吸血鬼領主~体は子供体型でも妾、大人じゃもん!~

けいき

文字の大きさ
20 / 134
閑話・それぞれの思い

弟、ジェイル・アメジール

しおりを挟む

 俺の姉上は国一番! いや、世界一可愛い!! いや、宇宙一かもしれない!!

 細く小さなその体に月の無い夜空を思わせる漆黒の髪。睫毛も人形のようにばっさばさ。
 目もパッチリと大きく、紫の瞳に金が混じったようなそれはなんとも不思議な紫黄水晶のような色をしている。でもそれがまたなんとも似合っているし、そしてとても可愛いと思うんだ!! あとはシミ1つない白く柔らかな素肌にふっくらとした桜色の唇。そこから紡がれる変わった口調ーー。


 ホントに俺の姉上は可愛いっ!!


 今は社交シーズンで姉上は遠く離れた辺境の領に、俺はフランドール国の王都と離ればなれになっているけれど、このシーズンが終わったら7ヶ月近くの間はずっと姉上のお側に居られる。それをこのシーズンを頑張ったご褒美と思って毎日毎日、色味のないつまらない日々をどうにかやり過ごしている。…………と、言うか今年もまた王子様のお仕事とかマジ勘弁して欲しい。なんでうちの父上様は運が極端なの? 続行で喜んでたのは仕事もなにもしないタダ飯食らいの愚弟達だけだよ? ホントに殿堂入りしてくれないかなぁ……。王子様するのは本気でもう嫌なんだけどっ!?

「はぁ……。姉上~……。姉上~……。姉上が恋しい……」

 なぜか数年前に今のように帰るときに執事がくれたぬいぐるみだったが、数日前に姉上が抽選会の少し前。ちゃんと王都に帰ったので偉い偉いと頭を撫でてくれた。そしてそのまま髪を結ぶリボンをくれたので、その日のうちにぬいぐるみの首もとに結んでみた。可愛い! 姉上のかわりにしよう! そうしよう! ……と、毎日恋しくなるとベッドに寝そべり抱き締めつつゴロゴロしている。

 よし、今日も頑張ろう……。

 毎日規則正しい生活を送っているために王都へ戻っても習慣は変わらない。つまりは朝、起こしに来る者よりも早く起きてしまうので一人で着替えも行う。強いて言えば世話役などほぼ不要と言うところだ。

 8年前、自領であるアメジール領で暮らすにあたってほぼ自分でそれなりに出来るようになった。本来は貴族の子息として着替えなど解除してもらうのが普通なのだが、向こうで暮らしはじめてからお茶だって淹れられるし、お風呂も一人で入れる。現在は介助など一切要らない。コレも全部姉上のおかげ。一人で出来るようになって、世界が変わった気がした。やってもらうのが当たり前のように感じていたけれど、一人でするようになってから世話をしてくれる一人一人をちゃんと見るようになれた。人として成長できたのかな……。出来てたら良いな……。
 まぁ、愚弟達はこの世に産まれてから城での生活しかしたことがないから多分、結婚して追い出され……ゲフンゲフン。えっと? 婿入り、嫁入りしたら結構大変だと思う……。領へ行く前の俺と同じで何も出来ないし。

 いや、ホントにあの時の俺以上に何も出来ないし……。

 それにしてもそろそろ夜明けかぁ……。なら今頃、姉上はご飯食べてるのかな? それでお風呂に入って、寝巻きでベッドにダイブしてるのだろうな……。想像したらなんとも可愛かった。うちの姉上は閏日生まれで四年に1才しか年を取らない珍しいタイプだった。他の貴族や俺の数少ない友達も「可哀想な人」と認識しているようだ。確かに今現在、弟である俺が兄のような見た目だし、愚弟や愚妹ですら年上の見た目だ。ーーと言うか生きてる年数ではなく誕生日を迎えた年齢で言うと確実に我が家の末っ子だ。
 多分、うちの家族は俺がもし結婚して子供が出来たとしてもきっとその子も姉上に看取られるのだと思う。閏日生まれは滅多にというか、全くいないから寿命がどうなるのか誰も予想できない。吸血鬼の平均寿命の4倍で息絶えるのか、はたまた平均寿命を過ごした年月。つまりは若い見た目で息絶えるのか……。


 願わくば姉上が幸せに暮らせますように……。





「ん~っ! さてと、暇潰しに仕事でもするかな……」

 早く起きてしまったので朝食の時間まで机に積まれた書類に手をかける。……おや? どうみても愚弟達の仕事も混じってる気がするが俺のサインをすれば父上の反応でわかるだろう……。そもそも文字読めるのかも最近心配になる愚者っぷりな弟達。サインは書いたら不正出来ないように消せない仕様になっているのだがきっとそんなことも忘れてしまったであろう愚弟達の頭には一体何が詰まっているのだろうか……。姉上と何故こうも違うのかと……。いや、姉上と同じ出来だと俺の立場がなくなる……。

 ーーあぁ、姉上。………………まだ日にちは経っていないのにもう恋しいです。

 思わずため息をついた。つまらない1日を何とか、何とかして暇を潰さねば……。


                   END













しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

妖精の森の、日常のおはなし。

華衣
ファンタジー
 気づいたら、知らない森の中に居た僕。火事に巻き込まれて死んだはずだけど、これってもしかして転生した?  でも、なにかがおかしい。まわりの物が全部大きすぎるのだ! 草も、石も、花も、僕の体より大きい。巨人の国に来てしまったのかと思ったけど、よく見たら、僕の方が縮んでいるらしい。  あれ、身体が軽い。ん!?背中から羽が生えてる!? 「僕、妖精になってるー!?」  これは、妖精になった僕の、ただの日常の物語である。 ・毎日18時投稿、たまに休みます。 ・お気に入り&♡ありがとうございます!

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

俺、異世界で置き去りにされました!?

星宮歌
恋愛
学校からの帰宅途中、俺は、突如として現れた魔法陣によって、異世界へと召喚される。 ……なぜか、女の姿で。 魔王を討伐すると言い張る、男ども、プラス、一人の女。 何が何だか分からないままに脅されて、俺は、女の演技をしながら魔王討伐の旅に付き添い……魔王を討伐した直後、その場に置き去りにされるのだった。 片翼シリーズ第三弾。 今回の舞台は、ヴァイラン魔国です。 転性ものですよ~。 そして、この作品だけでも読めるようになっております。 それでは、どうぞ!

聖女の座を追われた私は田舎で畑を耕すつもりが、辺境伯様に「君は畑担当ね」と強引に任命されました

さら
恋愛
 王都で“聖女”として人々を癒やし続けてきたリーネ。だが「加護が弱まった」と政争の口実にされ、無慈悲に追放されてしまう。行き場を失った彼女が選んだのは、幼い頃からの夢――のんびり畑を耕す暮らしだった。  ところが辺境の村にたどり着いた途端、無骨で豪胆な領主・辺境伯に「君は畑担当だ」と強引に任命されてしまう。荒れ果てた土地、困窮する領民たち、そして王都から伸びる陰謀の影。追放されたはずの聖女は、鍬を握り、祈りを土に注ぐことで再び人々に希望を芽吹かせていく。  「畑担当の聖女さま」と呼ばれながら笑顔を取り戻していくリーネ。そして彼女を真っ直ぐに支える辺境伯との距離も、少しずつ近づいて……?  畑から始まるスローライフと、不器用な辺境伯との恋。追放された聖女が見つけた本当の居場所は、王都の玉座ではなく、土と緑と温かな人々に囲まれた辺境の畑だった――。

騎士団長様、クビだけは勘弁してくださいっ!

楠ノ木雫
恋愛
 朝目が覚めたら、自分の隣に知らない男が寝ていた。  テレシアは、男爵令嬢でありつつも騎士団員の道を選び日々精進していた。 「お前との婚約は破棄だ」  ある日王城で開かれたガーデンパーティーの警備中婚約者に婚約破棄を言い出された。テレシアは承諾したが、それを目撃していた先輩方が見かねて城下町に連れていきお酒を奢った。そのせいでテレシアはべろんべろんに酔っ払い、次の日ベッドに一糸まとわぬ姿の自分と知らない男性が横たわっていた。朝の鍛錬の時間が迫っていたため眠っていた男性を放置して鍛錬場に向かったのだが、ちらりと見えた男性の服の一枚。それ、もしかして超エリート騎士団である近衛騎士団の制服では……!? ※他の投稿サイトにも掲載しています。 ※この作品は短編を新たに作り直しました。設定などが変わっている部分があります。(旧題:無慈悲な悪魔の騎士団長に迫られて困ってます!〜下っ端騎士団員(男爵令嬢)クビの危機!〜)

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

処理中です...