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第8章 戻ってきた日常……?

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「ルカ様。実はつい先程ですが、ガルシアとの境で原因不明の熱病。つまりは流行り病が確認されました。とはいっても毎年この時期になるとどこの国も領地も似たような病が発生しましてね。この時期が来たかぁ~と言う気持ちも少なからずあり──」
「ヨハン! 言うな」
「ん? 熱病? 流行り病? この時期と言うか季節特有ってこと? うーんと、えーっと、とりあえず病にかかった人の症状はどういったものなの? 昨年ので構わないからその病で亡くなった人はいるの? 患者の総数と亡くなった人の人数は? 致死率に関しては報告に出てる?」

 淡々と質問するとパパ達は呆気に取られたような顔をしていた。
 なぜ流行り病が発生したと教えてくれたヨハンまでそんな顔をするのか──。
 ウィルス性出血熱や狂犬病の方が体験もなにもしてないから個人的には怖いですけどっ?
 パパの制止もむなしく報告書を読むヨハンに感謝しつつも症状を聞いているとなんでだろうね。
 冷静と言うかどんどん落ち着いていく自分がいますよ。

「なんだか冷静だね。ルカは死んでしまうかもしれないのに怖くないのかい? ルカだって王都であんなに高熱で苦しんだのに」

 パパ。あれはトンネル掘りで体を冷やし続けた結果です。
 てか、あれも流行り病と捉えられてたのか……って、おぉ! 今更感が凄いね!

「怖い? うーん、確かに死ぬのは怖いですけど……。怖いけども何て言うのかな、僕からしたらヨハンが言ってた症状とか聞いてもそれは今の季節が冬なんだから当たり前だと思うし、住居や衣類だって下の人へ行けば行くほど壁や布は薄くなって防寒なんてものは存在しなさそうだし──」

 当たり前のことを言うけども壁が薄いってことは寒いと言うことで、衣類だって着回してるのだからそもそも手元にないのが現状。
 重ね着なんて出来やしないだろう。
 暖を取るにしても暖炉は各家庭にあるものなのか?
 それに報告された症状だって高熱、咳、鼻水・鼻づまり、喉の痛み、悪寒、全身の倦怠感、体の痛み、頭痛それって有名なところで当て嵌めるなら風邪、もしくは悪くてインフルエンザの症状だよね?
 新種の病気の可能性も無くはないけど、まずはその二点でしょ?
 症状が現れた後、緩やかに悪化するなら風邪だろうし、急激に悪化するならインフルエンザ。
 どちらもウィルスが原因だけど同じものではないから全くの別物。
 とはいえ調べる術がないから一緒くたにされてるのかな?
 今までのことを考えればあり得る話だよね。
 うーん。あ、そっか、そうだった。そうだったよ!
 予防接種どころかこの世界って薬がそもそも存在しないんだったわ!


 ハーブは雑草! つまり生薬も毒薬だって元を正せばただの雑草なんだよ!


 (誰も言ってないけども)言われてみれば先進国ですらインフルエンザで毎年たくさんの人が亡くなってるんだったよね。
 そう思い出すというか改めて認識するとインフルエンザはかなり怖いな!
 でもそもそもの話、日本みたいな健康保険制度がないから高い診察代と高い治療費を払ってまで診察を受けたくないし、受けられないってのが主な理由じゃね?
 うーん、つまりはこの世界も保険なんてものは存在しないから患者さんは皆ぼったくられるのかな?
 それともヤブ医者の悪なき追求のために生体実験に使われたりするの?
 うわぁ、生体実験それだけはマジで勘弁してほしいな。
 患者を助けずに自分の目的のための実験とかに使ってるとしたら──。

 確実にサイコな奴以外医者を目指す奴がいなくなるっ!

 あ、そうでした。
 変なところで好奇心旺盛なパパ達にインフルエンザって何? と聞かれても俺自身がウィルスとかわからないから名称は熱病のままでいいや!
 説明を求められても高熱が出る病のことですよと言えるし、聞いた人も納得するくらい分かりやすい名前だと思うんだ。




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