけものにばけたキツネは、にやにやとわらいながら草むらの中へかくれることにしました。べつの草むらには、同じようにばけたタヌキがかくれています。
「だれもこないよ」
「そのうちだれかがくるはずさ」
キツネとタヌキは、自分たちのすがたを見ておどろかそうと草むらでずっとまちつづけています。
そのころ、小助は子グマたちといっしょにお母さんグマのおっぱいをのんでいます。小助たちがかわいい顔つきであまえようとするようすに、お母さんグマはやさしいえがおで見つめています。
「いっぱいのんで、すくすくと大きくなろうね」
小助がいつも元気なのは、人間とどうぶつのお母さんたちのおっぱいをのんでいるおかげです。お母さんグマのおっぱいをのみおえた小助たちは、森のおくに向かってかけ出しました。
「ふふふ、みんな元気いっぱいだね」
クマのお母さんは、小助たちの後をおうようについていきます。子どもたちのあまりの元気さに、お母さんグマはまけてしまいそうです。
かけっこが大すきな小助は、子グマたちよりもはやい足どりで前のほうへすすんでいます。そんな時、右がわと左がわの草むらから2ひきのばけものがいきなりあらわれました。
「おっと、ここから先には行かせないぜ」
ばけものたちは、小助の前でぶきみな声を上げながら立ちふさがっています。後ろからやってきた子グマたちは、ばけものの顔を見るのがこわくてその場からにげ出しました。
そんな中、小助はばけものにしがみついたままではなれようとしません。小助は、おそろしい顔つきをしたばけものをあいてにかわいい声でおねだりをしています。
「だっこ! だっこ! だっこ!」
「そんなにだっこがしたいのか?」
「だっこ! だっこ! だっこ!」
ばけものたちは、ぜんぜんこわがらない小助のすがたを見てこまっています。しかたがないので、ばけものは小助をだっこさせることにしました。
「キャッキャッ、キャッキャッキャッ」
「なんでおれがこんなことを……」
ばけものにばけているキツネは、ぶつぶつ言いながら小助をだくことにしました。すると、小助はだっこされるのがうれしくてかわいい声を上げています。
「ちっ、そんなにだっこされるのがうれしいのか」
「だっこ! だっこ!」
小助は、だっこのおねだりをまだやめようとはしません。そこで、ばけものは自分のおそろしい顔の手前まで小助をりょう手でもち上げることにしました。
「へへへ、おれの顔がどれだけおそろしいのかよく見ておくことだな」
ばけものは、こわがってなきさけぶ小助のすがたを見るのが今から楽しみにしているようです。そんな小助がだっこされたままで、ばけものの顔の手前までやってきたその時のことです。
「ジョパジョパ、ジョジョジョジョジョジョジョジョジョジョ~ッ」
「わっ! おれの顔におしっこするな!」
「キャッキャッキャッ、キャッキャッキャッ」
小助は、ばけものの顔に向かっていきおいよくおしっこをめいちゅうさせています。いきなりのできごとに、ばけものはあわてふためいているようすです。
その間も、小助によるおしっここうげきはまだまだつづきます。
「ジョジョジョジョジョジョジョジョ~ッ」
「たのむから、おれの顔に……」
ばけものは、小助のかわいいこうげきの前にあわてて白いけむりにつつまれました。そこにあらわれたのは、ばけものにばける前のキツネのすがたです。
キツネは、ばけものから元のすがたにもどったタヌキとともに草むらの中へいそいでにげて行きました。
「ぼうや、大じょうぶだった?」
クマのお母さんは、ばけものといっしょだった小助にしんぱいそうなようすで声をかけました。
「ばけものとだっこ! ばけものとだっこ!」
いつも通り元気いっぱいの小助のすがたに、お母さんグマはすっかり安心しています。どんなおそろしいあいてであっても、小助のかわいいえがおとわんぱくぶりにはかないません。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる