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魔族襲撃
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「起きてください!」
何事かな……?んー……え、真夜中じゃないですか。なんで起こすのー?
「魔族の襲撃です!」
「は?」
魔族の襲撃って……。
オレの生きていた頃と習性みたいなものが変わったんだな。ま、王が変われば民も変わるっていうもんね。
魔王討伐というのは毎回毎回理由がはっきりしていない。本当に魔族が悪い場合は片手で数え切れる。その他は人間の勝手な被害妄想から。
今回はどっちかな?
「んー、行くよ」
「行ってらっしゃいませ」
部屋から出ると、誰もが慌ただしく動いていた。緊急事態だものね。
オレもクラスメイトに誰も死んだりしてほしくないから、速く戦わないと。あわよくば、今回魔族が攻めてきた理由が知れるといいと思っている。
すれ違う人々に、勇者様は門へ、と叫んで告げられる。門って、王宮の門かな。街は守らなくていいのか?
そんなことを考えながらも門についた。門ではクラスメイトの殆どが戦闘を始めていた。
「はぁっっ!」
「てぃや!」
「フレアショット!」
人間と魔族で繰り広げられる戦闘のせいで砂埃が立つ。砂埃のせいで、見通しが悪い。
それならちょうどいい。少しだけ影で動かせてもらおう。
どうやって影で動くのかって?水属性の魔法、イリュージョンを使うのさ。
イリュージョンは光の反射を利用して己の姿を見えなくする魔法。影で動くんなら最適の魔法だ。
「イリュージョン」
この中で自分以外の唱えた呪文がどんなものかなんて気にする余裕はない。だから、オレが堂々とこの魔法を唱えても問題ないってものさ。
たとえ聞かれていたとしても、気には止めないだろうね。水属性の魔法だもの。
イリュージョンで人から見えなくなると、オレは行動を開始した。
レステリア王国に召喚された際に気づいたんだけど、人間と魔族は使う言語が違う。
お互いに言語が違うから、意思疎通が難しくて争いに発展することが多い。意思疎通が難しいから、疑心暗鬼になるのだ。
『よくも、あの方を!』
『カタキだぁ!』
人間の言語にするとグルルーとかガーとしか聞こえないんだけど、それはおいといて、復讐なのかな。これは。
あの方のカタキ。あの方って誰かなぁ……。偉い方の魔族みたいだけど。
試しに聞いてみようか。
『あの方って?カタキってなに?』
うん、うん。声のした方を誰が言ったのか探すよね。
一時的にイリュージョンを解いて、魔族に姿を見せる。すると魔族はかなり驚いていた。いい反応だね。人間が魔族の言語を喋れるなんてありえないことだものねぇ。
『人族?!……の割には魔力量が多いような……』
『話が通じるの……?』
『ああ、久しぶりにこの言語使ったんだけど、ちゃんとなってる?』
そこ心配なんだよね。ほら、地球でもあるじゃん?外国人が拙い日本語とか間違った日本語使ったりすると、なんか、ああ、そこはこう!なんて感じでもどかしく感じるじゃない。
溢れ出る魔力は隠しきれないね!なんちゃって。隠そうと思えば隠せますよ。
『ああ……しっかり話せている。そんなに流暢に話せているのが驚くくらいだし』
『名前は?』
『オレの?マオだよ』
『ワシの名はミル。コイツはリーティア』
ミルにリーティアか。リーティアは名前がミーティアに似ているね。
もしかして血縁だったりね。
話のわかる魔族で良かったよ。話しかけられた途端に斬りつけられたりしたら困ってしまうもんな。反射で反撃してしまうから。
『あの方っていうのはね、ミーティア様。クラディア様の奥様』
『……ミーティアが……クラディアとか……』
なんかなぁ……。親友と娘が恋仲になっていたなんてねぇ……。複雑な心境ですよ。
『なんか言ったか?』
『いや、何でもないよ』
父親として何か心にグサリとくるものがあっただけですよ。そう、それだけです。
ああ、あの可愛かったミーティアとクラディアがねぇ……。そうか……。うん……。
「魔族メェ!」
今川が剣で斬りかかってきた。もうタイムリミットか……。もう少し話していたかったんだけど。
クラスメイトの手前、魔族と仲良く喋っているところを見られるのは避けたいものでして……。
ごめんね、ミル、リーティア。
『ミル、リーティア、またね。知り合い来ちゃったから』
『え?』
『んじゃ!』
手早く別れの挨拶をして、今川の一撃を木属性の魔法で気づかれないように弾く。
ミルとリーティアが戦闘準備をする時間を稼ぐため。
「今川じゃないか」
「結城、大丈夫か⁉」
助太刀に来たって感じか。傍から見れば、反撃できないクラスメイトだものね。
ここで、オレの腕の見せ所。いかに何もなかったように見せるか。
「ああ、お互いに手を出せなかったんだ」
「そうか……」
「あ、逃げられた……」
ミルとリーティアは人間と戦うのではなく、退却することにしたようだ。
しかし、今回の魔族襲撃はミーティアとクラディア関係か。そういや今代の魔王って……。
オレが生きていた頃より人間と魔族は複雑な関係になってしまったようだな。
この襲撃で王女さんから何か説明があるだろう。なかったら説明を求めよう。
あと、城下町にも行こう。街の人に今回の襲撃をどう感じたのか、街にはどんな被害が出たのかが知りたい。
何事かな……?んー……え、真夜中じゃないですか。なんで起こすのー?
「魔族の襲撃です!」
「は?」
魔族の襲撃って……。
オレの生きていた頃と習性みたいなものが変わったんだな。ま、王が変われば民も変わるっていうもんね。
魔王討伐というのは毎回毎回理由がはっきりしていない。本当に魔族が悪い場合は片手で数え切れる。その他は人間の勝手な被害妄想から。
今回はどっちかな?
「んー、行くよ」
「行ってらっしゃいませ」
部屋から出ると、誰もが慌ただしく動いていた。緊急事態だものね。
オレもクラスメイトに誰も死んだりしてほしくないから、速く戦わないと。あわよくば、今回魔族が攻めてきた理由が知れるといいと思っている。
すれ違う人々に、勇者様は門へ、と叫んで告げられる。門って、王宮の門かな。街は守らなくていいのか?
そんなことを考えながらも門についた。門ではクラスメイトの殆どが戦闘を始めていた。
「はぁっっ!」
「てぃや!」
「フレアショット!」
人間と魔族で繰り広げられる戦闘のせいで砂埃が立つ。砂埃のせいで、見通しが悪い。
それならちょうどいい。少しだけ影で動かせてもらおう。
どうやって影で動くのかって?水属性の魔法、イリュージョンを使うのさ。
イリュージョンは光の反射を利用して己の姿を見えなくする魔法。影で動くんなら最適の魔法だ。
「イリュージョン」
この中で自分以外の唱えた呪文がどんなものかなんて気にする余裕はない。だから、オレが堂々とこの魔法を唱えても問題ないってものさ。
たとえ聞かれていたとしても、気には止めないだろうね。水属性の魔法だもの。
イリュージョンで人から見えなくなると、オレは行動を開始した。
レステリア王国に召喚された際に気づいたんだけど、人間と魔族は使う言語が違う。
お互いに言語が違うから、意思疎通が難しくて争いに発展することが多い。意思疎通が難しいから、疑心暗鬼になるのだ。
『よくも、あの方を!』
『カタキだぁ!』
人間の言語にするとグルルーとかガーとしか聞こえないんだけど、それはおいといて、復讐なのかな。これは。
あの方のカタキ。あの方って誰かなぁ……。偉い方の魔族みたいだけど。
試しに聞いてみようか。
『あの方って?カタキってなに?』
うん、うん。声のした方を誰が言ったのか探すよね。
一時的にイリュージョンを解いて、魔族に姿を見せる。すると魔族はかなり驚いていた。いい反応だね。人間が魔族の言語を喋れるなんてありえないことだものねぇ。
『人族?!……の割には魔力量が多いような……』
『話が通じるの……?』
『ああ、久しぶりにこの言語使ったんだけど、ちゃんとなってる?』
そこ心配なんだよね。ほら、地球でもあるじゃん?外国人が拙い日本語とか間違った日本語使ったりすると、なんか、ああ、そこはこう!なんて感じでもどかしく感じるじゃない。
溢れ出る魔力は隠しきれないね!なんちゃって。隠そうと思えば隠せますよ。
『ああ……しっかり話せている。そんなに流暢に話せているのが驚くくらいだし』
『名前は?』
『オレの?マオだよ』
『ワシの名はミル。コイツはリーティア』
ミルにリーティアか。リーティアは名前がミーティアに似ているね。
もしかして血縁だったりね。
話のわかる魔族で良かったよ。話しかけられた途端に斬りつけられたりしたら困ってしまうもんな。反射で反撃してしまうから。
『あの方っていうのはね、ミーティア様。クラディア様の奥様』
『……ミーティアが……クラディアとか……』
なんかなぁ……。親友と娘が恋仲になっていたなんてねぇ……。複雑な心境ですよ。
『なんか言ったか?』
『いや、何でもないよ』
父親として何か心にグサリとくるものがあっただけですよ。そう、それだけです。
ああ、あの可愛かったミーティアとクラディアがねぇ……。そうか……。うん……。
「魔族メェ!」
今川が剣で斬りかかってきた。もうタイムリミットか……。もう少し話していたかったんだけど。
クラスメイトの手前、魔族と仲良く喋っているところを見られるのは避けたいものでして……。
ごめんね、ミル、リーティア。
『ミル、リーティア、またね。知り合い来ちゃったから』
『え?』
『んじゃ!』
手早く別れの挨拶をして、今川の一撃を木属性の魔法で気づかれないように弾く。
ミルとリーティアが戦闘準備をする時間を稼ぐため。
「今川じゃないか」
「結城、大丈夫か⁉」
助太刀に来たって感じか。傍から見れば、反撃できないクラスメイトだものね。
ここで、オレの腕の見せ所。いかに何もなかったように見せるか。
「ああ、お互いに手を出せなかったんだ」
「そうか……」
「あ、逃げられた……」
ミルとリーティアは人間と戦うのではなく、退却することにしたようだ。
しかし、今回の魔族襲撃はミーティアとクラディア関係か。そういや今代の魔王って……。
オレが生きていた頃より人間と魔族は複雑な関係になってしまったようだな。
この襲撃で王女さんから何か説明があるだろう。なかったら説明を求めよう。
あと、城下町にも行こう。街の人に今回の襲撃をどう感じたのか、街にはどんな被害が出たのかが知りたい。
応援ありがとうございます!
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