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第9章 いつもより羽目を外した気がするの

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 薄暗く重たいドアの前でなにかに耐え──気を張っている様な顔をして待機していたアンドレアさんが俺たちを見るなり苦笑いして開けてくれたので更に下へと下りていく。
 なるほど、地下牢ってやつかぁ……。
 なんかこれぞ正しくお城! って感じがする~っ!
 ワクワクしていると抱っこしてくれている兄さんからため息が聞こえた。

「ルカ、こんな場所のどこにワクワクする要素があるんです?」
「え? 何て言うか、地下牢ってワードがなんかお城っぽいなぁ~って……」
「……地下牢ならばフォーリスの王都で暮らしてた家にもありましたけど?」

 ………………え? あったっけ? あ! そうだね、あったね!
 俺の作った脱出地下トンネル入り口を地下牢にしたから出発前、密かに馬小屋にされてたね!
 そんな感じでワーワーキャーキャー(表現があっているかは不明)と色んな話をしながら下りていくと兄がそっと静かに指で何かを指していて、姉はスマホでぱしゃりと撮っていた。
 グレン兄さんは思ってなかった展開らしく一瞬ビクッと体を震えさせたので俺も兄の示す方向に顔を向けた。

「俺の大事な息子を殺そうとするなんて百憶年早いっ」

 百憶年かぁ……。一生かかっても無理ってことですね。
 因みに「百億光年早い!」とか昔の漫画で見た気がするけど、光年って時間じゃなくて距離だよね。
 確か一光年って光や電磁波とかが一年かけて進む距離だったはず。
 間違ってさっきの台詞を使ったら誰かの突っ込み待ちしないと恥ずかしい気がする。
 もし突っ込んでくれなかったら「すっごく遠くにいるとかなんとか突っ込んでよ!」と欲しがってしまいそうなくらい恥ずかしくなりそう……。
 ……なぁ~んて一瞬現実逃避しましたが、どす黒い笑みを浮かべたお父さんが床に寝転んでいるガテン系と言う感じ雰囲気がある体格の良い男性の側頭部を靴の底で踏み、しかも目一杯グリグリしてました。
 全力でぶちギレてるなぁ~……と兄が呟き、姉は姉でうちの真っ白様を殺そうとしたから仕方ないと返事をした。
 まぁ、俺は俺でこの場にお母さんが居なくて良かったと思ってましたけどね?
 たださ、今のように頭グリグリってのはある程度予想してたのよ。
 してましたけどね? でも予想の中ではゼツさん辺りがしてる予定でした。

「おとーさん、またまおーになってる」
「うーん、ルカ? とりあえずお父さんに対して魔王っていうのは止めようか」
「あい!」

 即答して出た言葉が「はい」じゃなかったことで兄達に笑われた。 

「全く、可愛いから許すけど……。でもコイツらはお前を殺そうとしたんだよ?」
「でも、この人たちが自主的に殺しに来たんじゃないんでしょ? お金のためだよね? 個人的にはそれはそれでどうなのかと思うけども、つまりは生活のためでしょ? 悪いのは雇った奴だよね?」
「最終的にはね。確かに人の命は重い。重いけどね、お前の命と比べたら雲泥の差なのはわかるな? コイツ、赤の他人な?」

 はい。身内の命が上位なのはわかるよ~……。




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