裏側・クソゲーの異世界で俺、どうしたらいいんですか?

けいき

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悪巧みの裏側

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 血の繋がらない自分の可愛い弟達と離ればなれになってから半年以上。内(性格)も外(見た目)も全てが可愛い我が家の末っ子のルカの側にいる弟。これまた見た目だけは可愛らしいヤトから毎日のように届くメールと言う手紙のようなもので彼等の現状は知っている。
 時おり兄さんが恋しくなるのか、ルカが泣くんだけど~……と書かれたときには家を飛び出してルカのもとへ行こうと何度思ったことか……。行こうと思えば日帰りで行けそうだけども──。この家に帰りたくなくなりそうなので我慢している。しかし、自分も部屋に引きこもっているわりには仕事はあり、それがまた何故なのか山積みなのだ。
 まぁ、原因は父上が持ってくる食事と共に仕事(書類)をたくさん置いていくからだ。別にご飯食べなくても生きていけると思う──とはあえて言わないが……。本来は部屋で引き込もってなにもしたくないのだが、祖父母があんなことポンコツになっている現状、やりたくなくても仕事をしなくてはいけないのは仕方ない。

 ~♪~♪~♪

「おや? こんな時間から珍しい……」

 ペンを置いてヤトのメールを確認すると目を疑う事ばかり書かれていた。
 ヤトとルカは現在アンドレアの父親であるシエロ様の治めているピエタ・コスタにいるのは先のメールで知ってはいるのだが……。どうやらそこに亡命(仮)をしたらしき第三王子のシルヴェスター殿下とお付きの騎士数名。そして殿下の側近と言うか次期宰相候補のアレックス様。
 ここまだはそれなりに理解はできるが何故か国王の男妾のマリウス様が来たそうだ。

 あと、曰く付きの数分遅れて召喚された3人の男女──。

 第三王子があえて報告しなかったために認知もされていない彼らも一緒にやって来たと言うからこちらとしては驚きだ。
 私達がルカとヤトの魔法任せの旅というか王都を去る前に潜入が得意な元第四騎士団所属の者に指示をして報告をされたので彼等のその存在と報告なしの経緯は知っているが、まさか殿下達と行動を共にしているとはさすがに思わなかった。
 しかも更に驚くべきはヤトとルカにとっては前世の両親と姉なのだと言う。
 報告により聞いていた話だと召喚されたのは17くらいの若い男女と言っていたんたけどな──なんて思っていたら目に入った文章に思わず瞬きをしてしまう。あり得なくないか?

 こっちの世界に来る条件が17歳の体と言う条件があったとか──。

 はっきり言えば信用できないが、でもヤトが言うならそうなのだろうとしか言えない。ここで疑っては話が進まない。いや、でもなぁ……。

「──あ、そう言えばルカもあの時17だかそこら辺の年齢を言っていたような……。そして養子縁組の書類のあとにあり得ないから気のせいかと思っていたけどゆっくりと縮んだような……」

 あれ? あの時の俺はどうしてもルカが17歳と言うのが信用できなくて13歳と適当に書いてしまったが、実はルカは本当に17歳だったのだろうか……。いや、でも──うん、ルカに関しては縮んで正解だった気もするし、まぁいいか。気にしない、気にしない。更に可愛くなったから気にしたらダメだろう……。たぶん──。
 メールに目を戻すと新たに届いたメールには「ちょっとこっちは荒れるかもしれないからさ、ルーを変装させて潜入させるから兄さんの侍従とか従者の見習いにでもして見える範囲のところと言うか側で守ってくんない?」と書かれていた。

 ……え? ルカが帰ってくる?

 思わず「やった!」と、思ったが落ち着いて返事をした。文面は当たり障りなく「それは構わないけれども荒れるって何をするつもりなんだ?」と……。すぐさま返ってきた返事は詳細に書くと長くなるからルーに説明させるけど、とりあえず兄さんの祖父母に関してだから宜しく! なんて説明する気無しの返事で「わかりました」と返事をした。

 あのヤトがルカを守るのに手放すのはかなり危険なのかもしれないし──。

 こちらもそれなりに警戒して置くかな……と思ったときに父上が壁をノック……いや、ガンガンと蹴っている音が聞こえた。


   ◆


「え? ゼツ? ルカだけこちらに連れてくるのかい?」
「あぁ、なんかヤト君がしばらく荒れるだろうからルカ君を変装させてグレン君の側に置いておいてと言っていたんだよ。ルカ君は自衛できないから危ないとか何とか……」

 その言葉を聞いて俺たち三人の食事をする手が止まった。
 思うことはただひとつ!

 オークの団体をバッサバッサ殺ってたのに自衛出来ないの?

 ──である。まぁ、確かにルカは細いから体術は無理そうだ。

「とりあえずマサカルドの地獄耳対策に箇条書きのシナリオを預かったよ?」

 とテーブルに広げられて見ると本当に箇条書きだった。
 最後なんてアドリブでよろしくねーと書かれて……。
 俺含めた三人は思わずため息をついたのは仕方ない。

「えーっと、とりあえずルカはゼツの遠縁の子で? 侍従見習い? …………これは従者見習いにしようか……。そうすればグッちゃんのとなりの部屋を使っても誰も文句はあるまい」

 俺の隣の部屋。つまりは従者用の部屋なのだが、我が家に必要ないので物置として使っていた。
 明日、いや今日の夜にそっと片しておくか……。
 とりあえずザックリした当日の流れを決めると父上たちは遊び始めて、グッちゃんは父上の仕業か疑う素振りをして徐々に納得する感じでどうだろう? いいねー! そんな賑やかさだった。

 久しぶりに賑やかな時間だったと思う。

「母上はどうするのです?」
「んー? もちろん教えないよ。取り繕うの忘れそうだし、ルカを見たらまた太りそうだし? もう少し絞ってもらわないと」

 なるほど、確かに甘いものを出せと脅──言いそうですからね、そっとしておきましょうか。とりあえずゼツ様も父上の仕事の手伝いと言うことで、この家に滞在するらしいのでルカの警備は安心かな?
 オリバーにはゼノの兄君が居るので仕事は大丈夫らしい。
 強いて言えばゼノの兄君は隠密の仕事よりも領主としての手腕がある方なので、街の事はほぼ彼に任せているそうだ。きっと、奥方に似たんだろうな……。ゼノは確実に父方。
 それからと言うと、殿下たちが到着してからの話を聞いて俺と父上は頭を抱えた。

 ルカの姉君が騎士の股間を思いきり蹴りあげ、悶え苦しむ彼をルカが下半身を魔法で立方体の石で包み、尚且つ両腕を十字架にくくりつけて礎にした立派な墓を作ったと言うのだ。しかも姉の方はその騎士に対して容赦がないのか、首から看板みたいなものをぶら下げたのだと言う。
 ゼノ様はケタケタと笑っているが俺と父上は絶句。

 ルカ、ちょ──お前は騎士相手に何してるんだ!

 父上はきっと、そう思ったんだろうな。俺が思ったくらいだし? そもそもあの子はなんであんなに好戦的なのか──。そんなにルカの中で水属性は特別なのだろうか……。

「そ、それでその騎士は……」
「えーっと、その前にルカ君が変わった魔法を使ってたよ? 確かね、『僕の大事な人を困らせたりバカにする人は今日から一ヶ月、怪我が治りにくくなってしまえぇ~っ!』だったかな? ごっそり魔力を奪われてたねぇ……」

 またしても父上と俺は頭を抱えた。魔法の正式名称は知らないが効果が地味に長く続き、地味な嫌がらせ。ただ流血になると瀕死になる可能性の高い、考えれば考えるほど恐ろしくなる地味な魔法。
 ゼツ様は「あれ? もしかして心当たりあるの?」と楽しげにしていて、父上が王都での一連の出来事を話すと大笑いしていた。
 大笑いできるゼツ様もゼツ様か──。
 そう言えば名前も知らないけど、あの彼はちゃんと生きてるのかな──。たしか、廃嫡されて王領の奥深くにある鉱山で死ぬまで強制労働だった気がするけど……。

「んでさ、その日の夜にね? 数人の騎士がやっちゃったんだよね……」

 なにを? と思ったらマリウス様は男妾の立場で逃げ出したのだから、捕まったら処刑なのだから俺達に守られたければヤらせろと夜に複数人で襲ったそうだ。
 まぁ、あの方はぶっちゃけた話、第四騎士団で毎日のように隠れてやって来ては鍛練していたのでかなり強い。見かけは物凄く女顔だから儚く見えるが、実際の実力は俺や父上と何ら変わらない。
 男妾になってしまったのは年齢的にもそれなりには解っていたけれど、大人の手口の最悪さをきっちりと理解してなかったからなのだろうなぁ……。
 心がボロボロの状態で、だから16くらいだとちゃんとしっかりした判断はできないものな……。
 俺も明日は我が身と言う感じだったらしいし──。
 そんなマリウス様と比べるのは失礼だが、大人で鍛練を積んだ騎士が相手の能力を判断できなかった時点で騎士の程度が知れる。

「んでね? またしても何だけど、その終了直後にヤト君とルカ君が部屋に遊びと言うか話をしようと出掛けたらコテンパンに伸して最後の一人の頭を踏んづけて床に潰した瞬間を見られたらしくて、マリウスがスッゴク恥ずかしがってた。愛しい息子と可愛い子に見られたぁ~って……」

 あ、そう言えば父上とゼツ様はマリウス様の兄君と学友でしたっけね……。

「マリウスが恥ずかしがってたら何故かルカ君が目を輝かせて『お兄さん、凄いね~』って拍手してたらしいよ?」

 その言葉に俺と父上は「うん?」となったがルカは確かにやりそうだな……と思ってしまったのは仕方ない。
 そして話を聞いていたらまた俺と父上は頭を抱えた。
 どうやらルカのあの地味な……。本当に地味な──。
 ゆっくりジワジワやって来る怪我の治りが遅い魔法は広範囲に掛けられていたらしく、その騎士たちも勿論魔法の対象者。
廊下に整列するように今度は土魔法に長けたヤトが一斉に墓を作ったのだとか。
 そしてルカは姉と同じようにそれぞれに看板『私は実力を見誤り、マリウス様を複数人で慰み者にしようとしました』とえげつない言葉を綴って首からぶら下げたそうだ。
 鼻血はなんとか止まったが、打ち身など激痛が彼らをずっと襲うため、現在使い物にならないそうだ。
 しかも、その墓の列を見た殿下と側近が慌てて駆け込み謝罪すると言う事件を起こり、何やらアンドレアの家は賑やかそうだ。

「もぉ、何て言うのかな……。ルカ君が先に出会ってる俺よりもマリウスになついてんだよね。ちょっとジェラシーだよ」
「……あー、ルカはたぶん……憧れたんじゃないかな。ほら、マリウスってかなり強いけど男にしては華奢で女にしか見えないだろ? あの子はきっと、僕も頑張れば強くなれるかも~とか思ったに違いない」
「あー、そう言うことか! ルカ君が暇なときマリウスに子猫パンチしてるんだよね、スッゴク可愛いからみんな癒されてたんたけど、アレはルカ君からしたら鍛練だったんだねぇ……」

 彼はしみじみと語るが俺と父上は猫パンチではなく、子猫パンチ……と呟いた。
 確かに想像すればかなり可愛いし、癒されるだろうけど……。
 ルカ、それはさすがに弱すぎですよ?


   ◆


 待ちに待った再会の日。打ち合わせ通りに話を進めた。
 目の前にいるルカはリュウと名乗り、ヤトの言うルーに似た音だった。
 黒い髪は現在薄茶色に染められたウィッグに隠されているが、その髪は何処と無くゼノの髪型に近く、少年っぽさがあった。
 はっきり言えば通常のルカは少年というよりも少女っぽい。
 ちょっと眺めの黒髪がそうさせているような気がしてきたから、アレはヤトの趣味なのだろう。
 俺も同じ好みだから文句などないし、寧ろヤトによくやったと言いたいだ。

 全ての予定した段取りを終えると俺は部屋に幾重にも薄い壁を重ねた防音対策をすると、父上とゼツ様は気を抜いて楽な格好に崩していた。

「ふふ、久しぶりに会ってもルカは小さいままですね……」
「むっ! 人間、そんな急には大きくなんかならないと思うの!」
「ぐっちゃん、パパにも抱っこさせてくれ」

 父上は俺とルカの会話を遮って手を伸ばしたが、ソレを無視してルカを抱っこしていた。
 何だか妙に子供っぽいところがある父上はカチンときたのかルカの足を持って引っ張り合いになってしまったのは反省しなければいけない。
 ルカが「痛い~っ!」と本気で泣き出してゼツ様が慌ててルカを奪って宥めつつ、俺達親子を叱っていた。

 ルカ、本当にすみません──。

 そして落ち着いてきた頃を見計らって今後の話をし、ルカがしょんぼりしたので風呂作るのを許可し、オセロで遊んだ。
 簡単なルールなのに奥が深いオセロと言うゲームで前にヤトが言ってた脱衣オセロと言うのをルカに言ったら「負けた人が服を一枚ずつ脱いでくやつでしょ? いいね、やろっ♪」と何故か乗り気だった。
 途中、ルカを膝に乗せて抱っこしながら遊ぶと負けたルカが夜着の防寒のガウンを脱ぎ、ズボンを脱ぎ、下着……と膝の上で脱ぐためさすがに我慢も限界がやって来る。
 ルカの了承(?)を得て抱いたら抱いたで止まらなくなった。
 欲しかったのだから仕方ないとはいえ、体力のないルカが可哀想でついヒールで回復したらと言ったら素直にこの子はヒールを使った。
 魔法はルカ自身のみで構わなかったのに、無意識なのか俺にも使ったために俺の疲労は全て消え去っていた。
 
「………………」

 さすがに100が満タンで疲労が60溜まったとして、これが一瞬で0となったらルカを抱きたくなってしまうでしょう?
 お仕置き──とは言わないが、俺はまた疲労が溜まるまでルカを組み敷いたのは仕方ない……。





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