紅の闇 蒼天の光

椎奈風音

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悪夢

第一話

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 ……開けたくない。

 それは――、
 過去に繋がる扉だから。





 あの人と初めて会ったのは、中学2年生の時だった。
 
 当時、家族とあまり上手くいっていなかった俺は、家族の目を盗んで夜の街に繰り出すことが多かった。
 そこで男にしては華奢な外見の俺は、絡まれることが多かった。
 その日もガラが悪そうな男達が俺の行く手を塞いだ。

「ねぇ~、そこの彼女。俺達と遊ばない~?」
 馬鹿な男共が声をかけてくるが、俺は無視して男達の横をすり抜けた。
「無視するなよぉ~。なぁ、いいだろぉ~」
 男に肩を掴まれ気持ち悪さに、男達を睨み付けた。

「どこに目をつけてんの?俺は男だけど」
「男ぉ!?嘘だろ?こんなに可愛い顔してるのに」
(余計なお世話だ!!)
 俺は自分の顔のことを言われるのが大嫌いだ。
 それに男が可愛いなんて言われても、馬鹿にされているようにしか思えない。

「まぁ、男でもよくないか?こんなに美人なら」
「そうだな」
 男達の言葉に、俺の気分は下降していくばかりだ。

(どうしてここにいる奴らは、こんなに馬鹿なんだ?)
 俺はこれからの展開が予想できて、ため息を吐いた。
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