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歩み寄れない者たち
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ミルとリーティアか退却をしたのを境に、魔族たちも退却していった。今回の襲撃で指揮を取っていたのは二人なんだろう。
いい意味でも悪い意味でも運が良かったのかな。
魔族襲撃のことについて、王女さんから説明が今からされるという。だから、オレたちは謁見の間に集まっている。
先の戦いでみんな傷ついている。ただ、大怪我しているやつなんかはいないから良いとしよう。
「はぁ……一度の襲撃でこんな被害が出るのな……」
「私達の力不足なのよね……」
そんなつぶやきが聞こえてくる。
勇者という言葉は本当に便利なもので、使命感に縛りつけるのにちょうどいい言葉だと思う。勇者は人々を守るべき存在、魔王を倒すべき存在。色々あるけど、どれにせよ重いものを背負わせる言葉だと思っている。
「王女様が参られます」
その言葉で玉座の左に位置する扉から、王女さんがメイドさんにつかれて入ってくる。軽く武装しているから、王女さんも戦っていたのかね……。
あ、違うわ。護身用なんだ。
「勇者様方、お疲れ様でした。襲撃での被害は、げが人は出たものの、死人は出ませんでした」
そういうものの、王女さんの顔は暗い。被害少なく魔族を撃退できたんだから、もっと嬉しそうな顔をしていてもいいと思うんですけどね。
「ですが、私の息子が魔族にさらわれてしまいました……」
だから、そんな顔をしていたんだ。
てか、息子なんていたのか。王女さんの夫さん見たことなかったから、まだ独身なのかと思ってたよ。
魔族は何を考えて王女さんの息子をさらったんだろうね……。その理由はミーティアのカタキにあるのかな。
オレが守りたいのはクラスメイトと魔族。レステリア王国の人間は含まれていなかった。もとは、敵だったし、この世界の人間に愛着なんてないんだしな。
だけど、逆に考えてみよう。レステリア王国の人間を魔族が傷つける。それは自然に魔族に憎しみの感情を抱く大きな原因になる。
魔族を守りたいのだったら、その犠牲者も少なくしなければならないんじゃないのかな。
「王子様が?!なんてひどい奴らなんだ……」
今川が魔族のしでかしたことを王女さんから聞いて、顔を歪めている。
人間サイドしか知らなくて、魔族を敵としか捉えていないとそうなるよね……。みんなみんな……。
倫太郎だけは何か違うことを考えているみたいだけど。
「王子の行方はまだわかりません。わかり次第、魔王討伐と並行して奪還を目指していただきます」
魔族は敵、分かり合えない存在。人間のほうがこの世界を支配するにふさわしい。
少し違うかもしれないけど、これがレステリア王国。
オレを除く地球の人間はそもそも人間しかいなかった世界から来た。人間の生活を脅かす魔族は敵。そうみなすのに時間はかからないだろう。
魔王討伐に加えて、王子奪還。それがさらに使命感を大きくするってものだね。
「王女様、質問があります」
空気読んでないみたいで、嫌なんだけど、さっさか情報を仕入れたいからね。空気は読まないで質問させていただきますよ。
「結城様、なんでしょう」
「今代の魔王に呼び名というものはあるのでしょうか」
「呼び名……ですか。魔王クラディアです。魔王クラディアは長い間我々人族が倒せないでいる魔王です……」
わぉ!クラディアだよ、クラディア。
ミルとリーティアがくれた情報とくっつけるとおぼろげだけど魔族対人間の構図がわかるね。
魔族はミーティアを人間に殺された。それによりクラディアはレステリア王国の直径系の血筋を絶やした。そんな魔王は生かしちゃおけないと、人間は魔王討伐に乗り出した。それは負の連鎖だった。
こんなところだろ。
どうしようもないね。
「ありがとうございます」
「ええ……」
王女さんは気分が悪くなってしまったようで、メイドさんたちに支えられながら退席していった。
……。
すっきりしない。
「入り組んだ事情は解きほぐしにくいものだ……」
話し合いで和解できてしまえばかんたんなんだけど、それができてないから今こうなっているんだよね。
地球もおんなじような感じ。人間同士で争っているというのはこの世界より低レベルになんのか?
明日からはより一層訓練が厳しく辛いものになるだろう。生半可な気持ちじゃついていくことができなくなると思う。もしかしたら、もう嫌だなんて言って逃げすやつもいるかもしれない。
召喚されて高ステータスで、戦える力があっても、所詮は中学生の未熟な精神なんだもの。
心のコップがいっぱいいっぱいになってしまうかもしれない。
「なぁ、マオ。お前はこれから戦えるのか?」
「倫太郎……。倫太郎は?」
「オレはな、この襲撃で魔族相手に言葉が通じなかった。でも、魔族は魔族同士で意思疎通をしていた。魔族には魔族なりのものがあるんじゃないかって……。わからなくなったんだ」
倫太郎……。お前はそう考えているのか。レステリア王国の人間が一人でもそう考えてればな……。
イフを願っても何も変わらないか。
「魔族には魔族の言語がある。人間には人間の言語がある。日本語と外国語みたいなものだよね」
日本人と外国人が意思疎通ができるように……。人間と魔族で意思疎通はきっとできる。
「変えたいなら、自分から歩み寄っていかないと」
オレには個人的なもので、それを手伝えはしないけど。
オレが元魔王だと話して、仮にみんなが魔族に対しての意識が変わって。そうしたら、レステリア王国がどうするのか。きっと、クラスメイトのみんなを裏切り者扱いにして、魔族みたいに倒そうとするんじゃないかな。
新しく勇者を召喚できるなら召喚してクラスメイトのみんなを倒しに向かわせるだろう。
「そう、だな。今日は色々とありがとうな、マオ」
「別に……。倫太郎にはしっかりと見てほしいから……」
「ん?」
「なんでもないよ」
さて、満月は明後日。準備しないとね……。
いい意味でも悪い意味でも運が良かったのかな。
魔族襲撃のことについて、王女さんから説明が今からされるという。だから、オレたちは謁見の間に集まっている。
先の戦いでみんな傷ついている。ただ、大怪我しているやつなんかはいないから良いとしよう。
「はぁ……一度の襲撃でこんな被害が出るのな……」
「私達の力不足なのよね……」
そんなつぶやきが聞こえてくる。
勇者という言葉は本当に便利なもので、使命感に縛りつけるのにちょうどいい言葉だと思う。勇者は人々を守るべき存在、魔王を倒すべき存在。色々あるけど、どれにせよ重いものを背負わせる言葉だと思っている。
「王女様が参られます」
その言葉で玉座の左に位置する扉から、王女さんがメイドさんにつかれて入ってくる。軽く武装しているから、王女さんも戦っていたのかね……。
あ、違うわ。護身用なんだ。
「勇者様方、お疲れ様でした。襲撃での被害は、げが人は出たものの、死人は出ませんでした」
そういうものの、王女さんの顔は暗い。被害少なく魔族を撃退できたんだから、もっと嬉しそうな顔をしていてもいいと思うんですけどね。
「ですが、私の息子が魔族にさらわれてしまいました……」
だから、そんな顔をしていたんだ。
てか、息子なんていたのか。王女さんの夫さん見たことなかったから、まだ独身なのかと思ってたよ。
魔族は何を考えて王女さんの息子をさらったんだろうね……。その理由はミーティアのカタキにあるのかな。
オレが守りたいのはクラスメイトと魔族。レステリア王国の人間は含まれていなかった。もとは、敵だったし、この世界の人間に愛着なんてないんだしな。
だけど、逆に考えてみよう。レステリア王国の人間を魔族が傷つける。それは自然に魔族に憎しみの感情を抱く大きな原因になる。
魔族を守りたいのだったら、その犠牲者も少なくしなければならないんじゃないのかな。
「王子様が?!なんてひどい奴らなんだ……」
今川が魔族のしでかしたことを王女さんから聞いて、顔を歪めている。
人間サイドしか知らなくて、魔族を敵としか捉えていないとそうなるよね……。みんなみんな……。
倫太郎だけは何か違うことを考えているみたいだけど。
「王子の行方はまだわかりません。わかり次第、魔王討伐と並行して奪還を目指していただきます」
魔族は敵、分かり合えない存在。人間のほうがこの世界を支配するにふさわしい。
少し違うかもしれないけど、これがレステリア王国。
オレを除く地球の人間はそもそも人間しかいなかった世界から来た。人間の生活を脅かす魔族は敵。そうみなすのに時間はかからないだろう。
魔王討伐に加えて、王子奪還。それがさらに使命感を大きくするってものだね。
「王女様、質問があります」
空気読んでないみたいで、嫌なんだけど、さっさか情報を仕入れたいからね。空気は読まないで質問させていただきますよ。
「結城様、なんでしょう」
「今代の魔王に呼び名というものはあるのでしょうか」
「呼び名……ですか。魔王クラディアです。魔王クラディアは長い間我々人族が倒せないでいる魔王です……」
わぉ!クラディアだよ、クラディア。
ミルとリーティアがくれた情報とくっつけるとおぼろげだけど魔族対人間の構図がわかるね。
魔族はミーティアを人間に殺された。それによりクラディアはレステリア王国の直径系の血筋を絶やした。そんな魔王は生かしちゃおけないと、人間は魔王討伐に乗り出した。それは負の連鎖だった。
こんなところだろ。
どうしようもないね。
「ありがとうございます」
「ええ……」
王女さんは気分が悪くなってしまったようで、メイドさんたちに支えられながら退席していった。
……。
すっきりしない。
「入り組んだ事情は解きほぐしにくいものだ……」
話し合いで和解できてしまえばかんたんなんだけど、それができてないから今こうなっているんだよね。
地球もおんなじような感じ。人間同士で争っているというのはこの世界より低レベルになんのか?
明日からはより一層訓練が厳しく辛いものになるだろう。生半可な気持ちじゃついていくことができなくなると思う。もしかしたら、もう嫌だなんて言って逃げすやつもいるかもしれない。
召喚されて高ステータスで、戦える力があっても、所詮は中学生の未熟な精神なんだもの。
心のコップがいっぱいいっぱいになってしまうかもしれない。
「なぁ、マオ。お前はこれから戦えるのか?」
「倫太郎……。倫太郎は?」
「オレはな、この襲撃で魔族相手に言葉が通じなかった。でも、魔族は魔族同士で意思疎通をしていた。魔族には魔族なりのものがあるんじゃないかって……。わからなくなったんだ」
倫太郎……。お前はそう考えているのか。レステリア王国の人間が一人でもそう考えてればな……。
イフを願っても何も変わらないか。
「魔族には魔族の言語がある。人間には人間の言語がある。日本語と外国語みたいなものだよね」
日本人と外国人が意思疎通ができるように……。人間と魔族で意思疎通はきっとできる。
「変えたいなら、自分から歩み寄っていかないと」
オレには個人的なもので、それを手伝えはしないけど。
オレが元魔王だと話して、仮にみんなが魔族に対しての意識が変わって。そうしたら、レステリア王国がどうするのか。きっと、クラスメイトのみんなを裏切り者扱いにして、魔族みたいに倒そうとするんじゃないかな。
新しく勇者を召喚できるなら召喚してクラスメイトのみんなを倒しに向かわせるだろう。
「そう、だな。今日は色々とありがとうな、マオ」
「別に……。倫太郎にはしっかりと見てほしいから……」
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