小助くんの小さなぼうけん

ケンタシノリ

文字の大きさ
339 / 347
あつい夏はみんなで大ぼうけん

小助くんとハヤブサの空中でのたたかい

しおりを挟む
 小助とクマの親子をのせたトビは、つばさを広げながらとびつづけています。すぐとなりのほうでは、オオカミの親子をのせたもう1わのトビが大空をすすんでいます。

「わあっ! 田んぼ! 田んぼ! はたけ! はたけ!」
「ふふふ、小助くんはいろんな形の田んぼやはたけを見るのがすきなんだね」
「うん!」

 小助は、広い空から下のほうにどんなものが見えるのかじっとながめています。山おくとはまたちがったけしきに、小助はかわいいえがおで大よろこびしています。

「でも、ここは空の上なのでおちたら大へんなことになるから気をつけようね」
「うん!」

 トビは、せなかにのっている子どもたちにやさしい声でちゅういしています。これは、ちびっこオオカミたちがのっているとなりのトビも同じです。

「ちゃんとトビの言うことを聞くのよ」
「は~い!」

 クマやオオカミのお母さんも、自分の子どもたちがおちないようにじっと見つめています。こうして、2わのトビがいきを合わせながら空をとびつづけると、向こうのほうに海が見えてきました。

「わあ~っ! 海だ! 海だ!」

 小助たちは、広い海がすがたをあらわしたのを空中からじっとながめています。けれども、しまへたどりつくまでゆだんすることはできません。

 なぜなら、トビたちにとってやっかいな鳥が近づいてきたからです。

「おい! ここはおれさまのなわばりだぞ!」
「わわっ! ハヤブサだ!」
「ここからおちないようにしっかりつかまっていないといけないぞ」

 トビたちは、ハヤブサをさけようといったん引きかえそうとします。しかし、どんなににげようとしてもハヤブサはえものをねらおうとおいかけてきます。

「こ、こ、こわいよう~」
「大じょうぶだよ。お母さんがいつもついてあげるから」
「で、でも……」

 子グマたちは、お母さんグマのそばからはなれようとはしません。その間も、おそろしいハヤブサは2わのトビにおそいかかろうとします。

 すると、小助はトビの目の前にせまってきたハヤブサへ思い切ってとびうつりました。そのすがたに、トビはおどろきをかくせないようすです。

「小助くん! そのハヤブサは……」

 トビは大きな声でさけんでいますが、小助はハヤブサのほうにむちゅうになってさけび声が耳に入ってきません。

「いっちょにおちょぼう(あそぼう)! いっちょにあちょぼう!」
「このチビめ! おちょくるのもいいけがんにしやがれよ!」

 ハヤブサは、すばやいはやさで空中をうごき回りまがら小助を下のほうへおとそうとします。しかし、小助はどんなにとび回ってもしっかりつかまっているのでへい気です。

「キャッキャッキャッ、キャッキャッキャッ」
「な、なぜだ! あれだけすばやいはやさでとんでいるのに……」

 自分のなわばりであるにもかかわらず、ハヤブサは小さい人間の子どもをあいてに手こずるばかりでいらだちをかくすことができません。そして、小助がハヤブサの頭にまたがったその時のことです。

「プウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ~ッ」
「うぐっ! と、と、とてもくさい……」

 小助は、ハヤブサの顔へでっかくてげんきいっぱいのおならをみごとにめいちゅうさせました。おならこうげきのようすは、どうぶつたちをのせたトビたちにもすぐにつたわりました。

「プウッ! プウッ! プウッ! プウウウウウウウウウウウウウウウウウウ~ッ」
「うげっ! うげっ! か、かんべんしてくれよ……」

 ハヤブサは、小助からのおならこうげきを4回もつづけて食らってしまいました。小助は、目の前へもどってきたトビにふたたびまたがりました。

 あわててにげるハヤブサをよこ目に、小助はクマの親子と楽しそうにおしゃべりをしています。

「ふふふ、あんなにおそろしいハヤブサであってもおならこうげきで元気いっぱいだね。ケモスケくんといっしょにでっかいイモを食べているし」
「うん! 元気なおなら! 元気なおなら!」

 小助がいつも元気なのは、イモをたくさん食べてからでっかいおならをするおかげです。おそろしいハヤブサも、小助のおならこうげきにすっかりまいってしまったようです。

「広い海の中にうかぶ大きなしまが見えてきたよ」
「しっかりつかまっていないといけないぞ」

 子どもたちとお母さんをのせた2わのトビは、これから向かうしまを目ざしてすすんでいます。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

はじめて言葉を話した青年

藤本夏実
絵本
言葉はどうやってうまれたかを考えたことはありますか?言葉の起源を考え、人との交わり方を気にしながら、書きました。はじめて言葉を話しだしたら、こんな感じかなと思います。

まほうのマカロン

もちっぱち
絵本
ちいさなおんなのこは 貧しい家庭で暮らしていました。 ある日、おんなのこは森に迷い込み、 優しいおばあちゃんに出会います。 おばあちゃんは特別なポットから 美味しいものが出てくる呪文を教え、 おんなのこはわくわくしながら帰宅します。 おうちに戻り、ポットの呪文を唱えると、 驚くべき出来事が待っていました

宇宙人は恋をする!

山碕田鶴
児童書・童話
【第2回きずな児童書大賞/奨励賞を受賞しました。ありがとうございました。】 私が呼んでいると勘違いして現れて、部屋でアイスを食べている宇宙人・銀太郎(仮名)。 全身銀色でツルツルなのがキモチワルイ。どうせなら、大大大好きなアイドルの滝川蓮君そっくりだったら良かったのに。……え? 変身できるの? 中学一年生・川上葵とナゾの宇宙人との、家族ぐるみのおつきあい。これは、国家機密です⁉ (表紙絵:山碕田鶴/人物色塗りして下さった「ごんざぶろ」様に感謝)

神ちゃま

吉高雅己
絵本
☆神ちゃま☆は どんな願いも 叶えることができる 神の力を失っていた

ちびりゅうと びゃっこくんの ふしぎな てんらんかい

関谷俊博
絵本
これも いつもの だましえです。タイトルは「てんらんかい」としましたが、かなり くるしまぎれです。

冒険者ではない、世界一のトレジャーハンターになる!

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」宝船竜也は先祖代々宝探しに人生を賭けるトレジャーハンターの家に生まれた。竜也の夢は両親や祖父母のような世界1番のトレジャーハンターになる事だ。だが41年前、曾祖父が現役の時代に、世界に突然ダンジョンが現れた。ダンジョンの中でだけレベルアップしたり魔術が使えたりする上に、現れるモンスターを倒すと金銀財宝貴金属を落とす分かって、世は大ダンジョン時代となった。その時代に流行っていたアニメやラノベの影響で、ダンジョンで一攫千金を狙う人たちは冒険者と呼ばれるようになった。だが、宝船家の人たちは頑なに自分たちはトレジャーハンターだと名乗っていた。

瑠璃の姫君と鉄黒の騎士

石河 翠
児童書・童話
可愛いフェリシアはひとりぼっち。部屋の中に閉じ込められ、放置されています。彼女の楽しみは、窓の隙間から空を眺めながら歌うことだけ。 そんなある日フェリシアは、貧しい身なりの男の子にさらわれてしまいました。彼は本来自分が受け取るべきだった幸せを、フェリシアが台無しにしたのだと責め立てます。 突然のことに困惑しつつも、男の子のためにできることはないかと悩んだあげく、彼女は一本の羽を渡すことに決めました。 大好きな友達に似た男の子に笑ってほしい、ただその一心で。けれどそれは、彼女の命を削る行為で……。 記憶を失くしたヒロインと、幸せになりたいヒーローの物語。ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:249286)をお借りしています。

処理中です...