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閑話・今は昔……
寂しさの対処法
しおりを挟む「リアちゃん。本当に、本当に、本当に、本当に! ……ねぇ、本当にお留守番するの? パパ達と会えなくなっても良いの?」
「父上~……。わりゃわ、父上が戻るまであーりゅとヒツジとこの領を守るのじゃ」
「うん、クリス。ヒツジじゃなくてシーツージ、ね? 執事」
「しちゅ……、ひちゅ……。ひちゅじ……。あれ? えっと、ヒツジ」
なかなか滑舌が良くないこの子は閏日に産まれた世界でもかなり稀な魔人族で吸血鬼のクリスタリア・アメジールで現在、166年目になる40才。人族で当て嵌めるなら見た目が5歳のとてもとても可愛らしく、将来有望な女の子である。
閏日に生まれていなければ身体はもっと成長していて12歳くらいの子である。
「でも、あまり会えなくなっちゃうんだよ?」
「父上が王様じゃとこの領は管理が難しくなるでの? わりゃわが責任をもって父上達が戻りゃりぇりゅまで領主として切り盛りするかりゃ、父上達は安心して王都へ旅立って下しゃりぇ」
長命の種族は身体と心はリンクしているために晩熟。短命の種族は早熟と言われている。だから見た目年齢と心は同じくらいで短命の種族とのバランスが保てるのだが閏日生まれは違う。長命種族になればなるほど4年に一度やって来る閏日の歪みに巻き込まれる。故にこの場にいるクリスタリアは言わずもがな、身体の成長がかなり遅い。しかしこの場合、身体の成長がゆっくりなだけで心の成長は通常の吸血鬼の子供と同じである。あとは個体差と言うか頑張り次第。俗に言う『天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず。ただ学問を勤めて物事をよく知る者は貴人となり富人となり、無学なる者は貧乏となり下人となるなり』である。クリスタリアは身体の成長こそ遅いものの難しい本も率先して読み、調べ、考える力を身に付け大人顔負けの知識欲の塊であった。
ただし、本をよく読むため、あまり言葉を発しないせいか滑舌。特にさ行とら行がすこぶる悪い。
「たったの一年、わりゃわ、大丈夫! 先生もいりゅし! だかりゃ、父上達は安心してお仕事頑張りぇなのじゃ」
たったの一年と笑顔で切り捨てられた夫婦は絶望といった様子で顔を真っ青にしながらうちひしがれている。そろそろ出発しないといけないのだが行きたくないと全身全霊で拒否している二人を馬車に押し込めようとする鬼人族の執事は否応なしに「鬼!」の一言につきる。
馬車が走り出すとクリスタリアは教育係であるルノアールに抱っこされて手を振っていた。
「さてと、見送りも終わったし、どうしようか……。意外とフローライトのしてた仕事はなかなかの量なんだよね……」
領館の中に入ってからとりあえず休憩にサロンへいくと執事を含めてティータイムになった。
「あーりゅ、わりゃわ、本で読んだのじゃ」
「ん? なんの本かな?」
「えっと、手に負えないなりゃ分担しゅれば良いのじゃ! 領民の管理、税金の管理、領地の資しゃん管理、領地の自然環境管理。大まかにこの4つじゃ」
住民の婚姻やら滅多にないが離婚やら戸籍に関する管理をする住民課。
毎月の住民や国民に課せられる税金の徴収やら何やら全てを扱う税務課。
アメジール領地の土地や建築物などの管理をする資産管理の管財課。
井戸や森、田畑を含む自然とゴミや店の衛生面等の環境に特化した環境課。
わらわの言いたいことを先生が綺麗に詳しくまとめてくれた。
「クリスは昼夜逆転だから、夜に大まかなものを決めて朝は夜に決めたのを処理していく二部制ってことで良いのかな?」
「確かにそのように仕分ければ負担も確実に減りますね。今までにない斬新な領地運営ですが王都も似たようなものですからすぐに受け入れられるでしょう」
「ショレでなのじゃけど、わりゃわ、領民の家をなんとかしたい」
なんと言うかボロボロで風通しが良さそうなのじゃ……。
そう言うとその場にいた者全てが「確かに……」と言うくらいボロッボロの家だった。掘っ立て小屋?
「前に土の魔法を強めるために遊びながら作った家を寝ても消えないように維持できるよう、改造してみたらどうかな」
「おー! 先生、凄いのじゃ」
そして執事はフローライト達がいないのでどうやって切り盛りしていくかを使用人全員集めて会議するとのことで2人は遊び場兼作業場の中庭に移動した。
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