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妾じゃなくても……
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しおりを挟む「あー、そうじゃった。はい、これ! アールの奥方がフラワーフェスティバルの出店用に考えた新作の魔物肉料理じゃって……。オークの肉巻きベジタブルと、オークの薄皮包み焼き、オークの串焼とワイバーンの串焼だそうじゃよ?」
手渡すとホカホカと温かかった。うむ、時間停止のマジックバッグは最高じゃの!
「リアちゃん。本当にこの鞄はなんなのかな?」
「…………時間停止の魔法を組み込んだマジックバッグなのじゃ……」
「そう……。パパ、それが欲しいな」
「こ、これはピンクのポシェットで父上にはちょっと……」
ち、父の日の為に頑張ろうかの……。母上にはタダとはいえ石英のブレスレットをプレゼントじゃしな……。
やっぱりウエストポーチが一番じゃろ……。
あ! そうじゃ! コーデリア様にデザイン画と材料を手渡して作ってもらおう! 洋服も作れるなら鞄も作れるはず!
「…………ちぇ」
父上が拗ねた! 父上が拗ねた! 父上が拗ねたぁ~っ!
解ったよ。解ったのじゃよ。妾、全力で頑張るのじゃよ……。
「ん? これは……」
父上が鞄から剣を数本取り出した。
「あ、それはダンジョンじゃなくてコロニーが出来たらしくてアールと討伐にいった時にソードボアがくれたヤツじゃな……」
「…………これ、盗品と言うか、殺害強奪された物みたいだけど……。もう何十年も前の物だから届けないで良いものだけれど……」
「ん? そんな逸話があったんじゃなぁ……。妾の鑑定では時効品としか出なかったからの?」
様子がおかしいので首をかしげていると父上が遠い目をしていた。
「これ、兄上の側近の家に強盗が入って盗まれたものかもしれない……。たしか国宝級の価値があるとか言ってたような……。そりゃ犯人を探しても出てこないよね。魔物に殺害強奪されてるんだもの」
「国宝級の物なら返してあげた方が良さそうじゃの……」
密かに鑑定すると逸話を聞いたせいか、詳しく書かれていた。
なんじゃろ……。父上が鑑定するとその情報を共有できているような……。
それにしても何で妾は鑑定ができるようになったんじゃっけ?
アレはたしか父上がアールとドカーン! と魔法を楽しくぶちかましていた時にドロップしたのを鑑定してるのを見て「良いなぁ~……」と……。
「あ!」
「あ? うーん、さて? 今、リアちゃんは何を思ってたのかな? 話しなさい? すぐに言えば怒らないから。早めに喋った方が良いのは小さいときに教えてるよね?」
怒らないからって言う親の言葉ほど信用度ゼロなものは無いと思うが、隠すのは得策ではないのですぐに喋ることにした妾は決断力あると思うのじゃよ……。
ただし、怒られるのか呆れられるのかは内心ドキドキじゃけどな!
「父上~……妾、コピーしてた」
「ん?」
「妾、父上の鑑定スキルをコピーしてた!」
そう言うと父上は苦笑いをしていた。
「うん、だと思ってた。ちなみにルノーの空中浮遊魔法もコピーしてたよね? それをみて俺たち二人でリアちゃん自身を鑑定して天職を知ったからね……。スキルで本人も知らない間に複製する魔法を作ったんだなって……」
「ふみぃ~……」
「まぁ、誰にも知られないうちに隠蔽できてよかったよ……。出来てなかったら今頃バレてどっかの魔法バカ達の研究材料だよ?」
こわっ! 研究材料って何なんじゃよ! 怖いわぁ~……。
怯えていると「大丈夫だよ~……」と笑いながら宥められた。
「本当に?」
「本当に! 仕方ない。リアちゃん、この料理はちょっとしまってもらって良いかな?」
言われた通り、アンジェリア様の料理を鞄にしまうと抱っこされてベッドに移動した。
「怖がらせちゃったからお話はやめようね。もう寝ようか……」
「昼寝~……」
父上は寝るつもりがないのか横で肘枕をしながら妾のお腹をポンポンしている。
「あれ? 寝ないの?」
「父上~……妾、大人なんじゃよ?」
「うん、中身はね。でも体は子供だからね。体の方を優先するのは当たり前でしょ? 吸血鬼族のリアちゃんくらいの体の子供は特に熱を出したり体調を崩しやすいからね……」
むぅ……。納得いかぬ……けど、この一定のリズムは眠気を誘う……。
うとうとし始めると眠るまでそんなに時間はかからなかった。
「ちょっと、クリスタリア様。お絵描きはやめて仕事してくださいよ!」
「お絵描き……」
秘書、いやエティ……。お前、ますますツンに磨きをかけてないか?
妾の父上の為のデザイン画は秘書に奪われ、目の前には中々の高さに積み上げられた書類の山が5つ。
え、なにこれ……。
「この山を終わらせるまではこのクロッキー帳は返しませんよ? 山の一つはフラワーフェスティバルの関連のものなのですから早々に終わらせてくださいね!」
鬼じゃ……。鬼秘書がここにいる!
妾は先日の父兄参観の時に父上が楽しみにしていそうだったフェスティバルの為、そして父の日のプレゼントを最高のものにするためにも仕事に励むこととなった。
「父上様との昼寝が嬉しいからと城に行きすぎた結果ですからねっ!?」
「はい…………。申し訳ないのじゃ……」
END
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