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ゴブリンの集落を探しに行きました。
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ヒューブはライザ村のドビット村長の家で事情を聞いていた。
「儂らが依頼を出したのは三日前ですじゃ。初めは五匹~七匹くらいがポツリポツリと現れるだけだったんじゃ。それが昨日から十~二十と急に増えましての。儂らも命懸けで戦っておったのですじゃ。しかし、さっきは本当に危なかった。戦える若者が次々と負傷してしまいましてな。正直言って、アナタが来てくださらなかったら、今頃は皆殺しにされておったでしょう」
「急に増えた…ですか?」
「はい」
「成る程。実はこの村に着く前に二十三匹のゴブリンと遭遇しましてね。ふ~む。そうですか。となると(厄介だな)…」
もしかしたらゴブリンの集落があるのかもしれない。それもかなり大規模な集落があるのだろうと想像できた。
二十三匹と二十七匹、合わせて五十匹。
これだけでも相当な異常事態だ。
ヒューブは紙を取り出して、村の状況とゴブリンの集落があるかもしれないという内容をギルマス宛てに書いた。
「誰でもかまいません。領都の冒険者ギルドに走ってもらえませんか。ギルマス宛てに書いたので、それを届けて下さい。事は急を要します」
「わ、分かりました。おい、ラルフ。この村じゃあ、お前が一番足が速い。領都まで走れ」
「わ、分かった。ひとっ走りしてくる!」
ヒューブから手紙を預かったラルフという村人は脱兎のごとくに駆け出した。
いくら足が速いとは言え、ギルドからの応援部隊が到着するのは夕方になるだろう。もしかしたら領軍の出動も予想されるので、最悪明日の朝になるかもしれない。
どのみち、今はヒューブが一人でこの村を守り抜くしかない。
ゴブリンは昼間も動くが、どちらかと言うと夜間のほうが活発な行動をするので、もしかすると今夜はかなりの数で襲撃してくる可能性が高い。
となると、この村の現状では防衛策もままならない。殆どの家屋が半壊し、中には全壊しているものもある。村の防護柵は破壊されているし、まともな武器すら無い有り様だ。
「ドビット村長。今、この村でゴブリンと戦えるのは何人いますか?」
「え!?あ、いや、そうですね…村の男衆を治療してもらったので、それなりに働けるとは思いますが、それでも三人くらいかと…」
「そうですか。では、力仕事ができるのは?」
「それなら、男も女も関係なく村人全員が働けますよ。皆んな逞しいですからね」
「はっはっは。それは助かります。ではまずは防護柵の修繕と、仮の寝床を作って下さい。倒壊していない家屋には、住んでいる人には申し訳ありませんが、年寄りや子供を優先して寝泊まりできるようにしてください」
「分かりました。それで、その、アナタは?」
「ん?ちょっと森の奥に行ってきます」
「森の…奥、に…?」
「はい。ゴブリンの集落があるのかないのかの確認と、集落があった場合にはどれくらいの数がいるのか、上位種がいるかどうかの確認が必要ですから」
「は、はあ…そうですか…あ、あの…」
「何ですか?」
ドビット村長は言いづらい様子でおずおずと言った。
「し、死なないでください」
それはヒューブの事をというよりも、冒険者という主戦力が死んでしまったら、自分達を守ってくれる人がいなくなるのが心配だという意味なのだろう事は直ぐに分かった。
他の冒険者なら、ふざけるなと怒鳴り散らすかもしれないが、ゴブリンの襲撃を受けたばかりの村人にしてみれば、そういう心配は至極当然の事だ。
だから、ヒューブも怒ったりしない。
それどころか、
「死にはしませんよ。俺だって死にたくないし、何よりこの村を守る役目がありますからね」
とドビット村長を、ライザ村の村人達を気遣うようにニコッと笑ってみせたくらいだ。
「それじゃあ、行ってきます」
ヒューブは笑顔で森の奥に向かって行った。
「儂らが依頼を出したのは三日前ですじゃ。初めは五匹~七匹くらいがポツリポツリと現れるだけだったんじゃ。それが昨日から十~二十と急に増えましての。儂らも命懸けで戦っておったのですじゃ。しかし、さっきは本当に危なかった。戦える若者が次々と負傷してしまいましてな。正直言って、アナタが来てくださらなかったら、今頃は皆殺しにされておったでしょう」
「急に増えた…ですか?」
「はい」
「成る程。実はこの村に着く前に二十三匹のゴブリンと遭遇しましてね。ふ~む。そうですか。となると(厄介だな)…」
もしかしたらゴブリンの集落があるのかもしれない。それもかなり大規模な集落があるのだろうと想像できた。
二十三匹と二十七匹、合わせて五十匹。
これだけでも相当な異常事態だ。
ヒューブは紙を取り出して、村の状況とゴブリンの集落があるかもしれないという内容をギルマス宛てに書いた。
「誰でもかまいません。領都の冒険者ギルドに走ってもらえませんか。ギルマス宛てに書いたので、それを届けて下さい。事は急を要します」
「わ、分かりました。おい、ラルフ。この村じゃあ、お前が一番足が速い。領都まで走れ」
「わ、分かった。ひとっ走りしてくる!」
ヒューブから手紙を預かったラルフという村人は脱兎のごとくに駆け出した。
いくら足が速いとは言え、ギルドからの応援部隊が到着するのは夕方になるだろう。もしかしたら領軍の出動も予想されるので、最悪明日の朝になるかもしれない。
どのみち、今はヒューブが一人でこの村を守り抜くしかない。
ゴブリンは昼間も動くが、どちらかと言うと夜間のほうが活発な行動をするので、もしかすると今夜はかなりの数で襲撃してくる可能性が高い。
となると、この村の現状では防衛策もままならない。殆どの家屋が半壊し、中には全壊しているものもある。村の防護柵は破壊されているし、まともな武器すら無い有り様だ。
「ドビット村長。今、この村でゴブリンと戦えるのは何人いますか?」
「え!?あ、いや、そうですね…村の男衆を治療してもらったので、それなりに働けるとは思いますが、それでも三人くらいかと…」
「そうですか。では、力仕事ができるのは?」
「それなら、男も女も関係なく村人全員が働けますよ。皆んな逞しいですからね」
「はっはっは。それは助かります。ではまずは防護柵の修繕と、仮の寝床を作って下さい。倒壊していない家屋には、住んでいる人には申し訳ありませんが、年寄りや子供を優先して寝泊まりできるようにしてください」
「分かりました。それで、その、アナタは?」
「ん?ちょっと森の奥に行ってきます」
「森の…奥、に…?」
「はい。ゴブリンの集落があるのかないのかの確認と、集落があった場合にはどれくらいの数がいるのか、上位種がいるかどうかの確認が必要ですから」
「は、はあ…そうですか…あ、あの…」
「何ですか?」
ドビット村長は言いづらい様子でおずおずと言った。
「し、死なないでください」
それはヒューブの事をというよりも、冒険者という主戦力が死んでしまったら、自分達を守ってくれる人がいなくなるのが心配だという意味なのだろう事は直ぐに分かった。
他の冒険者なら、ふざけるなと怒鳴り散らすかもしれないが、ゴブリンの襲撃を受けたばかりの村人にしてみれば、そういう心配は至極当然の事だ。
だから、ヒューブも怒ったりしない。
それどころか、
「死にはしませんよ。俺だって死にたくないし、何よりこの村を守る役目がありますからね」
とドビット村長を、ライザ村の村人達を気遣うようにニコッと笑ってみせたくらいだ。
「それじゃあ、行ってきます」
ヒューブは笑顔で森の奥に向かって行った。
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