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過去との対峙
溶けゆく傷
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「おいおい、俺の言葉がそんなに嬉しかったか?」
「はい。私は……心のどこかで精霊使いであることが嫌い、でした。家族から蔑まれて……忌まわしい力だって、忌み嫌われて……」
「な!? 忌まわしい力なわけないだろ! あんなに綺麗な光景を見られるのに」
「私の家族は……魔力家の家族は、許してくれませんでした。魔力家の家系に、精霊使いがいることを」
「……」
「私は妾の子供なんです。だから魔力ではなく、霊力を持って生まれた……隠していましたが母は、精霊使いでした」
「そう、なのか。それが理由で、酷いことをされたのか?」
「はい……。私はずっとあの家の奴隷でした。家事も雑用も全部……私がやりました。忌まわしい子供だと言われて、置いておいてやってるだけ感謝しろと言われて……」
「辛い、な」
「はい。悲しくて辛くて……。だけどそれを感じないようにして、二十二年間ずっと耐えてきました。精霊たちとこっそり話すのを唯一の楽しみに……でも、この力が嫌いでもあって……」
「……」
「だけどあのとき、闇の精霊たちに連れ出されてサムさんに会えて……それからシビルさんに迎えてもらえて……精霊使いで良かったって、思えて……」
「ああ。俺はノエラが精霊使いで誇らしいよ。小さい子供のために花束を作って、街全体の洪水の危機をなかったことにして。魔物の相手をして俺が怪我人を治療する時間を稼ぐどころか、その魔物を倒してしまって。どれもこれも全部、ノエラが精霊使いだったからできたことだ」
「……」
「だから、家族に言われたことなんて全部忘れていいんだぞ。すぐには難しいかもしれないが、ノエラが助けた人たちはみんな、ノエラの力を素晴らしいと思ってくれるはずだからな!」
「……はい!」
俺は最後に彼女を抱きしめてあげた。ふう。これでようやく彼女の抱えていたものを知れたな。妾の子とか家系とかくだらない理由でノエラが酷い目に遭っていたと思うと、今すぐにでもクラーセン家に殴り込みに行ってしまいたいところだ。
しかしそんなことをしても何にもならないな。彼女の傍を離れるのも良くない。少なくとも家族の言葉がノエラを煩わせないようになるまでは、事情を知った俺が支えてやらないとな。
ノエラが落ち着くのを待って、俺たちは宿に昼食を頼んだ。バロンは空気を読んだらしく、いつものように絡んではこない。結構なことだ。
というわけでアンヘルも交えて三人で会話をしながら昼食を食べた。アンヘルもノエラのことをしっかりと宥めてくれて、彼女もそれが嬉しかったようだ。それからは中断してしまった精霊使いの店での買い物を再開した。
精霊が見えた感動でつい、俺が店を飛び出してしまったままなのだが、店主は特に気にも留めず同じように迎えてくれた。俺たちはそれをいいことに、彼の店から結構な数の品を買い漁った。
ノエラの財布の負担も気になったが、俺が張り切って魔物を倒して稼げばいいだけなので気にしないことにした。そのおかげか彼女は所持金をかなり失ったが、満足そうに買った品々を鞄に入れていたのが可愛らしかった。正直俺が全部買ってあげたかったが、それはもう言うまい。
そこから市場に行って食材等も買ったが、それはさすがに俺が払った。彼女にひもじい思いをさせたり、昼食の遠慮をさせたくなかったからな。気兼ねなく食材を使って料理してくれれば俺も美味いものが食えるしな!
そんなこんな買い物を楽しんでいたら、いつの間にか日が落ちてしまったのでまた宿に戻った。買い物で息抜きしようと思ったが、思わず彼女の心の内を聞いてしまった。でもそれはすごく意味があることだったと思う!
「はい。私は……心のどこかで精霊使いであることが嫌い、でした。家族から蔑まれて……忌まわしい力だって、忌み嫌われて……」
「な!? 忌まわしい力なわけないだろ! あんなに綺麗な光景を見られるのに」
「私の家族は……魔力家の家族は、許してくれませんでした。魔力家の家系に、精霊使いがいることを」
「……」
「私は妾の子供なんです。だから魔力ではなく、霊力を持って生まれた……隠していましたが母は、精霊使いでした」
「そう、なのか。それが理由で、酷いことをされたのか?」
「はい……。私はずっとあの家の奴隷でした。家事も雑用も全部……私がやりました。忌まわしい子供だと言われて、置いておいてやってるだけ感謝しろと言われて……」
「辛い、な」
「はい。悲しくて辛くて……。だけどそれを感じないようにして、二十二年間ずっと耐えてきました。精霊たちとこっそり話すのを唯一の楽しみに……でも、この力が嫌いでもあって……」
「……」
「だけどあのとき、闇の精霊たちに連れ出されてサムさんに会えて……それからシビルさんに迎えてもらえて……精霊使いで良かったって、思えて……」
「ああ。俺はノエラが精霊使いで誇らしいよ。小さい子供のために花束を作って、街全体の洪水の危機をなかったことにして。魔物の相手をして俺が怪我人を治療する時間を稼ぐどころか、その魔物を倒してしまって。どれもこれも全部、ノエラが精霊使いだったからできたことだ」
「……」
「だから、家族に言われたことなんて全部忘れていいんだぞ。すぐには難しいかもしれないが、ノエラが助けた人たちはみんな、ノエラの力を素晴らしいと思ってくれるはずだからな!」
「……はい!」
俺は最後に彼女を抱きしめてあげた。ふう。これでようやく彼女の抱えていたものを知れたな。妾の子とか家系とかくだらない理由でノエラが酷い目に遭っていたと思うと、今すぐにでもクラーセン家に殴り込みに行ってしまいたいところだ。
しかしそんなことをしても何にもならないな。彼女の傍を離れるのも良くない。少なくとも家族の言葉がノエラを煩わせないようになるまでは、事情を知った俺が支えてやらないとな。
ノエラが落ち着くのを待って、俺たちは宿に昼食を頼んだ。バロンは空気を読んだらしく、いつものように絡んではこない。結構なことだ。
というわけでアンヘルも交えて三人で会話をしながら昼食を食べた。アンヘルもノエラのことをしっかりと宥めてくれて、彼女もそれが嬉しかったようだ。それからは中断してしまった精霊使いの店での買い物を再開した。
精霊が見えた感動でつい、俺が店を飛び出してしまったままなのだが、店主は特に気にも留めず同じように迎えてくれた。俺たちはそれをいいことに、彼の店から結構な数の品を買い漁った。
ノエラの財布の負担も気になったが、俺が張り切って魔物を倒して稼げばいいだけなので気にしないことにした。そのおかげか彼女は所持金をかなり失ったが、満足そうに買った品々を鞄に入れていたのが可愛らしかった。正直俺が全部買ってあげたかったが、それはもう言うまい。
そこから市場に行って食材等も買ったが、それはさすがに俺が払った。彼女にひもじい思いをさせたり、昼食の遠慮をさせたくなかったからな。気兼ねなく食材を使って料理してくれれば俺も美味いものが食えるしな!
そんなこんな買い物を楽しんでいたら、いつの間にか日が落ちてしまったのでまた宿に戻った。買い物で息抜きしようと思ったが、思わず彼女の心の内を聞いてしまった。でもそれはすごく意味があることだったと思う!
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