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第3話 天に見放された夜
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視察から帰って来たセシリアは、長椅子にぐったりとその身を横たえた。男の従者とマリアを伴った堤防の視察は、想像以上の惨状だった。領地のインフラは、補修をしても間に合わない早さで老朽化している。最早、対症療法では誤魔化しが利かない。セシリアの私有財産では、これ以上の対策はできなくなっていた。
夫のクリストファーは無関心で放蕩に明け暮れるばかり。領民を守る仕事はセシリアが一手に引き受けている。それなのに、政策を実行するだけの予算は何一つ自由にならない。手足をもがれた状態で動けと言われているようなものだ。セシリアは、領民と夫の板挟みになって、ストレスが極限まで達していた。
「セシリア様、最近食欲が落ちているようなので、厨房で作らせました。蜂蜜と生姜のドリンクです。何でもいいから口に入れてください」
見かねたマリアが飲み物の入ったコップを持って来た。マリアは、母が生きている頃から仕えている忠臣である。まだ30代だが、両親が既にいないセシリアにとって、一番親身になってくれる存在だ。
「ありがとう。今日はこのまま休むことにするわ。夕食はいらないと言ってちょうだい」
セシリアは飲み物を飲み干すと、それだけ言って自室へと戻って行った。夫への報告は明日にしよう。ただでさえ、何を言われるか分からないのに、今はとても体が持ちそうにない。一晩寝れば少しは良くなっているだろう。そう思い早めに床に就く。
しかし、夫に報告する機会は二度と訪れなかった。その日の真夜中、セシリアは突然マリアに起こされた。
「セシリア様! 大変です! 城が! 城が包囲されました!」
思いがけない訴えにセシリアは無我夢中でがばっと飛び起きた。
「今何て言った? 城が包囲されたですって!?」
「不満を抱えた農奴と傭兵団が手を組んだようで、領主を出して城を明け渡せと要求しています! どうしましょう!」
何と……領民の不満が刻一刻と高まる気配は、セシリアも感じ取っていた。一向に姿を現わさない夫のクリストファー。どれだけ隠し通そうとしても、彼が放蕩に耽溺しているのは領民の耳にも入っている。できるだけ不満を反らすために、セシリアが矢面に立ち、自ら足繁く視察にも行っていたのに。
農奴に中途半端に情けをかけたのもいけなかった。不作の年は税率を低くして救済策を取ったりもした。領民を助けるつもりが、傭兵団を雇うだけの経済的余裕を彼らに与えることになってしまったのだ。後悔に苛まれながら唇をかむが、今となっては何もかも遅い。
「すぐにクリストファーを呼んで!」
「それが……旦那様がいらっしゃらないのです」
「何ですって!?」
セシリアは愕然とした。まさか、領民だけでなく自らの側近も捨てて逃げたと言うのか?
「屋敷中くまなく探しましたが、どこにもお姿が見当たりません。愛人たちも姿を消しています。その……何らかの伝手でいち早く情報を入手して逃亡したのではないかと」
「逃亡……」
セシリアは呆然としたまま立ち尽くすしかなかった。こんな事態になってもわが身を守ることしか考えてないのか。あんな男を庇ってきた自分がバカらしく思える。いや、向こうにしてみれば、青薔薇の聖女が力を失って愛想が尽きただけなのだろうが。こんな事態でなければ、呆れる余り乾いた笑いが出るところだ。しかし、生憎城が包囲されているという、のっぴきならない状況である。結局この時もセシリアが前面に立つしかないのだ。
「分かりました。私が行きましょう」
そう言うと、部屋を出てつかつかと歩き出した。そこへ、クリストファーの側近であるトビアスが飛んでくる。トビアスは、クリストファーが連れてきた従者で彼の右腕だ。
「セシリア様! どうか、逆賊討伐のためのご命令を出してください!」
「いいえ、無用な争いはしないわ。こちらは既に主を失い、城も包囲されている。こうなっては手も足も出ない。何とか無血開城できないか交渉してみます」
「何を甘いことを……兵もいるのに戦わずに城を明け渡せと?」
言葉を失うトビアスにセシリアは淡々と告げた。
「彼らの要求は経営権の譲渡でしょう。それさえ叶えば、手荒な真似はしないはず。私の身柄を要求してきたら、進んでこの身を差し出しましょう。無駄な血を流すのは双方とも望んでないはずです」
「ですが……! 農奴や傭兵風情に見くびられるなど、貴族としての沽券に関わります!」
「今更プライドなんてないわ。領民に見放された領主など存在価値はありません。もうどうすることもできない」
「そのような無礼な輩は斬って捨てるまでのことです! ああいう手合いは、下手に出たらどこまでも付け上がります! あなたは、先祖から受け継いだこの城を守る気はないのですか?」
「私が受け継いだのは領土と領民であって、城よりも大事な存在です。それだけの気を吐けるくらい元気なら、手遅れになる前にクリストファーを説得してもらいたかったわね。あなた今まで何をしていたの?」
顔を真っ赤にして黙りこくるトビアスを、セシリアは鼻で笑った。そして、城門の見張り台に上って外を見回す。
見張り台からは、無数のたいまつが城壁の周りを取り囲んでいるのが見える。普段見慣れない光景に思わずぶるっとする。彼らの決死のエネルギーがここまで伝わって来て、夜の冷たい風が夜着を素通りするのも気にする暇がない。セシリアが姿を見せると、農奴の一人が声を上げた。
「なぜ奥様が出てくるのだ。我々が要求しているのは主人のクリストファーだ」
「夫は逃亡しました。ですから、代わりに私がここに来ました。あなた方の要求はなんですか?」
彼らの間に動揺が広がるのが伝わる。そこかしこから怒号も聞こえてくる。そこへ、馬に乗った見知らぬ男が前に出てきた。ここでは珍しい黒い髪。これが味方に付けた傭兵団の隊長だろうか。男はセシリアに向かって声を上げた。
「逃亡させたの間違いじゃないのか?」
「兵も家臣も置いてけぼりです。今更何を取り繕うことがありましょうか?」
「話し合いを要求する。無用な戦いはしたくない。城門を開けろ」
「分かりました。ただしこちらからも要求があります。中の者に手出しはせぬように。それが条件です」
相手から条件を飲むとの回答が得られた。こうして、鈍い音を立てて城門が開かれ、傭兵団と農奴の一味が城の中に入って来た。
夫のクリストファーは無関心で放蕩に明け暮れるばかり。領民を守る仕事はセシリアが一手に引き受けている。それなのに、政策を実行するだけの予算は何一つ自由にならない。手足をもがれた状態で動けと言われているようなものだ。セシリアは、領民と夫の板挟みになって、ストレスが極限まで達していた。
「セシリア様、最近食欲が落ちているようなので、厨房で作らせました。蜂蜜と生姜のドリンクです。何でもいいから口に入れてください」
見かねたマリアが飲み物の入ったコップを持って来た。マリアは、母が生きている頃から仕えている忠臣である。まだ30代だが、両親が既にいないセシリアにとって、一番親身になってくれる存在だ。
「ありがとう。今日はこのまま休むことにするわ。夕食はいらないと言ってちょうだい」
セシリアは飲み物を飲み干すと、それだけ言って自室へと戻って行った。夫への報告は明日にしよう。ただでさえ、何を言われるか分からないのに、今はとても体が持ちそうにない。一晩寝れば少しは良くなっているだろう。そう思い早めに床に就く。
しかし、夫に報告する機会は二度と訪れなかった。その日の真夜中、セシリアは突然マリアに起こされた。
「セシリア様! 大変です! 城が! 城が包囲されました!」
思いがけない訴えにセシリアは無我夢中でがばっと飛び起きた。
「今何て言った? 城が包囲されたですって!?」
「不満を抱えた農奴と傭兵団が手を組んだようで、領主を出して城を明け渡せと要求しています! どうしましょう!」
何と……領民の不満が刻一刻と高まる気配は、セシリアも感じ取っていた。一向に姿を現わさない夫のクリストファー。どれだけ隠し通そうとしても、彼が放蕩に耽溺しているのは領民の耳にも入っている。できるだけ不満を反らすために、セシリアが矢面に立ち、自ら足繁く視察にも行っていたのに。
農奴に中途半端に情けをかけたのもいけなかった。不作の年は税率を低くして救済策を取ったりもした。領民を助けるつもりが、傭兵団を雇うだけの経済的余裕を彼らに与えることになってしまったのだ。後悔に苛まれながら唇をかむが、今となっては何もかも遅い。
「すぐにクリストファーを呼んで!」
「それが……旦那様がいらっしゃらないのです」
「何ですって!?」
セシリアは愕然とした。まさか、領民だけでなく自らの側近も捨てて逃げたと言うのか?
「屋敷中くまなく探しましたが、どこにもお姿が見当たりません。愛人たちも姿を消しています。その……何らかの伝手でいち早く情報を入手して逃亡したのではないかと」
「逃亡……」
セシリアは呆然としたまま立ち尽くすしかなかった。こんな事態になってもわが身を守ることしか考えてないのか。あんな男を庇ってきた自分がバカらしく思える。いや、向こうにしてみれば、青薔薇の聖女が力を失って愛想が尽きただけなのだろうが。こんな事態でなければ、呆れる余り乾いた笑いが出るところだ。しかし、生憎城が包囲されているという、のっぴきならない状況である。結局この時もセシリアが前面に立つしかないのだ。
「分かりました。私が行きましょう」
そう言うと、部屋を出てつかつかと歩き出した。そこへ、クリストファーの側近であるトビアスが飛んでくる。トビアスは、クリストファーが連れてきた従者で彼の右腕だ。
「セシリア様! どうか、逆賊討伐のためのご命令を出してください!」
「いいえ、無用な争いはしないわ。こちらは既に主を失い、城も包囲されている。こうなっては手も足も出ない。何とか無血開城できないか交渉してみます」
「何を甘いことを……兵もいるのに戦わずに城を明け渡せと?」
言葉を失うトビアスにセシリアは淡々と告げた。
「彼らの要求は経営権の譲渡でしょう。それさえ叶えば、手荒な真似はしないはず。私の身柄を要求してきたら、進んでこの身を差し出しましょう。無駄な血を流すのは双方とも望んでないはずです」
「ですが……! 農奴や傭兵風情に見くびられるなど、貴族としての沽券に関わります!」
「今更プライドなんてないわ。領民に見放された領主など存在価値はありません。もうどうすることもできない」
「そのような無礼な輩は斬って捨てるまでのことです! ああいう手合いは、下手に出たらどこまでも付け上がります! あなたは、先祖から受け継いだこの城を守る気はないのですか?」
「私が受け継いだのは領土と領民であって、城よりも大事な存在です。それだけの気を吐けるくらい元気なら、手遅れになる前にクリストファーを説得してもらいたかったわね。あなた今まで何をしていたの?」
顔を真っ赤にして黙りこくるトビアスを、セシリアは鼻で笑った。そして、城門の見張り台に上って外を見回す。
見張り台からは、無数のたいまつが城壁の周りを取り囲んでいるのが見える。普段見慣れない光景に思わずぶるっとする。彼らの決死のエネルギーがここまで伝わって来て、夜の冷たい風が夜着を素通りするのも気にする暇がない。セシリアが姿を見せると、農奴の一人が声を上げた。
「なぜ奥様が出てくるのだ。我々が要求しているのは主人のクリストファーだ」
「夫は逃亡しました。ですから、代わりに私がここに来ました。あなた方の要求はなんですか?」
彼らの間に動揺が広がるのが伝わる。そこかしこから怒号も聞こえてくる。そこへ、馬に乗った見知らぬ男が前に出てきた。ここでは珍しい黒い髪。これが味方に付けた傭兵団の隊長だろうか。男はセシリアに向かって声を上げた。
「逃亡させたの間違いじゃないのか?」
「兵も家臣も置いてけぼりです。今更何を取り繕うことがありましょうか?」
「話し合いを要求する。無用な戦いはしたくない。城門を開けろ」
「分かりました。ただしこちらからも要求があります。中の者に手出しはせぬように。それが条件です」
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