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「さーくま、まだ挿れたばっかだよ」
「あ、う……うぅ」
くすくすと笑う声が頭に響く、面白いものを手に入れたんだと笑った結に飲まされた薬の性で体が熱い。ぼんやりとする視界の先に手を伸ばすと、ひんやりとした手が俺の手を握った。名前を呼ぶと嬉しそうに目を細めた咲夜が頭を撫でてくれる。ぐずぐずに溶かされた頭ではそれに甘えることしかできない。
「なに? 二人でイチャイチャして。妬けちゃうな」
「~~~っ」
頬を膨らませた結がずろろと陰茎を引き抜く。完全に抜ける直前で止めて、どちゅんと勢いよく突かれるとびくりと身体が大きく跳ねた。
「あ、あっ、ゆい、それ、やだ、やだ」
「ん~?」
「や、いや、あっ、あっ」
腰の動きは一切止めず、結の大きな手が喉仏のラインをなぞるように撫でる。ぞわぞわとした感覚が背筋を走った。
気持ちいい? と問いかける結の声に答えることができない。恐ろしいほどの快感が身体中を駆け巡っている。いやだと声を上げても、結が止めてくれるはずもなく、俺はあっけなくイった。
「結、今咲真イってるから」
「だから?」
「だからって」
「俺はイけてないし。お前には関係ないだろ、番じゃないんだから」
がくがくと足を痙攣させている俺を見て咲夜が結を制止するが、結はまったく聞き入れる気がないのか腰を止めたりはしない。頭がおかしくなりそうなほど身体に刻み込まれた気持ちいい場所を何度も突かれて、呼吸すら辛くなる。二度、三度、達したかもしれない。段々と身体に力が入らなくなってきている。いま、いまので何回目の、射精だ?
「咲真、上手に潮吹きできる?」
ぐりっと先端を擦られて体の痙攣が止まらない俺は、情けない声を漏らした。いやだ、と意思を示すために頭を振ったが、都合の悪いことは聞かない主義の結だ。そんな主張が通るなんて思っていない。こすこすと陰茎を擦り上げられ、苦痛とも思えるそれに涙が零れる。
「や、もう、結……ゆ、あ、あっ、でる、でるっ」
「いーよ、出して」
「あ、あっ、あ~~~っ」
急激な尿意にも似た何かがせりあがってきて、思わず身体に力がこもる。吐き出したいという欲望に逆らえずにいると、ぷしゃっと音を立てて透明な液体が床を汚した。
「ん~偉い。よくできたね、咲真」
ちゅ、と項でリップ音がして、背筋がぞわぞわと粟立つ。結が一番深いところで射精したのがゴム越しでも分かる。
「よしよし、今日はこの辺にしとこっか」
頭を撫でられて心がじんわりと温かくなる。疲労と安堵からか急激な眠気が俺を襲った。そのまま意識から手を放して眠りにつく。生暖かい舌の感触が、首筋を這った気がしたが、そんなことはもうどうだってよかった。だって、もう誰に噛まれても、俺の番は叶瀬結だけなのだから。
***
「あ、起きた?」
目を覚ますといつもの自分の部屋だ。教室にいたはずだが見慣れた自室で寝ていたということは、おそらく結がおぶって送り届けてくれたのだろう。その証拠に、ベッドの上で隣に寝ころび微笑む結の端正な顔がにこりと笑った。
「結」
「なあに?」
「腰痛い」
「あはは、無理させすぎた? ごめんごめん」
からからと笑う結を恨みがましい目で見る。悪いなんて毛ほども思っていないくせに。
結は涼しい顔でごろんと転がって仰向けになるとスマホを開いた。何を見ているのかは知らないが、機嫌がいいらしい。鼻歌を歌っているのがその証拠だ。
「結」
「んー?」
「ごめん」
「なにが?」
「あ、いや……委員会、とか」
「ああ、そんなこと」
クスっと笑ってスマホを持つ手を下ろし、結は俺を見た。黒い瞳が俺を映す。
「どうだっていいよ。最後に帰ってくる場所が俺のところなら。言いつけを破ったらお仕置きするだけ。反抗したらもっと酷い目に合うってわかってるならそれでいい。そうわかってて反抗的な咲真が可愛いから意地悪してるところはあるけど……でも、えっちする度わかるでしょ、俺以外じゃダメだって」
「…………」
「もう、俺以外じゃダメなんだよ、咲真」
にたりと笑った結が怖い。支配される気分は酷く憂鬱で、自分は自由だと思い込みたい気持ちが反抗心となって現れるたびに、俺から翼を奪うようにその心を折る結。いつだって歪なこの愛は、番関係なんてものがあるから余計にいびつさを増していく。
逃げたい、なんてたまに考えることがあるけど、きっとすぐに見つけられるだろうし、そもそも逃がしてはくれない相手から万が一にでも逃げれたとして、どうやってヒートを乗り切ればいいのだろう。
結以外を受け付けられないこの身体で、狂ったように熱を求める日々をどう過ごせばいい? それに、結は俺のせいで怪我をしたんだ。結を裏切るなんて、できるわけがない。
じっと、結の怪我を見る。眼鏡があると見ずらいその傷口がまた開いたりしないかとか、いつもそんな心配をしている。当の本人はそんなこと気にもしていないのに。
「結」
「ん?」
「おなか、すいた」
「あは、じゃあご飯食べよっか。 景子さんがご飯作ってくれてたよ」
俺の母の名前を出して、下を指さす結に頷いてベッドから降りる。丁寧に処理を施された体が、ぎしりと痛んで、少し悲鳴を上げそうになるのを堪えた。
「さーくま、まだ挿れたばっかだよ」
「あ、う……うぅ」
くすくすと笑う声が頭に響く、面白いものを手に入れたんだと笑った結に飲まされた薬の性で体が熱い。ぼんやりとする視界の先に手を伸ばすと、ひんやりとした手が俺の手を握った。名前を呼ぶと嬉しそうに目を細めた咲夜が頭を撫でてくれる。ぐずぐずに溶かされた頭ではそれに甘えることしかできない。
「なに? 二人でイチャイチャして。妬けちゃうな」
「~~~っ」
頬を膨らませた結がずろろと陰茎を引き抜く。完全に抜ける直前で止めて、どちゅんと勢いよく突かれるとびくりと身体が大きく跳ねた。
「あ、あっ、ゆい、それ、やだ、やだ」
「ん~?」
「や、いや、あっ、あっ」
腰の動きは一切止めず、結の大きな手が喉仏のラインをなぞるように撫でる。ぞわぞわとした感覚が背筋を走った。
気持ちいい? と問いかける結の声に答えることができない。恐ろしいほどの快感が身体中を駆け巡っている。いやだと声を上げても、結が止めてくれるはずもなく、俺はあっけなくイった。
「結、今咲真イってるから」
「だから?」
「だからって」
「俺はイけてないし。お前には関係ないだろ、番じゃないんだから」
がくがくと足を痙攣させている俺を見て咲夜が結を制止するが、結はまったく聞き入れる気がないのか腰を止めたりはしない。頭がおかしくなりそうなほど身体に刻み込まれた気持ちいい場所を何度も突かれて、呼吸すら辛くなる。二度、三度、達したかもしれない。段々と身体に力が入らなくなってきている。いま、いまので何回目の、射精だ?
「咲真、上手に潮吹きできる?」
ぐりっと先端を擦られて体の痙攣が止まらない俺は、情けない声を漏らした。いやだ、と意思を示すために頭を振ったが、都合の悪いことは聞かない主義の結だ。そんな主張が通るなんて思っていない。こすこすと陰茎を擦り上げられ、苦痛とも思えるそれに涙が零れる。
「や、もう、結……ゆ、あ、あっ、でる、でるっ」
「いーよ、出して」
「あ、あっ、あ~~~っ」
急激な尿意にも似た何かがせりあがってきて、思わず身体に力がこもる。吐き出したいという欲望に逆らえずにいると、ぷしゃっと音を立てて透明な液体が床を汚した。
「ん~偉い。よくできたね、咲真」
ちゅ、と項でリップ音がして、背筋がぞわぞわと粟立つ。結が一番深いところで射精したのがゴム越しでも分かる。
「よしよし、今日はこの辺にしとこっか」
頭を撫でられて心がじんわりと温かくなる。疲労と安堵からか急激な眠気が俺を襲った。そのまま意識から手を放して眠りにつく。生暖かい舌の感触が、首筋を這った気がしたが、そんなことはもうどうだってよかった。だって、もう誰に噛まれても、俺の番は叶瀬結だけなのだから。
***
「あ、起きた?」
目を覚ますといつもの自分の部屋だ。教室にいたはずだが見慣れた自室で寝ていたということは、おそらく結がおぶって送り届けてくれたのだろう。その証拠に、ベッドの上で隣に寝ころび微笑む結の端正な顔がにこりと笑った。
「結」
「なあに?」
「腰痛い」
「あはは、無理させすぎた? ごめんごめん」
からからと笑う結を恨みがましい目で見る。悪いなんて毛ほども思っていないくせに。
結は涼しい顔でごろんと転がって仰向けになるとスマホを開いた。何を見ているのかは知らないが、機嫌がいいらしい。鼻歌を歌っているのがその証拠だ。
「結」
「んー?」
「ごめん」
「なにが?」
「あ、いや……委員会、とか」
「ああ、そんなこと」
クスっと笑ってスマホを持つ手を下ろし、結は俺を見た。黒い瞳が俺を映す。
「どうだっていいよ。最後に帰ってくる場所が俺のところなら。言いつけを破ったらお仕置きするだけ。反抗したらもっと酷い目に合うってわかってるならそれでいい。そうわかってて反抗的な咲真が可愛いから意地悪してるところはあるけど……でも、えっちする度わかるでしょ、俺以外じゃダメだって」
「…………」
「もう、俺以外じゃダメなんだよ、咲真」
にたりと笑った結が怖い。支配される気分は酷く憂鬱で、自分は自由だと思い込みたい気持ちが反抗心となって現れるたびに、俺から翼を奪うようにその心を折る結。いつだって歪なこの愛は、番関係なんてものがあるから余計にいびつさを増していく。
逃げたい、なんてたまに考えることがあるけど、きっとすぐに見つけられるだろうし、そもそも逃がしてはくれない相手から万が一にでも逃げれたとして、どうやってヒートを乗り切ればいいのだろう。
結以外を受け付けられないこの身体で、狂ったように熱を求める日々をどう過ごせばいい? それに、結は俺のせいで怪我をしたんだ。結を裏切るなんて、できるわけがない。
じっと、結の怪我を見る。眼鏡があると見ずらいその傷口がまた開いたりしないかとか、いつもそんな心配をしている。当の本人はそんなこと気にもしていないのに。
「結」
「ん?」
「おなか、すいた」
「あは、じゃあご飯食べよっか。 景子さんがご飯作ってくれてたよ」
俺の母の名前を出して、下を指さす結に頷いてベッドから降りる。丁寧に処理を施された体が、ぎしりと痛んで、少し悲鳴を上げそうになるのを堪えた。
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