クソゲーの異世界で俺、どうしたらいいんですか？

第９章 いつもより羽目を外した気がするの

３

「まず診療所には子供も運ばれてきたのですが、熱が下がると彼らはそれはそれは外で遊びたがりました。あえて口にはしなかったですけど腹が立ちますよね～……。僕や診療所にいるメンバーのやってきたことを一瞬で無にしたがるんですよ？　殴らなかった僕は偉いと思うの」
「ルカ。それはまた日を改めて聞くから、続きをいいかな？」

　はっ！　パパが呆れたような顔をしている。
　そっと隣のゼノさんを見れば「お前、バカなの？」と言いたげな顔で小さくため息までついてた。
　でもさ、ゼノさんだって傍にいたんだからわかるでしょ？
　侍女もあの時は鬼になってたんだよ？　その姿を見た子供から大人しくなっていったけど……。

「ゴホン。……えーっと、とにかく熱か下がったとはいえ、室内でも走らせたりしたらまた病を拗らせてしまいますので部屋担当の侍女に絵本などを読み聞かせをさせたりしたのですが、その時だけは彼らはとても大人しく聞き入ってました。そして嬉しそうに次の本をせがみます。それもその筈です。彼らにとってははじめて聞く物語なのです。家には本もなければあったとしても親も彼らも読めないのですから──。そこで思ったのですよ。彼らに文字を教えれば大人になったときに農作物など買い付けに来る商人たちの中には悪どい方もおりましょう？　その時、必ず書面でのやり取りになるはずです。文字が読めれば内容は理解できます。簡単な計算を知っていれば少なからず騙されることもなくなるでしょう。そしてなによりも職業を選ぶこともできる。この学校に関しては未来への投資と思っていただきたいのです」

　なんか他人事になるけど俺ってさ、敬語使うと詐欺師感が強くね？
　色んな事を認めたくはないが、今回に関しては『見た目子供詐欺』っていうのか？
　何やらパパや侯爵。シエロさんにゼツさんと上層部の人間が集まってるのでそれぞれの意見でも聞くのかな？
　もうさ、会議室に移動しようよ。
　謁見の間で相談し始めても逆にやりにくそうだし、まとまらなさそうだよ。

「ルカ、その学校の講師はどうするつもりだ？」
「そうですねぇ、隠居された騎士や文官の方を雇うのは如何でしょう？　雇用することで彼らの収入も増えますし、金があれば各町での買い物も必然と増えるかと……。つまりは巡りめぐって収益が増えることにより税収も増えますから悪くはないと思われます。ただ、農民の子供は働き手の一人になっていますから、朝は家の手伝いで授業は昼に行うのが良いかと……。あとゼノから聞きましたが小さな村や町では子供が近くの川に水を汲みに行くと聞きました。私個人の意見ですが、何が含まれているかわからない水を飲ませるのはお薦めしません。命を落とす危険がありますので町や村の中に幾つかの井戸を作れば住民が水を飲むことで死ぬことは減り、逆に子供の数が増えると思われます。そして離れた川へ取りに行く仕事がなくなれば、その開いた時間は授業を受ける時間へと変更できると推測します。井戸に関してはグレン兄様にヤト兄様。アイル姉様が今携わっている事業に含まれてますから兄様方にお願いしたいところですね」

　だって俺、知ってるんだよ？　兄の手紙で読んだもん！