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第18話 新しい生活をルームメイトと
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突然部屋に入って来た人物を見て、ビアトリスはポカンと口を開けた。もちろん初対面の人物だ。この家にいるということはセオドアの家族だろうか?
ビアトリスとは同年代くらい、丸い眼鏡をかけ、前髪を短く切り揃え、長い髪は編み込んでいる。背は低いが、勝気そうな眼差しをしており、何やらただ者ではない雰囲気があった。
「ごめんね、びっくりしましたよね。紹介します、僕の妹のアンジェリカです。『紅の梟』の編集を手伝ってもらってる関係で、エリオットとも知り合いなんです。おい、アンジェ。初対面の人にそんな登場をしたらびっくりさせてしまうだろ? もう少し考えなよ」
セオドアは笑いをかみ殺しながらアンジェリカをたしなめる。ビアトリスは、衝撃からまだ完全に立ち直らないながらも自己紹介をした。セオドアに妹がいたことも、その妹が突然乱入して来たのも思いがけないことだ。
「一度セオドアと一緒にブラッドリー家に行った時に、ユージンを見たことがあるけど、ほんっっと胸糞悪いクソ兄貴だった! ああいう手合いは、弟だけじゃない、多分結婚しても奥さんを支配下に置くわ。クソ男の典型例よ! あんな奴が社交界でちやほやされてるなんて信じられない! 外面だけいいにも程がある! この機会に化けの皮をはがしてやらなきゃ!」
アンジェリカの剣幕にビアトリスが押されていると、セオドアが代わりに補足説明をしてくれた。
「アンジェリカは、女権拡張運動をしていて、たまに『紅の梟』の手伝いをしてくれるんだよ。彼女みたいな人間にとって、ユージンみたいなタイプが最も憎むべき男性像らしくて。ユージンの本性を見抜けないエリオットも頼りないと思ってるみたいだけど、それを除外してもユージンは許せないって常々言ってたんだ。そこに君が現れたものだから」
「ねえ、ビアトリス。しばらく王都にいることになると思うけどこれからどうするつもり?」
アンジェリカはビアトリスに興味津々のようで、積極的に話しかけてきた。
「あ……そう言えば今まで考えてなかった。そうですね、どこかに単身用アパートを借りて暮らそうかと……」
「それなら一緒に住もうよ! 私も実家を離れたいと思ってたところなの! シェアハウスみたいにすれば家賃も節約できるし。いいでしょ、お兄様!」
「僕は知らないよ。お父様とお母様に相談して来い。それよりまずビアトリスがうんと言ってないのに勝手に話を進めるな」
「私はいいわよ。むしろ、王都は初めてで不案内だから、誰か側にいてくれると心強いくらい。よろしく、アンジェと呼んでもいい?」
「もちろんよ! あなたのことは一目見た時から気に入ったわ! 廊下から二人の会話を聞かせてもらったけど、理知的でしっかりした女性というのが分かった。あなたみたいな女性が増えると、世の中がもっとよくなるんだけどね。おっと、とにかく両親に相談しなきゃ。アパートが決まるまでは、ここに滞在して行ってね! ブラッドリーの屋敷ほど豪華じゃないけど」
そう一気に言うと、アンジェリカはさーっといなくなった。つむじ風がこの部屋を突っ切ったような心地に包まれる。セオドアがやれやれとため息をついて言った。
「騒がしくてごめんね。アンジェはいつもああなんです。でも兄の自分が言うのも何だけど、悪い子ではありません。きっとあなたの助けにはなってくれると思う。ちょっと押しは強いけど……」
「こちらこそありがとうございます。私も助かります。王都には何度か観光で来たことがあるくらいで、すっかり不案内なものですから」
家の格としてはやや下がるのかもしれないが、ブラッドリー家や実家のテレンス家よりも和やかで温かい空気に包まれている。セオドアの両親にも挨拶したがやはり穏やかな人だ。ビアトリスは、この兄妹を見て羨ましく思った。
こうして、目まぐるしい一日は終わり、そのままアダムズ家に一泊させてもらうことになった。
(色んな事があったな……エリオットには何も言わず出てきてしまったけど、今頃どうしているだろう。ユージンに八つ当たりされてないといいけど……)
一日に長距離を移動したビアトリスは、前日眠ってなかったこともあり、すぐに瞼が重くなった。憧れだった王都での生活一日目はこうして幕を閉じた。
**********
アンジェリカは無事に両親の許可を取りつけ、ビアトリスと共同生活をする運びとなった。女性二人でも安全で快適に過ごせる貴族用のアパルトマンを探し、通いの使用人も確保し、数日後にはそこで生活を始めた。
一方、セオドアはビアトリスの話を聞いてからすぐにエリオットに会いに行った。馬車で半日以上かかる場所にあるのに申し訳なく思う。セオドアのような友人がいてくれて本当に助かる。彼には世話になりっぱなしだ。
「ねえ、ビアトリス。まるで学生時代に戻ったみたいで楽しいね? 一度親元を離れてみたかったからいい機会だわ」
アンジェリカは、すっかり浮かれていた。さすがのビアトリスもアンジェリカの押しの強さの前ではおしとやかな方になってしまう。
「それもそうね。一人で王都に来て不安だらけだったけど、あなたがそばにいてくれると安心するわ。学生時代友達なんていなかったから、あなたが初めての友達になるし」
「えっ、そうだったの? 全然そういう風には見えないけど?」
「本当よ。同じ年頃の女の子が好きそうな話が私は苦手だったし、逆にみんな本なんてそこまで読まないから……自分と話が合う人に出会えたのは、エリオットが初めて、でも友人じゃなくて夫ね。身内になってしまうわ」
自分からエリオットの名前を出して、そう言えばエリオットは今頃どうしているのだろうかと気になった。自分は念願の王都生活で浮かれているところがないと言ったら嘘になる。でもエリオットは、今もなおあの家に留まっているのだ。ユージンから送金を止められるのが怖くて身動きできないでいる。そんな状況に彼を追いやってしまったことに対し、申し訳ない気持ちがむくむくと膨れ上がった。
「どうしたの? そんなに難しい顔をして? やっぱりエリオットが気になるの?」
アンジェリカに図星を突かれて、ビアトリスはうろたえた。
「兄さんが行ってくれたから大丈夫よ。なんとかなるわ。それにあなたが来る前は元々二人だったんでしょう? それにしても、ちょっとエリオットも弱いと思うのよね。どうして傍目にも丸わかりの兄貴のパワハラに長年気付かないのかな?」
「子供の頃から巧妙な手口で騙されてきたから、ずっと気付けないでいるのよ。実の母親からも疎まれていたくらい愛情に飢えている上に、口先だけは甘い言葉で絡め取って来るから刹那的に縋ってしまう。そんな状況が何年も続いたら、簡単に呪縛から解放されないと思うわ」
「例えそうだとしても、大人になったら誰かのせいにすることはできないんだよ。全部自分の責任に跳ね返ってきちゃうの。それが社会ってもんよ」
アンジェリカの言う通りだ。大人は、自分のことは自分で決めなければいけない。なのに、ビアトリスは、エリオットを自分の都合で操作しようとしてしまった。彼が自ら言い出すのを待つべきだった。やっぱり、ユージンのやっていることとそう変わらない。ユージンを激しく責める権利なんてないと思ってしまう。
そこへセオドアが訪ねて来た。旅行用のコートを着けている状態を見ると、エリオットのところへ行って戻って来たその足でここに立ち寄ったのだろう。ビアトリスはすぐに熱いお茶を用意して彼をもてなした。
「二人とも新居の住み心地はどうかな? こっちもエリオットに会って来たよ。思ったより元気そうだった。向こうもビアトリスのことを気にしてた」
「よかった! とりあえず無事そうで。ずっと心配してたんです」
セオドアは、この時曖昧な笑みを浮かべた。どうも嘘をつくのは得意ではない。でもビアトリスにはこう言っておかないと、収集付かなくなりそうなので仕方なかった。
★★★
最後までお読みいただきありがとうございます。
恋愛小説大賞エントリー中です。
セオドアの妹キャラ濃いな!と思ったら清き一票をお願いします!
「忘れられた王女は獣人皇帝に溺愛される」も同時連載中です。こちらはシリアス度高めです。
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アンジェリカの剣幕にビアトリスが押されていると、セオドアが代わりに補足説明をしてくれた。
「アンジェリカは、女権拡張運動をしていて、たまに『紅の梟』の手伝いをしてくれるんだよ。彼女みたいな人間にとって、ユージンみたいなタイプが最も憎むべき男性像らしくて。ユージンの本性を見抜けないエリオットも頼りないと思ってるみたいだけど、それを除外してもユージンは許せないって常々言ってたんだ。そこに君が現れたものだから」
「ねえ、ビアトリス。しばらく王都にいることになると思うけどこれからどうするつもり?」
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「もちろんよ! あなたのことは一目見た時から気に入ったわ! 廊下から二人の会話を聞かせてもらったけど、理知的でしっかりした女性というのが分かった。あなたみたいな女性が増えると、世の中がもっとよくなるんだけどね。おっと、とにかく両親に相談しなきゃ。アパートが決まるまでは、ここに滞在して行ってね! ブラッドリーの屋敷ほど豪華じゃないけど」
そう一気に言うと、アンジェリカはさーっといなくなった。つむじ風がこの部屋を突っ切ったような心地に包まれる。セオドアがやれやれとため息をついて言った。
「騒がしくてごめんね。アンジェはいつもああなんです。でも兄の自分が言うのも何だけど、悪い子ではありません。きっとあなたの助けにはなってくれると思う。ちょっと押しは強いけど……」
「こちらこそありがとうございます。私も助かります。王都には何度か観光で来たことがあるくらいで、すっかり不案内なものですから」
家の格としてはやや下がるのかもしれないが、ブラッドリー家や実家のテレンス家よりも和やかで温かい空気に包まれている。セオドアの両親にも挨拶したがやはり穏やかな人だ。ビアトリスは、この兄妹を見て羨ましく思った。
こうして、目まぐるしい一日は終わり、そのままアダムズ家に一泊させてもらうことになった。
(色んな事があったな……エリオットには何も言わず出てきてしまったけど、今頃どうしているだろう。ユージンに八つ当たりされてないといいけど……)
一日に長距離を移動したビアトリスは、前日眠ってなかったこともあり、すぐに瞼が重くなった。憧れだった王都での生活一日目はこうして幕を閉じた。
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「どうしたの? そんなに難しい顔をして? やっぱりエリオットが気になるの?」
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そこへセオドアが訪ねて来た。旅行用のコートを着けている状態を見ると、エリオットのところへ行って戻って来たその足でここに立ち寄ったのだろう。ビアトリスはすぐに熱いお茶を用意して彼をもてなした。
「二人とも新居の住み心地はどうかな? こっちもエリオットに会って来たよ。思ったより元気そうだった。向こうもビアトリスのことを気にしてた」
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