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春のきせつは楽しさいっぱい

小助くんと春のちょうちょう

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 山おくの森の中では、たくさんの草花が春がくるのをまっていたかのようにつぎつぎとさいています。 

 小助とワン太は、子グマたちといっしょにじめんのほうを見ています。そばには、お母さんグマが黄色くてかわいい花の名前を子どもたちに教えています。 

「これは、タンポポという名前の花だよ」 
「わあ~っ! タンポポだ! タンポポだ!」 

 お母さんグマは、小助たちがまだ知らないことについてやさしく教えてくれます。小助は、森に生えているタンポポをさがそうといっしょうけんめいになっています。 

 このようすを見て、他のどうぶつたちもタンポポのあるばしょをさがしています。森の中でタンポポを見つけるたびに、子どもたちは元気な声を上げながら大よろこびしています。 

「ふふふ、いろんなことをおぼえてくれるからとてもうれしいわ」 

 クマのお母さんは、自分のまわりに戻ってきた小助たちのかわいい顔つきをえがおで見つめています。そんな時、白いちょうちょが小助たちの前を通りすぎるようにとんでいます。 

「わ~い! ちょうちょ! ちょうちょ!」 

 小助とワン太は、大すきなちょうちょがとんでいるほうに向かって走っています。子グマたちも、ちょうちょをこの目で見ようと小助たちの後をおっています。 

 少しすると、ちょうちょうはタンポポの上に止まりました。小助たちは、ちょうちょうが何をしているのかワクワクしながら見ています。 

「ふふふ、ちょうちょうが大すきなのかな?」 
「ちょうちょう、大ちゅき(大すき)! ちょうちょう、大ちゅき!」 

 小助は、タンポポに止まったちょうちょうを見ながら大はしゃぎしています。すると、お母さんグマはちょうちょうのことを教えようと子どもたちのいるところへきました。 

「ちょうちょうは、タンポポだけでなくいろいろな花に止まるからよく見ておいてね」 

 しばらくすると、タンポポにいるちょうちょうはつぎのばしょへ行こうとふたたびとびはじめました。小助たちは、ちょうちょうがどこへいくのかたしかめようと後をおって走り出しました。 

 草花の上には、ちょうちょうが何びきもあつまって楽しそうにはねをはばたかせています。これを見た小助は、すぐにちょうちょうのまねをお母さんグマの前でしています。 

「ちょうちょう! ちょうちょう!」 
「ぼうや、もしかしてちょうちょうのまねをしているのかな?」 
「うん!」 

 小助は、ちょうちょうになり切ろうとりょう手をつかってはばたかせるまねをしています。そのようすは、やさしく見まもるお母さんグマにもつたわっています。 

「ぼくたちのほうも見て!」 
「ふふふ、ちょうちょうになったのかな?」 
「そうだよ! ぼくたちもちょうちょうになったよ!」 

 こうして、小助たちはちょうちょうのまねっこをしながらにぎやかなわらい声を森の中から空に向かってひびかせています。 
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