クラス転移させられた元魔王

華乃アオ

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久しぶりの幼馴染

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「マオ!倒れたって、本当か?」

 倫太郎がオレの部屋へ駆け込んできたのはオレが目覚めてから一週間後だった。弐番パーティーも二日前に帰ってきたのだ。
 倫太郎はたった今誰がからオレが倒れたことを聞きつけたらしい。

 いや、いきなり抱きつくなんて……。心配してくれるのは嬉しいんだけどさ。

「むぐっ……苦しいしっ!」

 腕力が上がっているだけに抱きしめる力が強いんですよ。つまり、窒息しそうなんですよね?

「あぁ、ごめん。だって、二回も倒れたんだろ?心配で心配で……」
「心配してくれるのはいいけど、表現に限度があるでしょうが……」
「あはは……。しっかし、赤くなったな」

 倫太郎がオレをじまじまと見つめそんな感想をつぶやいた。どんな感想だよ、それ。トマトになったみたいな言い方をして。

 目と髪が緋色になったから、赤くなったで間違ってはないんだけど、他にないのかな。

「うん、まあね……。昔に戻った感じ」

 これで身長が二十センチくらい伸びたらほぼアストール。種族は魔族だし。
 次は耳が尖ってきたりするのかね。

「どんどんアストールに近づいてるのか?」
「そうだよ。ついに種族も魔族オンリーになっちゃった」
「人間やめたんだ?」
「やめて……テオドールと同じこと言うなよ」

 自分でもわかってるけど、まだきっとやめてないもんね。

「テオドールとリルちゃんは?」
「んー、あぁ」

 倫太郎はフィーリアとガイオスとあったことを知らないし、一度リルが魔王城に帰るということを知らないんだったね。
 迷子のリルを見つけたのは倫太郎だし、いまどうなってるのかは知りたくなるのかな?

「リルは一度魔王城に帰ったよ」
「そっか、親元に帰れたんだな……魔王城……ん?魔王城?」
「え?魔王城だけど……なにか変?」

 あー……言ってなかったよね。リルが魔王の娘ってこと。たしか、魔族ってまでしか言っていなかったような気がする。
 リルに倫太郎に言ってもいいって言われたのは魔族ってことまでだからねぇ。
 やっちまいましたよ。

「何、城なんてあんの?」
「なんのことですか?ちょっと日本語理解したくないですー」

 ごめんね、リル。

「……魔王城あるんだな」
「……」
「ま、いいよ。進んで勇者に情報流すわけないもんな」
「ご理解いただけたようで」

 今回は倫太郎の追求がなくて良かった……。あと、リルがこの場にいなくて。
 リルがいたら、この前のときみたいにリルを膝に乗っけられて逃げられなくされてから追求を受けることになってしまう。

「あ、そうそう……。昼食後、魔人についていろいろと説明しますってさ」
「魔人について、か。わかった」

 佐川いわく、魔人はセレンティア教国に送られることになったようだから……勇者に魔人がどんなものなのか、どういうふうにセレンティア教国に送るのかとか説明されるんだろうね。
 魔人を送るのは多分、勇者が数名とレステリア王国の騎士団になるんだろうな。

 あの教国は、真っ白な建物や教会に真っ白な服を着た人々がある国。
 聖女と聖王をトップとしてその下に枢機卿だとか、神父やシスターがいる。セレンティア教国の国教はセレンティア教。セレンティア教は地球の宗教だと、キリスト教に近い感じ。
 見た目は真っ白だけど、中身はオフホワイト……いや、グレー……ブラックかもしれない。

「回復魔法を極めしもの……」
「マオ?」
「それが聖女。つまり……」

 チートな勇者に聖女は現れる。
 聖女や聖王は、魔王や勇者のように称号だ。称号は一定の条件下でしか得ることができないから、そうそう現れない。
 セレンティア教国の聖女と聖王は、世界中の中からその称号を持つものを探してその地位に据える。その称号を持つもののいない時代は、仮として称号なしの聖女、聖王がその地位に据えられるのだ。

 聖女、聖王の称号を得るには知られている条件として、回復魔法を極めるという条件がある。

「三鷹らへんかねぇ……」

 三鷹は後衛組でステータスが一番高かったし、人格も特に問題がない。
 セレンティア教国が勇者の中から聖女か出ることを望んでいるのなら……。

「ねぇ、倫太郎。壱番パーティーって帰ってきてたっけ?」
「あぁ、帰ってきてたぞ。オレたちより一日遅かったが」
「あはは……じゃあ、三鷹と今川が選ばれるのか」
「どういうことだ?」
「魔人を送る勇者メンバーの中には、少なくとも三鷹と今川が入るんだろうって話だよ」

 セレンティア教国が三鷹に何もしなければいいんだけど……。まぁ、魔人発生はセレンティア教国も予想していなかったところだろうし、勇者をチェックするくらいのことしかしないよね。

 オレも一応勇者だから、そのメンバーになる可能性があるだろうけど、あの国には死んでも行きたくないから、選ばれたら全力で拒否しよう。
 あの女がいた国だ。想像するだけで虫唾が走る。

「あの二人は強いもんな」
「……そうそう」
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