フリー台本集

夢なんてなくていい

ふぅ・・・よし

あ、あー・・・これ声入ってるかな・・・？
んんっ(咳払い)


これからちょっとだけ、私の話をしたいと思います
私は舞台が嫌いです、大嫌いです

これまで私は、実際に舞台に立って来ました。
辛くて苦しくて、演出には怒られるわ、仲間とは喧嘩するわ・・・
良いことなんてなかった・・・そう思ってた

でもそれが、無性に愛おしくて、仲間たちと演技するのがとてつもなく楽しくて・・・
でも、舞台に立つのをやめました。やめなければいけなかった

役者って難しいんですよね、もちろん周りからの反対はあるし、何より名前が売れないと儲からない。
そんなこと分かってたんですけどね

私は只、みんなと演技したかった。
別に有名になんてならなくてよかったんですよ。
ただ舞台という形で、何かを作りあげる。それが夢だった

でも、私は

舞台に背を向けた

私は舞台が大嫌いです
大嫌いだと、そう思いたかったんです

そうじゃないとやっていけなかった

これはまぁ、私だけじゃないと思うんですよ
ほかの界隈だってそうです、って言ってしまうと無責任になっちゃいますけど
似た感じじゃないかな・・・て

こんなことがあるから、夢なんて持ちたくなくなるんですよね
人の夢なんて儚いんですよ。
漢字見たらわかりますよね
「人」の「夢」って書いて「儚い」なんですもん。

だから、

だから私は夢を持つのをやめました
舞台で、仲間と演技をすることを

これを聞いている人に伝えたいから、これを撮ってるんです。
夢なんてなくていいんです。
無理に持たなくたって。

夢叶った人って「叶うと思わなかった」っていう人多くないですか？
叶わないもの、それが夢なんです

叶うと思わないなら、最初から見ない方がよくないですか？
だったら、最初から目標を立ててやればいい
「なりたい」じゃなくて「なる」にしてしまえばいい

目標に向かう途中で、どんだけ道草をくっても、迷子になっても構わないんです。
結果、それが目標にたどり着きさえすれば。
夢なんて幻想、私は見ない。

今は舞台に背を向けて・・・いや、逃げて
もう戻る資格なんてないかもしれないけど
絶対に、絶対に脚本を書き上げて、自分の舞台を作り上げてやる

だから、これを聞いている人も、何かを目指しているならあきらめないでほしい。
いつか、目標の先で会えることを楽しみにしています。
またお会いしましょう。


っと・・・ちょっと暗い話になっちゃったかな
ゴホッ、ゴホッ(咳き込む)
・・・間に合うかな