1 / 1
あやかしは危険
しおりを挟む
私はあやかしとか怪談とか、そういう話が大嫌いだ。
夏になるとテレビでよく放送される心霊スポット特集やホラー映画は、映像が流れた時点で即チャンネルを変える。
ビビリだと言われても構わない。
とにかくあの何かが迫ってくるような効果音や映像を見ただけで鳥肌が立つ。
幽霊や妖怪は現実にいない空想の世界のものだとは思うが、作り物だとわかっていても本当に怖い。
私がこんなにもビビリになったのは理由がある。
私には同じ年の幼馴染みがいる。
隣の家に住む彼とは家族ぐるみの付き合いで、高校生になった今でもお互いの家を行き来するほど仲がいい。
彼とは幼稚園から高校までずっと同じクラスで、家でも学校でも一緒に行動することが多かった。
あれは小学生の時に学校の行事で、クラスのみんなとキャンプに行った時のことだった。
夜に二人でペアを組んで肝試しをすることになり、私のペアの相手は幼馴染みだった。
その時までは特別怖いものがなかった私は、二人でスタンプカードが置かれている山の中にある祠を目指して歩いた。
山の中と言っても小学生が迷わず戻ってこられるような平坦な道のりで迷うこともない。
さらに、その日は満月でかなり明るかった。
「ねぇ、凛。ただ歩くだけじゃつまらないから、面白い話しようか?」
「面白い話?」
「……そう。面白い話」
彼がにやりと笑う。
今までの経験上、彼がそんな顔をする時はろくなことがない。
彼は昔から面白いことが好きだ。
面白いと一言で言っても色んなものがあるように、彼の『面白い』はタチが悪い。
「今から行く祠にはある伝説があるんだ」
「伝説?」
「そう。昔からある古いものって、大体何かあるだろう?」
最早嫌な予感しかしない。
その何かを追求することなく帰りたい。
「ここは元々は大蛇の土地。昔、珍しい黄金色をした蛇がいて、その蛇を人間が殺して王に献上品として捧げた。それから、悲劇が起こるようになった。蛇を殺した人間は、王都からの帰りに山賊に惨殺され、献上品を受け取った王は原因不明の病に伏した。王の一族は揃って短命で、子宝にも恵まれない。蛇の祟りだと恐れた人々は、ここに祠を建てた。そしてーー」
そう彼が言った瞬間、電気が切れたように辺りが真っ暗になった。
「……っ!?」
ザワザワと木々が揺れだす。
暗闇の中、じわじわと何かが近づいてくる気がする。
得体の知れない何かを感じて、隣にいた幼馴染みの手を思わず握った。
「凛、本当に怖いんだ。人外のものに手を出すべきじゃない。……闇に呑まれたら最期、もう戻ってこれない」
……だって、君は…………だから。
彼がそう呟いた途端、私の意識は闇に沈んだ。
夏になるとテレビでよく放送される心霊スポット特集やホラー映画は、映像が流れた時点で即チャンネルを変える。
ビビリだと言われても構わない。
とにかくあの何かが迫ってくるような効果音や映像を見ただけで鳥肌が立つ。
幽霊や妖怪は現実にいない空想の世界のものだとは思うが、作り物だとわかっていても本当に怖い。
私がこんなにもビビリになったのは理由がある。
私には同じ年の幼馴染みがいる。
隣の家に住む彼とは家族ぐるみの付き合いで、高校生になった今でもお互いの家を行き来するほど仲がいい。
彼とは幼稚園から高校までずっと同じクラスで、家でも学校でも一緒に行動することが多かった。
あれは小学生の時に学校の行事で、クラスのみんなとキャンプに行った時のことだった。
夜に二人でペアを組んで肝試しをすることになり、私のペアの相手は幼馴染みだった。
その時までは特別怖いものがなかった私は、二人でスタンプカードが置かれている山の中にある祠を目指して歩いた。
山の中と言っても小学生が迷わず戻ってこられるような平坦な道のりで迷うこともない。
さらに、その日は満月でかなり明るかった。
「ねぇ、凛。ただ歩くだけじゃつまらないから、面白い話しようか?」
「面白い話?」
「……そう。面白い話」
彼がにやりと笑う。
今までの経験上、彼がそんな顔をする時はろくなことがない。
彼は昔から面白いことが好きだ。
面白いと一言で言っても色んなものがあるように、彼の『面白い』はタチが悪い。
「今から行く祠にはある伝説があるんだ」
「伝説?」
「そう。昔からある古いものって、大体何かあるだろう?」
最早嫌な予感しかしない。
その何かを追求することなく帰りたい。
「ここは元々は大蛇の土地。昔、珍しい黄金色をした蛇がいて、その蛇を人間が殺して王に献上品として捧げた。それから、悲劇が起こるようになった。蛇を殺した人間は、王都からの帰りに山賊に惨殺され、献上品を受け取った王は原因不明の病に伏した。王の一族は揃って短命で、子宝にも恵まれない。蛇の祟りだと恐れた人々は、ここに祠を建てた。そしてーー」
そう彼が言った瞬間、電気が切れたように辺りが真っ暗になった。
「……っ!?」
ザワザワと木々が揺れだす。
暗闇の中、じわじわと何かが近づいてくる気がする。
得体の知れない何かを感じて、隣にいた幼馴染みの手を思わず握った。
「凛、本当に怖いんだ。人外のものに手を出すべきじゃない。……闇に呑まれたら最期、もう戻ってこれない」
……だって、君は…………だから。
彼がそう呟いた途端、私の意識は闇に沈んだ。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
私の守護霊さん『ラクロス編』
Masa&G
キャラ文芸
本作は、本編『私の守護霊さん』の番外編です。
本編では描ききれなかった「ラクロス編」を、単独でも読める形でお届けします。番外編だけでも内容はわかりますが、本編を先に読んでいただくと、より物語に入り込みやすくなると思います。
「絶対にレギュラーを取って、東京代表に行きたい――」
そんな想いを胸に、宮司彩音は日々ラクロスの練習に明け暮れている。
同じポジションには、絶対的エースアタッカー・梶原真夏。埋まらない実力差に折れそうになる彩音のそばには、今日も無言の相棒・守護霊さんがいた。
守護霊さんの全力バックアップのもと、彩音の“レギュラー奪取&東京代表への挑戦”が始まる──。
私の守護霊さん
Masa&G
キャラ文芸
大学生活を送る彩音には、誰にも言えない秘密がある。
彼女のそばには、他人には姿の見えない“守護霊さん”がずっと寄り添っていた。
これは——二人で過ごした最後の一年を描く、かけがえのない物語。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あやかし旅館、縁結びは四季ちゃんにおまかせ!!
八乙女 忍
キャラ文芸
僕の家は、昔から旅館をしていた。
その旅館には、座敷わらしが出ると言われている。
その座敷わらしを見ると、願い事が叶うと言われていた。
僕は、小さい頃からその座敷わらしと遊んでいる。
僕も年頃になり好きな子ができた。
小さい頃から座敷わらしと、遊んでいた僕の願い事は叶うのだろうか?
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる