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桜花の伝統
第五話
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「別にいいじゃん。減るもんじゃないし」
「あんなのが残っていること自体、嫌なんだよ」
「ああ。夕希、可愛かったからね」
「うるさい!!」
あまりに過熱さを増した兄弟喧嘩に僕は口を挟むことが出来ず、呆然と成り行きを見守った。
「塔哉君も見たいよね、ビデオ」
「はぁ……」
(佐倉さん、この状況で僕に振らないで欲しいんだけど)
いつも穏やかな夕希さんが、あれほど見せるのを嫌がっているビデオだ。
素直に見たいなんて言えるわけがない。
「ほら、塔哉君も見たいって言ってるし、観念しなよ、夕希」
(いや、そんなこと言ってないから!!)
僕が焦りながら、反論しようとしたのと、佐倉さんがビデオの再生ボタンを押したのが同時だった。
「はぁ……」
夕希さんのため息が聞こえて、僕は申し訳ない気持ちになった。
(……だけど、あの夕希さんがあれだけ嫌がるビデオってどんなんなんだろ?)
僕は凄く気になって、ビデオの映像を食い入るように見つめた。
ビデオは劇の最中を撮ったものみたいだ。
今は舞踏会の場面で、ドレスで着飾った女の人と正装した男の人がダンスを踊っている。
その中の一人が画面にアップで映った。
「えっ!?春兄ちゃん?」
『お手をどうぞ。お姫様』
画面の中で、目の前の女の人に手を差し出したのは春兄ちゃんで、僕は驚きのあまり、声を上げてしまった。
「あんなのが残っていること自体、嫌なんだよ」
「ああ。夕希、可愛かったからね」
「うるさい!!」
あまりに過熱さを増した兄弟喧嘩に僕は口を挟むことが出来ず、呆然と成り行きを見守った。
「塔哉君も見たいよね、ビデオ」
「はぁ……」
(佐倉さん、この状況で僕に振らないで欲しいんだけど)
いつも穏やかな夕希さんが、あれほど見せるのを嫌がっているビデオだ。
素直に見たいなんて言えるわけがない。
「ほら、塔哉君も見たいって言ってるし、観念しなよ、夕希」
(いや、そんなこと言ってないから!!)
僕が焦りながら、反論しようとしたのと、佐倉さんがビデオの再生ボタンを押したのが同時だった。
「はぁ……」
夕希さんのため息が聞こえて、僕は申し訳ない気持ちになった。
(……だけど、あの夕希さんがあれだけ嫌がるビデオってどんなんなんだろ?)
僕は凄く気になって、ビデオの映像を食い入るように見つめた。
ビデオは劇の最中を撮ったものみたいだ。
今は舞踏会の場面で、ドレスで着飾った女の人と正装した男の人がダンスを踊っている。
その中の一人が画面にアップで映った。
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