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学園編

サークル勧誘の噂

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明日のことを考えながら、学園から屋敷に戻ったあと、私たちはまずお兄様の部屋に集合した。
本当は、屋敷に戻ったら使用人の方々が「入学式お疲れ様でした!」って出迎えてくれてたんだけど、それどころではなかった… 明日のサークル勧誘について情報共有と対策を立てなきゃとしか考えられなくてね…

お兄様の部屋にあるソファーにそれぞれ腰を下ろし、話し合いが始まった。

「今日の話を聞くに、明日のサークル勧誘は相当危険そうだよね。」

「うん。王族も通う学園で、誘拐や監禁が許されているなんて思わなかったよね。ちょっと卒業生に話を聞いてみたいところだけど…」

たしかに、王族も通う場所なのに誘拐とか監禁とか普通ないよね。それで身近な卒業生といえば…

「ああ、そういうことならアリア先生に聞いてみようか。ちょっとアリア先生呼んできてもらっていいかな?」

うん、アリア先生が1番聞きやすい卒業生だね!お父様とお母様は心配かけると申し訳ないから相談しずらいし…
お兄様が扉前に控えていたメイドさんに指示を出すと「かしこまりました。」と言ってアリア先生を呼びに行ってくれました。

王国魔法師として働いているはずのアリア先生をどうして呼びに行くのかと言いますと…
実は、アリア先生は家庭教師の仕事が始まってからなぜかパパラチアの屋敷で生活を始めたんですよね。初めの頃は王宮に仕事とか行きにくくないのかなって思ったんですけど、それが王宮に仕事に行っているところを見た事がないくらい屋敷にいますし…。たぶん今日もすぐにきてくれる気がします。


コンコンコン

「アリアです。お呼びだと聞き参りました。」

あ、噂をすればなんとやら?アリア先生が来てくれたみたいですね!
それにしても早いなぁ、まだ3分くらいじゃない??こんなの片道の時間な気が… 呼びに行ってくれたメイドさんは戻ってきてないし?
アリア先生は私のことをよく褒めて、私が特別なようなこと言ってますけど、王国魔法師団に所属している時点でアリア先生の方が私より強いですし、十分普通じゃないですから… 教えて貰っているうちにさとりましたよ。

でも今はとりあえず情報収集ですからね、アリア先生の知識を分けてください!


「アリア先生、突然お呼びしてしまいすみません。今日は学園でのことでお聞きしたいことがありまして…」

お兄様が今日あった出来事をまとめて説明し、サークル勧誘について尋ねます。

「ああ、そんなこともありましたね…。えっと、誘拐や監禁というのは少し言い過ぎかもしれませんけど、その話に心当たりがあります。」

アリア先生によると、言葉のように過激なものではないらしい。内容としては、サークル説明の実演中に起きた事故だったみたいで、精霊魔法でこんなことができますよ!という意味を込めて空間転移を披露したらしい。しかしそれがどこで間違ってしまったのか、自分が移動するのではなく人が現れた。
もうお分かりですよね?
そう、急に連れてこられたということは、急にその場から人が消えているわけで、同行者が消えた人は捜索隊を組み、連れてこられた側は慣れない転移の反動で気を失い近くの椅子へ。そして、魔法を使った側にとっても予想外の事だったから捜索隊が動いているという所まで気がまわらずに対応が遅れて「誘拐」。転移された人が見つかった場所が鍵はかかってないけどサークル部屋という閉鎖空間だったから「監禁」。という話が一気に広まったらしい。そして、現在はその内容に尾ひれがついて「サークルの勧誘を断れば誘拐・監禁される」という噂が流れているんだとか。なんだか人騒がせな話ですよね?
でも、本当にサークル勧誘で誘拐や監禁が起きる訳では無いと知って安心しましたね。対策を立てないといけないかもと思ってましたけど、大丈夫そうです!

「それに、もしも魔法による誘拐があったとしても、マグノリア様が作ったピアスの魔道具があれば防ぐことができますので安心してもいいと思いますよ?」

っ!やっぱりアリア先生すごい!
私は「完全結界」のことを知っているはずなのにずっと不安を感じてた…。そうだよ、不意打ちを防ぐための魔法なんだからさらわれる心配もなかったんだよ!
……その頃、私と同じでその事がすっかり頭から抜けていたお兄様とゼフ様は、ピアスの性能を思い出したのか、耳についたピアスに手を伸ばしながら今までの不安を感じていた表情から一転して、晴れたような表情をうかべていた。



それから私たちは、話が落ち着いたタイミングで呼びに来てくれたメイドさんに案内されながら夕食のために食堂へ向かった。今日の夕食は「入学祝い」ということでとても豪華だったよ!誕生日じゃなくてもみんなからお祝いされるのはやっぱり嬉しいね!
それと、さっきまでの不安を両親に話すととても笑われた。 そんな、笑うことではないよね!?さっきまで本当に怖かったんだから!
でも、最悪の事態を想定して行動するのは正しいってお父様に褒められたのは嬉しかったなぁ! 

最悪に備えるということなら、もしも誘拐されても居場所がわかる魔道具だとか、緊急時にすぐに使えるような魔法を閉じ込めた魔道具だとか作ってみたら役に立つかな??


明日への不安も晴れてスッキリしたためか、ベットに入って魔道具について考えていると気がついたら眠ってしまっていた。
いい日になりますように!



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