43 / 84
第五章
高みの火山
しおりを挟む
途中で起こされた二人は再び眠りにテントに戻り、そこからアンデットの出現しない明るい時間帯までぐっすりと眠った。
それからしばらくして二人が目を覚ますと、ポツンと遠くに見える火山目指して一歩ずつ歩いていく。
少しずつ近づいてくるにつれて、ザルムは何故か胸の高まりを感じた。恩人に恩返しができて、その彼でも手ごわいと評する相手と戦うのが待ちきれないのかもしれない。
一方のカイネはずっと胸騒ぎが続いている。悪しき魔物の気配を感じ取っているのか、呪いに対する感度は彼女の右に出るものはいなさそうだ。
山に着いたときには、二人のそれぞれの感情や感覚はさらに大きなものになっていた。
デスメ火山はそれを煽るような荒々しい隆起を見せていて、眼前に広がるは、登るのに苦労しそうな高い絶壁だ。所々に足場になりそうな岩場はあるが、足を乗せたら崩れそうな雰囲気を醸し出していた。
「わかってはいましたがこの絶壁を登り切るのは億劫ですね」
「俺も重鎧でこの岩肌を登っていくのには抵抗があるな」
「そういうときの魔法だと思うです。アロイスさん、あの五レベル魔法がいいと思うです」
「流石ですね、カイネさん。私もそれがいいと思っていました」
詠唱し終わったアロイスの杖から現れたのは鉄の杭だ。それは勢いよく崖の上へと昇っていくと、その下の地面に深く突き刺さった。それに続けて鎖が生み出されれば、それもひとりでに崖を昇っていき、杭にかけられて固定された。おまけに杭の上に岩石を創ってのっければ準備完了だ。
「なるほどな。この鎖につかまりながら登ろうってわけか。あるかどうかも怪しい足場を頼りにするよりよっぽどいいな」
「まずは一番体の軽いマデリエネさんからお願いできますか。もしものときはカイネさんと私の操原魔法で受け止めますよ」
「わかったわ。でもこれならうまく登れそうだわ」
彼女はその言葉通り、鎖を伝いながらすぐに上まで登りきった。続けてアロイスが登る。彼は苦労しながらも上手いこと鎖を使い、しまいには危なげなく登ることができた。
一番重量のあるザルムでも鎖は切れることなく耐えきり、カイネが登って全員が無事山の崖を登って山の三分の一程度の高さまでやってきた。
あとは灰色と茶色の山道を進んでいくのみだ。だが熱水泉のある中腹に行く前にやることがある。
それはノマーツ鉱石などの鉱石類の採取である。せっかくここまで来るのだから少しだけでも採取しようと皆で決めていたのである。
あらかじめ買っておいたつるはしを使って小一時間掘り進むと、なんと6000ナッシュ相当の価値がありそうな鉱物を取り出すことができた。
しかし戦闘前に荷物が重くなってはお話にならない。彼らは取ったもの布でまとめ、隠しておくことにした。
採取作業でどたばたやって、そろそろいい時間になったところでちょうど熱水泉のある中腹にたどり着いた。
それまでの道のりは傾斜が急で、ザルムが盾を落としでもしていたら勢いづいて転がり、すぐにどこかにいってしまっていただろう。だがここでは盾を落としてもどこにいったかはすぐにわかる。しかし取り返せはしないはずだ。
なにせここは高熱の水を溜めた泉がある火山の中腹。周囲に来ただけでも熱気がすごいのに、水の中に入れるはずもなかった。
ましてや辺りはもう暗くなってきている。それによって足元が猛烈に見えづらいのだ。
それを何とか解消するため、アロイスが魔術光を創りだして全体を照らしてみると、入ってすぐのところにはある程度の広い地面があって、ここならアリオクを向かい打てそうだ。
それからしばらくして二人が目を覚ますと、ポツンと遠くに見える火山目指して一歩ずつ歩いていく。
少しずつ近づいてくるにつれて、ザルムは何故か胸の高まりを感じた。恩人に恩返しができて、その彼でも手ごわいと評する相手と戦うのが待ちきれないのかもしれない。
一方のカイネはずっと胸騒ぎが続いている。悪しき魔物の気配を感じ取っているのか、呪いに対する感度は彼女の右に出るものはいなさそうだ。
山に着いたときには、二人のそれぞれの感情や感覚はさらに大きなものになっていた。
デスメ火山はそれを煽るような荒々しい隆起を見せていて、眼前に広がるは、登るのに苦労しそうな高い絶壁だ。所々に足場になりそうな岩場はあるが、足を乗せたら崩れそうな雰囲気を醸し出していた。
「わかってはいましたがこの絶壁を登り切るのは億劫ですね」
「俺も重鎧でこの岩肌を登っていくのには抵抗があるな」
「そういうときの魔法だと思うです。アロイスさん、あの五レベル魔法がいいと思うです」
「流石ですね、カイネさん。私もそれがいいと思っていました」
詠唱し終わったアロイスの杖から現れたのは鉄の杭だ。それは勢いよく崖の上へと昇っていくと、その下の地面に深く突き刺さった。それに続けて鎖が生み出されれば、それもひとりでに崖を昇っていき、杭にかけられて固定された。おまけに杭の上に岩石を創ってのっければ準備完了だ。
「なるほどな。この鎖につかまりながら登ろうってわけか。あるかどうかも怪しい足場を頼りにするよりよっぽどいいな」
「まずは一番体の軽いマデリエネさんからお願いできますか。もしものときはカイネさんと私の操原魔法で受け止めますよ」
「わかったわ。でもこれならうまく登れそうだわ」
彼女はその言葉通り、鎖を伝いながらすぐに上まで登りきった。続けてアロイスが登る。彼は苦労しながらも上手いこと鎖を使い、しまいには危なげなく登ることができた。
一番重量のあるザルムでも鎖は切れることなく耐えきり、カイネが登って全員が無事山の崖を登って山の三分の一程度の高さまでやってきた。
あとは灰色と茶色の山道を進んでいくのみだ。だが熱水泉のある中腹に行く前にやることがある。
それはノマーツ鉱石などの鉱石類の採取である。せっかくここまで来るのだから少しだけでも採取しようと皆で決めていたのである。
あらかじめ買っておいたつるはしを使って小一時間掘り進むと、なんと6000ナッシュ相当の価値がありそうな鉱物を取り出すことができた。
しかし戦闘前に荷物が重くなってはお話にならない。彼らは取ったもの布でまとめ、隠しておくことにした。
採取作業でどたばたやって、そろそろいい時間になったところでちょうど熱水泉のある中腹にたどり着いた。
それまでの道のりは傾斜が急で、ザルムが盾を落としでもしていたら勢いづいて転がり、すぐにどこかにいってしまっていただろう。だがここでは盾を落としてもどこにいったかはすぐにわかる。しかし取り返せはしないはずだ。
なにせここは高熱の水を溜めた泉がある火山の中腹。周囲に来ただけでも熱気がすごいのに、水の中に入れるはずもなかった。
ましてや辺りはもう暗くなってきている。それによって足元が猛烈に見えづらいのだ。
それを何とか解消するため、アロイスが魔術光を創りだして全体を照らしてみると、入ってすぐのところにはある程度の広い地面があって、ここならアリオクを向かい打てそうだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
22
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる