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第4章 街道は続くよ何処までも
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しおりを挟むへぇ、これがパパの実家かぁ……。お城だね。立派立派。
心のなかで拍手を送ると馬車から降りて愛馬のもとに移動した。
「お疲れ様だよ~。疲れたよねぇ~……。うん、うん、そうだよね~……」
今日も休憩をかなりして、やっとたどり着いたのだ。パパが俺にくれたルイスを撫でていると前方で何やらワーワーと怒鳴り散らす声が聞こえた。
「ん? うん、うん、そうだねぇ~……。煩いねぇ」
え、馬の言葉がわかる? わかるわけないでしょ。俺の独り言を会話風にしてルイスを仲間にしてるだけだよ。
ちなみにちゃんと撫でたいから繋いだのをトーマスが解除してくれた。
鞍が乗せられてるのは万が一、馬車や道中に何かあったときに乗れるように。今ならルイスの背中に乗って逃げられるなぁ~と思いつつもルイスに抱きついていると何故か知らない人に両脇を固定された。
「は?」
「お前がグレンを唆した小僧か! 今すぐここから立ち去るなら命は助けてやろう。即刻立ち去れ!」
なんかよくわからない気違いな爺がいました。
あ、ごめんなさい? えーっと、老人特有の怒鳴り散らし? 耳が遠いから大声になるっていう……。うん、よくわからないけど偉そうなお爺ちゃんが立っている。
「父上! 父上がなんと言おうとルカは私の子供です!」
「お前は騙されとるのだ!」
あー、さっきから煩かったのこれかぁ……。
立ち去れってことは出ていけってことだよね? 出ていけってことはお前はうちの子じゃありません! と同じことだよね?
よっしゃぁ! 自由だぁぁぁぁぁぁぁぁっ!
……てのは置いといて、家具要らないから捨てていいですか?
「ねぇ、パパ。預かってる荷物はここに置いていってイイ? 良いよね」
俺はポイポイとだだっ広い庭に王都から持ってきた家具をすべて置いていった。でも嫌がらせもしたいのでテトリスのようにキッチリ上へ積み上げた。
その光景にパパはガックリと肩を下ろし、爺は目が飛び出すのか見開いていた。
「よし、スッキリしたぁ。じゃあ、急に決まったことですし、申し訳ない気持ちはあるのですが、今までお世話になりました!」
ペコリと頭を下げると門へ向かって歩きだしたがルイスに服をくわえられた。連れていけってことかしら……。うむ、ならば連れていこう。
歩きだと色んな人に捕まっちゃうし? いい人も悪い人も含めてね。
俺、要らない子認定されたから出ていく気満々だし?
「パパ。ルイスが離してくれないからこの子はもらってくね。じゃーねー!」
背中に乗ると俺は逃げるようにパッカパッカと走り出した。
さて、これから何するかな。森でスローライフにするかな……。
「るー、こら待て!」
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