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本編

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「みんな準備はすんだな?忘れ物も大丈夫か?」

 なんだかんだで二日間この部屋に缶詰だったわけで、書類だらけのこの部屋も少し馴染んできていた。
 そんなわけで、色々私物も出していたことから今一番重要なのは忘れ物がないことなのである。第1ステージで集めたり作った物に、思い出の品だってあるからな。

「大丈夫だ!」
「私も大丈夫よ」
「俺も問題ない」
「俺も。」
「私も!」
「よし、じゃあ出発だ!来る時は何もなかったけど返りも何もないとは限らない。久しぶりの移動になるが、お互い気を引き締めてフォーメーション通りでいくように!」
「「おー!」」


 と、こんな緊張感を纏わせながら来た道を戻ったわけだけど、結論を言えば道中は何もなかった。
 うん、ただ白い廊下と研究室とかに続く扉があっただけだった。
 それに、クラスメイトの声は聞こえたけど会うこともなかったな。知らなかったけど、笑い声って建物内だとよく響くんだな。
 こんな時になんだよ!ってなるかもしれないけど、そのくらい何も起きなかったんだよね… ここまで来ると、なにか起きて欲しいとさえ思うよ。

 まぁ、俺達もゲーム感覚で楽しんでる時あるけど、あっちはあっちで楽しそうに話しながら過ごしてるような感じだったよ。
 うん、モンスターが出たとかグループでも聞かないし、

「俺たちもだけどだいぶ緊張感無くなってきたよなー。あ…」
「ん?ああ、さっきのクラスメイトのことな。」
「そうよね、初めはあんなに怯えてたのにねー?」
「でもおかしなことでもないんじゃないかしら?この世界に来て1ヶ月は経ったし、その間私たちは誰も欠けてないしね。それに、「このステージではまだモンスターも見ていないもんな(ね)」」

 あ!そこニヤリとかしない!綺麗な完璧なハモりだったけど!
 俺の口からついつい漏れてしまった独り言に返答があって、みんなも同じこと思ってる現状に嬉しくなると同時に危機感も感じる。

ーーだって、そのくらいみんな油断してるってことだろうし…


「おい、おまえら。そんなに人のこと考えてて、自分も油断しすぎじゃないか?」
「えー!私はちゃんと警戒してるし!涼ちゃんだって…。う、涼ちゃんはちゃんとしてた…」
「すまない、無意識に警戒が緩んでいた気がする。」
「もういい。ほら、そろそろ着くぞ?......ん?」
「え?」
「は?」

 油断について考えている間に辿り着いた目的地。
 今、第2ステージが始まった場所の扉の前にいるんだけど、どういう訳かその扉の隙間から煙が漏れていた。
 は?どういうことだよ!?
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