上 下
270 / 290
小助くんと楽しい冬のきせつ

大すきなゴロ太くんとお父さんかいじゅう

しおりを挟む
 小助とゴロ太は、てっぺんからおりるとかいじゅうたちがくらすどうくつの前へやってきました。なぜなら、池のこおりの上ではすべりやすくておすもうをとろことができないからです。

 どうくつのそばには、小助が作った雪だるまがどうどうと立っています。

「雪だるま! 雪だるま!」
「この雪だるま、小助が作ったのか」
「うん!」

 お父さんかいじゅうは、おすもうをするための土ひょうを太い木のえだを雪の上にまるくえがいています。ここなら、小助たちが力いっぱいのおすもうをすることができます。

 小助が雪の土ひょうの中へ入ると、あいてのゴロ太と向かい合うようにかまえています。はらがけをつけている小助も、ふんどしをつけているゴロ太も、おすもうで自分が強いところをみんなに見せようといきごんでいます。

「それじゃあ、はじめるぞ! はっけよい、のこった!」

 かいじゅうのお父さんのかけ声に合わせて、小助とゴロ太はあいてをおし出そうとおたがいに体をつかんでいます。小助は、ゴロ太を土ひょうの外へ出そうと力いっぱいにおしつづけています。

「うんしょ! うんしょ!」
「ぐぐぐっ、こんなところでまけてたまるか!」

 こんどは、ゴロ太が小助を力いっぱいにおし出そうとしています。けれども、小助のほうも土ひょうぎわからあいてを一気におしかえしています。

 その後も、小助とゴロ太は土ひょうのまん中で組み合いながらあいてをおし出そうとしています。しかし、おたがいの力が強いのでその場からまったくうごくことができません。

「う~んっ! う~んっ! う~んしょ!」
「うぐぐぐぐぐっ……」

 小助は、ありったけの力でゴロ太をおそうといっしょうけんめいになっています。ゴロ太も、土ひょうから出ないようにひっしにこらえています。

 そんな時、小助はゴロ太を力いっぱいにおしているとちゅうで雪の上で足をすべらせてしまいました。それにつられるように、ゴロ太は小助によって雪の土ひょうの上へ後ろからおしたおされました。

「わあ~っ! おちゅもうかった(おすもうかった)! おちゅもうかった!」
「こ、こんな形でまけてしまうなんて……」

 小助が大よろこびしている間、ゴロ太は自分がまけてしまったことにくやしさをかくせないようすです。そんな時、小助はゴロ太のそばへ行って右手をさし出しました。

「お友だち! お友だち!」
「しょうがないなあ。つぎはぜったいにかつからな!」

 こうして、小助とゴロ太はお友だちとしておたがいに右手であく手をしました。おすもうがおわれば、2人とも子どもらしいかわいいえがおを見せています。

 小助の目の前には、お父さんかいじゅうのすがたがあります。すぐにそばへ行くと、さっきと同じようにだっこのおねだりをはじめました。

「ぼうや、だっこがしたいのかな?」
「うん!」

 お父さんかいじゅうは、小助をりょう手でふたたびだきかかえて自分の顔の前まで上げています。小助は、かいじゅうのお父さんを見ながらキャッキャッとわらっています。

「おっ! あいかわらず元気いっぱいだなあ」
「だっこ! だっこ! だっこ!」

 小助のげんきなえがおは、お父さんかいじゅうのほうにもつたわっています。そして、小助がかわいいしぐさを見せていた時のことです。

「ジョパジョパジョパジョパジョパ、ジョジョジョジョジョジョ~ッ」
「わっ!」

 お父さんかいじゅうは、自分の顔へ小助からのおしっこを食らってしまいました。この後も、小助はあいての顔に向かっておしっこをいきおいよくめいちゅうさせつづけています。

「おちっこ(おしっこ)! おちっこ!」
「はっはっは! ぼうやのおしっここうげきにはかなわないよ」

 小助は、おしっこがいっぱい出たおかげでうれしそうにはしゃいでいます。かいじゅうのお父さんも、小助のかわいいすがたにえがおで見つめています。
しおりを挟む

処理中です...