秘密の関係

椎奈風音

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桜花の伝統

第六話

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(なんで、春兄ちゃんが?)
 僕が唖然としているうちにビデオは進み、春兄ちゃんの手を取った女の人が顔を上げた。

(うわ~。凄い美人)
 ふわふわの巻髪に透き通るような白い肌。
 桜色の唇がとても愛らしい。
(でも、この人どこかで見たことがある気がするんだけど……?)
 僕が思い出そうとしていると、ビデオの映像が急に消えた。

「せっかく可愛いんだから、消さなくてもいいのに」
「うるさい!!」
 不思議に思って声がした方を見ると、顔を真っ赤にした夕希さんが、佐倉さんからリモコンを取り返した所だった。

(……まさか)
 僕の頭の中で、夕希さんの顔とさっきの女の人がぴったり重なった。

「マジで!?」
(なんで、夕希さんが女装してるの?)
 頭が混乱して、上手く考えが纏まらない。

「だから、これが桜花の伝統だよ」
 隣に座っていた雄哉が、僕に耳打ちしてきた。
 ……この劇が桜花の伝統行事……?
 それにここは男子校だから、さっきの女の人達は全員男ってことだよね……?

「え~!?」
 僕は驚きのあまり、叫んでいた。


「昔から、称号を持っている生徒と生徒会で劇をやることになってるんだ」
「劇の配役に、個人の拒否権なんてないしね」
「だから、桜花の伝統行事って言われてるんだ」
 皆がやれやれと肩を竦める。
 兄ちゃん達が嫌がっていた理由がわかった気がする。

(そんな伝統行事なら、僕だって嫌だよ)
 正直、聞かない方が良かったかも……。
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