小助くんの小さなぼうけん

ケンタシノリ

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夏は大ぼうけんのきせつ

トビにのって空のたびをする小助くんたち

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 小助とワン太をのせたトビは、大きなつばさを広げながら空をとびつづけています。青空を見上げると、そこにはいくつかの白い雲がふわふわとうかんでいます。 

「わあ~っ! ちろい雲(白い雲)! ちろい雲!」 
「小助くんは、お空の雲が大すきかな?」 
「うん! 大ちゅき(大すき)! 大ちゅき!」 

 トビは、空の大ぼうけんをたのしむ小助たちのすがたを思いうかべながらすすんでいます。けわしい山がつらなっていても、大空をとんでいるトビにとっては気になりません。 

「はじめて見るけしきはどうかな?」 
「山がいっぱい! 山がいっぱい!」 
「いろんなのが見えてとってもたのちいよ(楽しいよ)!」 

 小助たちは、空から見るあらゆるものがはじめてとあってうれしさをかくせないようすです。 

 しばらくとんでいると、トビのなかまが空をすすみながらならんできました。なかまは、小助とワン太をのせているトビに声をかけてきました。 

「おっ、子どもたちをのせてどこへ行くんだい」 
「ずっと先にある海までつれて行くとこなの」 

 トビのなかまは、あいてのトビにのっている小助たちをめずらしそうに見ながらあることをつたえようとしています。 

「くれぐれもカラスには気をつけないといけないぞ。あいつらは、わしらを見つけたらどこまでもおいかけ回すからな」 
「教えてくれてありがとうね。カラスに出くわさないようにとびつづけるから」 

 同じなかまにわかれのことばをかけると、トビは高い空をすすむように山をこえていきます。山をこえると、空からは田んぼと小さな家がたくさん見えます。 

「田んぼ! 田んぼ! 田んぼ!」 

 小助は、山おくの田んぼと同じのがあるのを見て大よろこびしています。ワン太も、小助といっしょに空の下のけしきをながめています。 

 このまま海に向かってとびつづけるトビですが、この先もたやすくすすんで行けるとはかぎりません。 

 トビの耳にかすかに入ってきたのは、あの鳥のカアカアと鳴く声です。少しすすむと、カラスが3羽あつまるようにしょうめんからやってきました。 

「どうちたの(どうしたの)?」 
「小助くんもワン太くんも、しっかりつかっていないとおちるわよ!」 

 いつになく大きな声を上げるトビは、小助たちをのせながらカラスたちからにげようとあらゆる手をつくしています。しかし、カラスのほうもトビをねらいうちしようとせまってきます。 

「へへへ、この先へは行かせないぜ」 

 トビは、カラスたちにあっという間にとりかこまれてしまいました。これでは、小助とワン太を海のあるほうへ向かうことも、後ろの方へ引きかえすこともできません。 

 そんな中、トビのせなかの上に小助が立ち上がったその時のことです。 

「プウウウッ! プウウウウウウウウウ~ッ! プウウウウウウウウウウ~ッ!」 
「うっ、すさまじいにおい……」 
「よくもおならをしやがって……」 

 小助は、元気いっぱいのおならをカラスたちに向かってめいちゅうさせています。すると、カラスたちはすさまじい音とくさいにおいにその場からにげ出してしまいました。 

「ちっ、おぼえてろよ」 
「またあちょぼう(あそぼう)! またあちょぼう!」 

 イモをたくさん食べる小助にとって、でっかいおならが出るのはいつものことです。けれども、後ろにいるワン太は小助のおならがあまりにもくさくてたまりません。 

「くちゃくて(くさくて)たまらないよ……」 
「てへへ、ごめんごめん」 

 にぎやかな小助たちの声を耳にしたトビは、ふたたび海へ目ざそうとつばさをはばたかせています。 

「小助くん、手をはなしたらおちるから気をつけないといけないよ」 

 トビは、あまりにも元気すぎる小助をしんぱいしつつも白い雲がうかぶ青空に向かってすすんでいます。 
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