東京・キッズ

ユキトヒカリ

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短編

黒いモデル

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 透明な弦を爪弾くキミ、くちびるに音の源を乗せ弾く、ぼく。


【黒いモデル】



 混ざりけのない純度の高いものが、僕は好きだ。思考の枠組み、内側いっぱいに拡がる鮮明な感覚。ひらいた眼から、くすぐる鼻腔から、ふれた手のひらから、ひびきわたる鼓膜の振動から、その感覚は思考を、脳内を、心臓(ハート)を満たしてゆく。

「五感で感じる、ってやつですか。その純度の高いものとやらを」

 気怠げに応える秘書に僕は「ちょこっと違う」と首を横振る。

「僕、わざわざ分けて例えたでしょ。目、鼻、手、耳、って。全身すべてじゃない、そのときそのときで純度の高いものを捉える媒体は変わる。けれど、最終的に脳内に素晴らしい感動を与えてくれる点は同じ。そんな意味さ、アンズ」
「ストップ、マスター」

 秘書は制止の声および、冷ややかな視線を僕に投げかける。

「なんべん言わせるんです、マスター。俺……、わたしは『アンズ』じゃねえです、アンジュです」
「いいじゃない、漢字表記はアンズなんだから」
「NOです、『杏』に『珠(たま』と記して『アンジュ』と読む。はしょらねぇで頂きたい」
「端折りも略しもしてないよ。もちろん、杏に珠と書くことも忘れてない。でも僕はキミをアンズと呼ぶ。呼びたいんだ。なぜ、って? だって、とても可愛い響きだからね」

 両腕を両手を広げたオーバーアクション、片目も瞑り、笑ってやる。
 秘書の表情はみるみるうちに険しさを帯びる、わあ怖い、かれ、たたずまいは静かだけどキレると超おっかないんだよねぇ。

「愛称にも限度があらあ。初対面の頃から全く訂正しやしねぇ!」
「アンズ、アンズぅ、言葉遣い! 主人たる僕より、すっかり偉くなっちゃってる」
「あんたのせいでしょうよ、あんたの! バトラー!」
「でも許すよアンズ。僕はキミが嫌がる呼び方をしてるんだ、いまは極めてプライベートなタイムだし、キミのフランクな態度を僕は寛大に許してあげよう」
「フランクじゃねえ! 柔和どころか、ガッチガチに硬い握り拳を振り上げてやりてえですよ、バトラー!」

 せっかくのフランクな空気感なんだから苗字呼びもいらないよ? と僕は菓子箱の蓋を開け、中からクッキーを指にひと摘まむ。へたな山火事より燃えてる彼の鼻先にそれを差し出した。

「食べて? アンズ」
「…………」

 彼は寄せっぱなしな眉間にさらに皺を寄せつつ、「-ye.」と応えて菓子を受け挟む。きれいな唇の端にくわえ、手の甲で口腔に押し込んだ。そんなにガリガリ音を立てて食べないでよ、お取り寄せの絶品スイーツなのにさあ。

「キミが辛党なのは承知だけどね」
「っつうか、今の食い方は確実にあんたへの嫌味ですよバトラー」
「ね~え、アンズぅ」

 クッキーを追加しようとしたら彼は首を左右し、溜め息をつく。

「実際、甘いものは苦手だ。1枚で十分ですよ、リミッド・バトラー」
「あッはあ! グラシアス、アンズ!」
「礼を言うべきは菓子を頂いた俺のほうですが?」
「僕のファーストネームを呼んでくれた喜びさ、グラシアス!」

 さあ、手拍子だ! 僕は片手の指をパチリと鳴らす。クッキー片、クラムよ、宙に舞いおどれ! 僕は両手のひらをも打ち鳴らし、即興で節を歌いだす。無愛想な秘書の貌はますます不快な色になるが、それは僕には理想どおりなミュージック・ビデオだ。

「ああ、ああ、散らかしちまって」

 クラムに向かって膝まずく背に僕は「とある昔話をしてもいいかい?」と被せかける。窓べりに寄らば、ちょうどよく漆黒の翼が視界に入った。

「いつも、まっくろな服を着ていたんだ、かれは。あのクロウのような色合いの」

 物語の主人公の名はクロウにするね、と、僕は騙りを談りだす。


-----

 その教会は、街の喧騒から抜けた、山あいのほど近くに門を開いていた。孤児院も兼ねていたその居には10数人の子供たちが暮らしていて、そのなかに、クロウはあった。


 すぐに目についたは道理だ、かれは異質な特徴を外側に以っていた。屋外でも、礼拝堂のステンドグラス越しにも透ける煌めく銀色の髪と、僕に振り返ったときに輝いた赤い瞳。僕は、一瞬で呑まれた。そう、まさに、視界をくすぐられたのさ。

「Hello! は、はじめまして! 僕はリミッドだ、リミッド=ヨハネ・バトラー! キミのお名前は? すてきな銀色のキミ」

 すこぶる挙動不審に話しかけると、かれは気怠げに腰を上げた。銀のくしをふわりとなびかせる緩やかな所作、それにも僕は見とれた。

「……バトラー、か。牧師(パスター)と親しい夫妻がいるな、あなたはかれらの子息なんですか」
「うん、うん、そうそう! ダディの出張でしばらく違う州にいたんだ。うわあ嬉しい! 帰ってみたらキミみたいな素敵な子がいるなんてさぁ! ねえねえ、キミの髪、うつくしいね! おめめはサファイアだ、こんな綺麗な青を僕は初めて見た!」

 まくしたてて僕は再び息を呑む。騙し絵のような点にも気づいたからだ、最初に見た彼の瞳は赤かったはずだのに、いま向き合ってみたら青いだなんて。

「早口だな、あなた。通うスクールはそうも早口じゃないと務まらないエリアなのかい」
「えっ、ええと。ううん、僕は周りからもセッカチって言われちゃう。学校? 学校のみんなは僕よりグンとオトナさ、ゆっくりお喋りするよ」

 そこまで紡いで、僕は悟った。この銀色の彼は、

「キミ、学校を知らないの」
「なぜ? と尋ねるか?」

 気怠く応えて左手を己が髪に添えたから、僕は「わかるよ」と首を左右にする。「めんどくさいね、ここは他民族の国なのに」と続けた。

「めんどくさいね、世間って。キミのシルバーな髪や、ときどき赤くなる目は、たぶん、学校や外の世界では異端に映る。いいや、めんどくさいじゃないや、つまらないね、世間って。こんなにも突出した稀有なる存在を許容できないなんて、とんでもなくツマラナイ」

 すると、彼は噴き出した。口元を押さえつつ笑声を漏らした。あ、笑えるんだあ、と、僕は妙に安堵した。

「ははは、効いたジョークだぜ、なんだいあなた、あなたの目には、おれの突出した部分が、異端じゃなく奇跡に? 天使にでも見えているのかい」
「あ、近い! そうさ、天使! 清らかで素晴らしい宝物に見える!」
「クックック、やめてくれよバトラーJr、あまり褒められると図に乗っちまう。thank you、優しいね。さすがだ」

『さすが』の意味も悟り、僕は「やめてよ」と唇を尖らせた。さすがはクリスチャンホーム育ちの生粋の気質、って? やめてよ。僕はそういうテンプレートってやつは大嫌いなんだ。

-----

「実際、キラいだもん。キリスト」

 噺を中断し、僕は背もたれに寄りかかる。胸に揺れるロザリオを掴み、僕は唱える、毒を。

「神さまなんていやしない。お祈りなんか、ナンセンスさ」

 手前に座り直す秘書は投げかけた、「あなたのそのタチは生来のものなのか」と。
そうさ、と僕は応え、下げたロザリオにネイルの先をあてる。

「クリスチャンホーム、しかも四世目らしいよ僕は。生まれた瞬間に祝福とやらが与えられていた。クリスマスに輝く星はキリスト・イエスを讃える星だと、幼い頃から教わってきた、神を讃える歌も奏で唄ったさ」

 爪先が溝を掘る。奏でたは、ピアノ。弦を弾くのは黒いかれさ、と。

「クロウはギターを爪弾くのが素晴らしく巧かった。オリジナルを創る才能もあってね。かれと話すだけじゃなく傍で唄うことも、僕を満たしてくれる大好きな……大切な時間だった」

 語り口は、己でも認知できる具合に重くなり、毒素を増してゆく。ああ、大切な時間、瞬間だった、クリスマスも、イースターも。僕も皆も黒いかれも、この喜びを交わりをありがとう、と神に想いを捧げていたのに、

「けれど僕は悟ったよ。なまじ、教義が脳内に染み込んでいたから、なおさら強く強く意識してしまった。くだらない、なにが感謝だ喜びだ、キリストの星? そんなものありはしない。神さまなんていやしない!」
「早い展開ですね。あなたの苛立ちから察するに、件の話のクロウは不幸に遭った、とのオチが読めちまいますよリミッド・バトラー」
「んもう、淡々と繋ぐのやめてよ」
「淡白なのが俺のキャラだ、仕方ねえでしょう」

 頰を膨らめつつ、僕は荒ぐ声音を抑えた。聴き手に薄笑いを返す。

「僕、どこまで話した?」
「生まれつきが理由でスクールに通えなかったクロウ少年だが、教会は憩いと救いの場になっていた。彼はギターを奏で、あなたは軽やかに唄う、そして、あなた越しに彼は世間を垣間見る日々だった。リミッド・バトラー、あなたが持ち寄るさまざまな冒険譚や手土産を、クロウは気怠げだが、手厚く受け取っていた」
「うふふ。そうそう、いま、僕の語りを留めてくれるキミみたいに、ね」

 片手を、伸ばす。ネイルの先に、聴き手のやわらかな鼠色の髪を絡ませる。

鈍色にびいろとも言うんだっけ? こういうカラーは」
「さてね。キックボクシングで有名を得たときは『東のマウスグレイ』との愛称がつきましたが」
「じゃあ、ねずみさんか。なあに、東がいるなら西もいたのかい」
「北は聞き覚えがありますよ。北のアンバーアイ、と呼ばれる戦士が同世代にいましてね」
「ふうん、アンバー。琥珀色の目、か。ハポンのなかの北、ってことはアキタやアオモリかな? それとも、ホッカイドオ」
「つうか、そろそろ指を引っ込めてください」

「ちぇっ、アンズのケチんぼ」

 まあ、黒いかれもツレなくて、特にスキンシップは嫌うひとだったけどね。と僕は指を組み、肘をつく。

「僕が好き勝手に振る舞うたび、クロウは愚痴を垂れていた。垂れつつ、ちょびっと垂れぎみな目を眼差しを細め、『ゆるしてやるよ、おれはおまえのキリストだ』とかすかに笑ってくれたんだ」
「なるほど、『赦すもの』という意味ですか。はん、俺はそんなに似てやがりますか? 黒い彼に」
「うん。かなり。背たけも髪の毛も雰囲気も」
「不遇さも、ですか」
「それは皆無だ」
「即答かよ」
「だってアンズ、姜杏珠、キミは可哀想なひとの対極。すんばらしく優秀なひとなんだもの。キミは生家で持て囃された神童だ。そのすんごい才能を見込まれてハポンの偉い学者のコになって、さらには、ハポン最強の白鷺財閥の懐刀にまでなった。きらっきらのエリート街道まっしぐらじゃないか」
「はん、矢継ぎ早な褒め言葉、ありがとうよ」
「素直に喜びなよ、キミの神さまが何かは知らないが、キミの幸は、キミの神がもたらした奇跡なんだから」
「儒教は習ったが、俺に神はいませんよ」
「なら、努力と幸運か」
「努力なら多少はしましたが。白鷺に取り入れたのは幸運というより、悪運です」
「あッはぁ、キミはほんと、謙遜ぎみだなぁ! 悪運、ね。確か、白鷺の家のボンボンだっけ? キミは彼とハイスクールが同じだった縁で白鷺に親しくなれたとかなんとか」
「なあ、バトラー。この御伽噺を、わたくしめの物語に落とすおつもりで?」

いやいや、ごめんなさい、話が逸れちゃって、と僕は秘書の刺々しさに全力で怯む。

「お伽話の続きといこう。さて、クロウは10代も半ばになったころ、突然、教会を出た。さようならパスター、マザー、共に育った兄弟よ、わが敬いし信徒よ、と、かれは書き置きをいっさい残さず出奔したんだ」
「は? 書き置きを残さず? おいおい、大丈夫ですかその話。クロウは未成年だったんでしょう」
「たしかに。誘拐、というセンも当時、警察も疑った。けれどねぇアンズ、捜す人員は割けなかったんだ。我が国で年間にどれだけの未成年が行方知れずになっていると思う」

 一拍を置き、「我が国ですら失踪したまま不明な案件など星の数だ」と彼は眉間に皺を寄せた。

「捜索に割く余裕など、世界随一の先進国たる日本にもない。未成年、未就学児ですら、手足が見つかれば御の字な有り様だ」
「そ。世の中、そんなものさ。ね? 神さまなんていやしない」
「と結論を押し付けるのは貴方の悪いタチですよ。世の中、どんな状況にあろうとも、天にあるなにかを信じ、自らの足場の礎を信ずるものもいたはずだ」
「けれど、とりあえず話の端々から伝わるでしょ? とりあえずクロウは不幸なんだなぁ、不遇な道に行っちゃったんだなぁ、って」
「さきに概要を聴きてえんだが。黒い彼には、成人後の物語があるんですね?」

 言い惜しみしないでくれます? とのニュアンスを感じとり、僕は「ソーリー」と、クッキー缶を勧めおく。

「じゃあ、本筋です。クロウの家出の原因は?」
「わからない。当時の僕は、彼の行方を捜すだけで精いっぱいだったし」

 身体的特徴がありあまるほどあるだけに、アテを掴むのは容易かった。クロウは、ほうぼうを流離うジプシーの内に在った。徒党の慣習でね、と彼は手織りの頭巾をかきあげながら、訪ねてくれてthank you、リド。と微笑んでくれた。弦は弾かないの? と尋ねる僕にsorry、と首を左右した。おまえがくれたエレキギターは、まだあのホームにあるんだろうな、だが、もうおれは弾かない。と、首を縦にした。

「なあバトラー。そこまで接した時点でもわからなかったんですか、クロウがホームを飛び出した理由は」
「そりゃ、もちろん訊いたさ。けど、クロウは核心を逸らし続けた。仕方ないから僕はかれを育てたホームのマザーたちにも探りをいれたさ。いわく、それは彼の出自に関わることで、かれが大人になったら明かすつもりだったが、」
「リアリー(なるほど)、明かされる前にクロウはなんらかの機会に知っちまったんですね、秘密を。それは彼にとって、許容するには荷が勝ちすぎる情報量だった、だから彼は逃げ出し……」

 途中で切り、聴き手は「いいや、逃げたんじゃねえ。探しに旅だったんだ、クロウは。真実を受け入れるための奇跡を、彼は外界に探し求めたんだ」と、これは力強く言いきった。
 僕は、やや気圧される。そして、やや呆れる。

「僕のハナシだけのイメージで、そこまでクロウのキャラを掴めるものかな。たいした想像力だね、キミ」
「クロウの環境とは比べようもねえですが、俺にも、逃げ出した時期があったんです、だから、共感しちまったというか」
「閑話休題。ねえ、それ、詳しく訊いていい?」

 クッキー追加するからさあ、とゴネたら聴き手は苦笑い、ちょいと長いぜ、とお話ししてくれた。

「勤めてまもねえ会社にね、どうにも腹が湧いたんだ。ちくしょうめ、勘弁ならねえ、やめてやらあ! と、俺は社長に辞表をたたきつけた。もちろん家族やダチは狼狽したが、俺は俺の信念を通した、とだけ吹き、あとは余分はいっさい吹かず、沈黙し続けた」
「わあお、なかなかどうして、たいしたエピソードだ。テキトーに決めたんじゃなかったんだろ? その仕事」
「かなり入れ込んだ第1志望でしたよ」
「それを辞めたのかぁ、次を探すの、大変だったでしょう」
「つうか、次へ動く前が難儀した。喪失感と、盛ったアトの燃え尽き症候群な状態が残っちまって。……あれはほんの数ヶ月の期間だったが、当時は数年ぐらいに長く感じたものだ」

わりい、喋りすぎて喉が、と聴き手は持参のペットボトルの蓋を開け、炭酸水を口に含み流す。

「じゃあ、あのときジプシーに紛れながら、クロウもシンドロームに陥っていたのかな」
「自分は、いったい何者なんだ、なんのために生まれてきたのか、か。堂々巡りな命題すよね」
「明解に答を見いだす人種もいるけどね。例えば、そう。神さまのため、神の教えを広めるため、とか」

 言葉尻はなるべく柔らかくした、意識しないと、どうにも僕は『神』なるフレーズに毒を孕ませてしまうから。うふふ……

「結局、クロウは生家には戻らなかったんですか? あなたは彼の拠り所に通い、再び友情を育みだしたようだが」
「長くは続かなかったよ。しばらくしたら、クロウはさるお金持ちの養子になっちゃったんだもん」
「また、えらくギャップがある展開ですね」
「そしてこれはハッピーエンドにならないんだ。かれは、その邸内で。手酷く虐げられていた」
「………」
「僕は焦った。彼を助けたいと思った。けれど、まだ若く浅はかな僕には使えるカードは少なくて。なら僕のダディの身分を使おう、ダディは地元の名士だ、相当量の人脈も駆使してやろう、そうだ、いまこそ僕は僕の宝物を救う主、かれだけのキリストになるんだ! と、張り切って挑んだんだ」
「結果は芳しくなかったわけですか」
「クロウの義父のコネクションも相当量でね。そもそも、あれは話し合いのテーブルにもつきやしない。おそろしく狡猾な人間だった。ひとりの少年を人間として扱わないあれを僕は人間と称したくないけど」
悪魔サタンと例えるんじゃないんですか、貴方の教義の用語を用いらば」
「そうだね。僕の教義、と言うのはヤだけど。なにしろキリスト嫌いだし」

 このころからかな、僕のなかに沸々と湧く疑念が、いよいよ渦をまきだした。なあ、キリスト・イエス。なんなんだ、このザマは。傷つけられ、苦しみの淵に沈むフレンドのひとりも救えない、こんな世界に救世主があるならば現れろよ! 僕は、そう詰り、憤り、そして、

「……そして、祈った。だって、黒いかれが僕の頬を両手で包んでくれた、『おれなんかのために、おまえが顔を醜く歪めては駄目だ。リド、これは試練だ、必ず晴れる試練という暗雲だ。だから、おまえは、ただ、ただ、穏やかに祈ってくれればいい。それだけでおれは救われる』だから、僕は呪う言葉は抑え、祈ったよ? 神さま、クロウを助けてください、と」

 どうにもーーと、聴き手は片手を口元に添え、言いがたそうに紡ぐ。

「どうにも、その後のクロウ氏の展開に、救いが訪れる気配が微塵もしないのですが……」
「正解。お祈りなんかナンセンスさ! クロウは救われなかった、あの悪魔にさんざんに嬲られ、貶められ、ついに」

 聴き手は息を呑む。

「まさか、亡くなったんですか、彼は」

いやいや、ごめんなさい、言い過ぎた、と僕は苦笑う。

「物理的には死んでない。けれど、魂は亡くなったようなものさ。クロウは喧嘩が大嫌いなひとだったのに」
「軍人の屋敷……、そおか、わかった! クロウは戦争に……」

 頷きながら「そうさ」と僕は相うつ。クロウは当主に命じられ、戦争に行かされたのさ、と。

「長い戦いだった。ハポンにもニュースは伝わってたよね? また大国は残酷な戦争をするのか、と論議になり、デモも巻き起こっていたようだが」
「すんません。反戦、反戦と湧く周りにオレは舌を打っちょりました」
「あッはぁ、それはとんだ非国民だ」
「ほおですか? 思想や嗜好は千差万別。十人十色。ビートルズやローリングストーンズの全ての曲が気に喰わん、っちゅうやつもいるにはいてる、せやけど彼らはゆるされてるでしょう? 周りがどないに湧いたかて、ノれんもんは乗れんものです」

 待って、と、僕は聴き手の前に手のひらを翳す。

「ごめんなさい、長い話のときは訛りは抜いてくれる? 僕、ハポンの言葉はトーキョー語しか知らないんだ」
「あ、すんません。ほんだら、改めて。……世間と同調するかどおかは、冷静に見極めるべき項目だ、とオレは思います。調和の末に狂った末に、かの大戦もあった、ちがいますか」
「うん、まあ、それはあるね。でもそういう論は今は置いとこう。ただ純粋に、キミは戦争を、どう考える? 想う? なぜ戦争はなくせないのか、までをキミは応えられるかい」
「ぜんぶ応えましょう。……戦争は、稼げます。あれは、商売です。戦争は、カネになる。

駆逐艦を作り、人員を配り、武器を撒く。それを産みだす政治家はもちろん、民間人にもカネは行き渡る。付加価値として敵を斃した勲章までいただける。愛想は要らない。仏頂面でも、殺した敵の数で拍手がいただける。これが、戦争のメリットです。せやし、なくなりはしないんです」
「最近のハポンじゃ、可愛く愛嬌をふりまく男性アイドルもいるのにねえ」

 話に頷き砕きつつ、僕は聴き手に見惚れた。

「実にキッパリ、きっかりと応えてくれる。小気味いいね、キミは」
「そおですか? あれでもオブラートにくるみまくって説いたんですが」
「あッはぁ、ワンクッションも忘れない。愉しいね、キミは」

 とはいえ、と、僕も素直な感想を抱いたから渡す。ねぇキミは、随分と戦争はカネになるなると吹いたよね、

「キミは、戦争で特需を得た側か?」
「そお聞こえました? うにゃうにゃ、それはないです。冷めてただけです、反戦なんかに一介の学生が騒いだところで戦争はなくなりはしない、アツくなるのはバカげてる、って。ホンネでは戦争は嫌いですよオレも。だって、そおでしょう、戦争ですよ? やわい女性や子どもがなくなり、ライフラインがガタガタんなる。そんな起承転結を、どこの誰が望みます?」
「第3国」
「って、オレを指差さんでくださいよバトラー。この国のひとの多くは、良識にあふれとります」

 しかして、当時国でありながら良識のないひとはあるもので、と彼は身振り手振りで語る。

「クロウを飼った父親は、そおいう部類だったんでしょう。よその国をガタガタにしてこい、勲章をたくさん貰ってこい、そおしたら人間として扱ってやる、と」
「事実だ。実際、クロウは戦争の数年後、帰った屋敷で盛大にもてなされていた。偉いね、よくやった、おまえが挙げた証跡で我が家の名も上がる、ってね」

 祝福された側のかれは1ミリも笑っていなかった。鮮やかなマリンブルーの軍服の胸に揺れゆく勲章それを、かれはジイっと、睨みつけていたんだ。

「海兵隊の礼服は、本当に綺麗な青でね。けれどクロウはボヤいてた。こんなお上品なマリナー・コー・ブルードレスは違う、おれたちは煤けた色の隊服で、煤けた世界で闘ってきたんだ、って」
「ボヤきを聴ける貴方の立ち位置の揺るぎなさも感心どころ。クロウ氏は、ほんとうに、幼いころから変わらず貴方の親友であり続けてたんですね」
「そうかもしれないね。僕が捜しあて訪ねたとき。僕が彼の不幸に嘆いたとき。かれは泣いてくれたし、戦争から帰ったとき迎えた僕に優しく微笑んでもくれた」

 僕は、クロウに告げたんだ。おかえりなさい、もうキミは、苦しまなくていい、闘わなくていい、僕の相棒になりなよ、一緒に光ある道を歩こう、と。

「相棒? 光ある道?」
「そのころの僕は、ようやくデザイナーブランドが波に乗ったあたりで。クロウはスタイル抜群だったから、モデルになりなよ、みたいな」
「なるほど。米国は広いですが、クロウ氏は190cmはあったんですか」
「もっとデカかったね、この国だとバスケよりバレーのがわかりやすいかな。クロウはバレーのプレイヤー並にデっかく育ってた」
「随分と懐かしげに繋げてくる、はて、そのクロウ氏は貴方の申し出を断った? しかも、数年前に」
「わあ、たいした推理力」
「いえいえ、たいしたことはない。リミッドさんがお若いから、クロウ氏との相棒うんぬんは数年前かと睨んだだけだ」
「きゃっ、嬉しい! 僕、若く見える!?」

 ハタチ付近ですよね? と返すから、僕は更に相好を崩す。

「やだあ、僕、32歳なのにぃ」
「マジすか!? 見えねえ!」
「そういうキミもハイスクールっ子みたく見えるけどねえ」
「社会人です」
「ええと、どこまで話したっけ」
「クロウがあんたが渡した進路を拒み、違う道を選んだ、までです」

そうそう、そうだった、クロウひどいよねえ! と、僕は大仰に腕を振る。

「しかもクロウは嘘をついたんだよ。どこかで家庭教師か薬剤師でもやる、とかれは抜かしたが、実際はとんでもなく危ないーー」

はっ、と、ここで僕も嘘をコーティングした、とんでもなく危ないシークレットサービス、と。真実は更に危うき、闇の商売だ。しかしさすがに、健全な友にこれ以上に闇すぎる話題は振れない。

「用心棒、というやつですか。なるほど、クロウ氏の経歴ならば適任でしょうが。彼は喧嘩が嫌いなんですよね。精神的には不向きなような」
「ど不向きだよ。だって、クロウはクリスチャンの意志を全く捨てていなかった。放浪してたときも、戦争でも、かたときも怠らず祈ってきたそうなのに」
「貴方の物語から感じた印象を総括すると、クロウ氏はものごとの全てに受け身な人物に思える。受け身というよりは、控えめが過ぎる、というか」
「うっふ。なかなか良い見解だ」
「もしやクロウ氏には、数多くの罪を重ねてきた自分には光ある道など相応しくない、との意識があったのでは? ゆえに貴方の眩しさに目をそらし、袂を分かってしまった」

 百点満点なアンサーだ、と、僕は聴き手に軽く柏手をうつ。そうさ、僕も、その見解に達した。そして呆れたし、嘆いたよ、やはり、神に、キリストに。ふざけないでくれるキリスト・イエス。オマエの戯れ言に感化された末に、ひとりの可哀想な少年は可哀想な路を辿り、逆境にさらされ、闘い、意に沿わぬ暴力を振るい、果てに、ああ、おれはなんて罪深いんだ、と、さいごの光を拒んでしまった。

「……優しいキミ。僕の長いお話しにつきあってくれてありがとう。クッキー、もうちょっと食べなよ」
「サンクス。いやぁ、これ、美味いスね。ナッツと、あと、いちご味の」
「ドライフルーツだね、鮮やかな赤はフランボワーズさ、こちらも食べて」
「ふらんぼ。ああ、ラズベリーか」
「待って。フランボワーズだ、この菓子を作った国に気を配れ」
「ぷっ、あんた、存外、マジメなんだなぁ」

 言われて僕も僕の頭のつむじを掴む。そうだね、くだらない、スイーツの名前に関しては譲れないタチなんて。

「いやいや、褒めたんだぜ。嗜好品ってのは人生を共にするダチだ、そいつの呼び方にこだわるのは当然の心理だ」
「あッはぁ、キミ、ほんと、オトナっぽい。好きなスイーツやカクテルは、なあに」
「酒は体質で飲めない。なので、ガキな嗜好だよ。炭酸飲料とコーヒー、ブラックサンダーが好きだ」

 渡された小物にプリントされた文字を認め、グラシアス、と僕は応えた。

「ふうん、これがブラックサンダーか。大げさな名前な割に可愛いチョコなんだね」
「あんたはアメリカから来たとのことだが」
「うん? フロリダ育ち」
「初対面のときにオラ! と挨拶されたが」
「メキシコに滞在してたときはあったよ。なあに、耳障り?」
「いや、俺はスペイン語を学んでるんで、むしろありがたい」

 その過程で、と、聴き役はフランボワーズなクッキーを喉に流す。

「クロウもメキシコに渡った、とまで聴きましたが。いま、どんな感じなんです、クロウは。まだボディーガード的な危ない仕事を?」
「いいや、それはやめた。メキシコからも離れ、ある一角に居を構えてる。独り身らしい。決まった恋人はないようだ、優れた才能も、ほんの少しだけ活用してるようだ。つまり、つまらない隠匿者さ。かれには、奇跡が。既知なる証があらわせる価値があるのに……」
「よかった。生きて、活きてるんだ、かれは」

・・・・・・・・・?

 僕の思考は数秒、停まった。聴き役のセリフが 理解できなかったからだ。その表情も。なぜキミは、和やかに笑える?

「はッ、ユーレカ(そうか)、なあに、生きてるだけで幸せだ、ありがたい、よかったね、ってやつ?」
「気を悪くしたなら謝るよ」

 即答と、かぶりを振る所作に。僕はクチを挟めない。

「だが、あんたもキリスト教者ならわかるだろう。生きてる、生かされた、それは、なにより大切な、目を外せねえ事象だ。どんな境遇であろうと、生きぬいたならば、そこには意味が必ずある。歩んできた人生には、必ずなにかの意味が隠されてるはずなんだ」

「そうかな。クロウは戦争で数多のなにかを滅したんだよ? 家出時代に邪魔なやつを殴りたおしてきた、クロウはそれを悔やんでいた、ユーレカ、その悪業はクロウには意味があったのかな? だが、クロウに倒されてきたものたちは? かれらにはなんの値がもたらされる!」
「かれらの人生のどこか。あるいは、エデンで」

えーー、もうちょっと間をあける展開じゃないの?と、僕は目をまあるくする。即答かあ、おっそろしいね、純粋培養されたキリスト教者は、と舌で下唇を舐めあげる。

「いまのクロウの身体は、健やかですか」
「ん? まあね、かなり」
「戦争で功績を挙げるぐらいなら強健なひとなんだな、とは思った。みために不思議な特徴があるらしいが、それは生活の上では枷にならねえんですね、良かった」

 語りざまに。彼は掛けた眼鏡を外した。

「俺は、片方の目が悪くて」

 僕は魅いった、当然だ。

「みえていないの?」
「見えてるように見えます?」
「ううん。みたまんまにみえる」

ふっ、と、聴き役は吹き笑う。あんた、ほんと表現がストレートだね、わかりやすい、と付け加えた。

「これでも貴重な目なんだぜ。アーチェリーでは良い利き目になってた。しかし日常では不便はある。クロウには、こんな不具合がないといいなあ」
「大丈夫……。クロウは、めちゃくちゃ頑丈だよ」

 純粋培養された、生粋の。しかして、身体に不具があり、だが、

「そうか。なら、クロウの左眼にバンザイだ」

だが、それを己の運命だ、と、受け入れてしまう……腹立たしいことこの上だ。

「ほんと、たいした想像力だ。会ったこともない黒いかれのことをそこまで気遣ってくれるだなんて」
「おぅふ、なんかトゲトゲしく聴こえる。すまねえ、あんたの大切な主人公に図々しくツッコんじまって。やはり気に触ったんだな、謝る」

 またかぶりを振るから、僕は更なる衝動にかられる、キミの瞳、キミの台詞、キミを、キミを、キミをーー

「粉々に壊してしまいたい」
「リミッド・バトラー?」
「あの柔らかく笑う唇の端と、アシンメトリーな眼差しを。壊してしまいたい」
「バトラー!!」

 肩を揺さぶられ、僕は眼前に気を配す。銀灰色の美人な秘書が、僕を睨みつけていた。

「アンズ」
「リミッド・バトラー。なあ、あなた、いま、誰と話してた? 俺と話していたのに、あなたは誰を頭に浮かべました?」
「うふふ。さあ、誰だろう」

 五感を、研ぎ澄ます。ああ、取ったホテルの一角、いまは夕刻か。さあて、どうしようかなぁ、この聡明な秘書をどう振り切ろうかなぁ。はぐらかすために僕は席を立つ。

「トーキョー見物の映像が頭をよぎっただけさ、アンズ。僕が時々トリップしちゃうのはキミも承知だろ?」

 知ってますよ、いやというほど。と、秘書は鈍色の髪を揺らし、僕に歩みよる。

「アシンメトリー、と仰ってましたね」
「うふふ。魅力的だよね、アシンメトリーは」
「美術館、ですか。山手線に乗った、と電話をいただきましたが」
「ウエノ? ロッポンギ? うふふ、素敵なエリアだよね。まあ、風景的には僕は巨大な赤いオブジェで満足してしまったけど」
「赤く巨大な……、浅草か」
「ゴチャゴチャと賑やかな町だよね。僕は雑踏を抜けて、おいしいクレープ屋さんに寄った」
「そして? どこに寄りました? アシンメトリーとやらに、そこで、会ったんですか」
「うふふ。あーあ、隠せないかぁ。なら、バラす。そうさ、すてきなアシンメトリーに逢ったよ。そして、彼にさらなる不確定性をもたらしたくなった。僕の手で」
「バトラー!」
「あッはぁ、冗談だよ、アンズ。ひとをころしちゃいけないんだろ? キミの真意的に」
「つうか、世間の常識的にだ! いいか、バトラー、あなたの脳に誰のビジョンが浮かんだかしらねえが、それを殺そうと走った線は断て!」
「んもう。アンズは鋭いし手厳しいなあ、ほんと、クロウみたい」

 詮無いハナシさ、と僕は濁す。かのクロウのネタを、いまのキミ宛てのように振ったんだ、これは仲良くなりたいなあと感じたひとに必ず振る柱だから。キミを始め、いろんなひとがそれぞれに反応してくれた。同調、反論、無関心……

「心配ごとを言ってくれたのさ、アシンメトリーな彼は。みずからの不具を証しながら。つまり、彼は真からクロウの話に感じいってくれたんだよね。さすがだ。キリスト・イエスの申し子ってのは、ああいう子をいうのかもねえ」
「癪に障ったのか。なあ、忘れてくださいバトラー、あなたに愛嬌を撒く輩や婦人、その類をあなたはサッサと忘れちまうでしょう。おんなじように、忘れてください」
「きのうの昼に会ったんだよ」
「もう遥かな夜だ、忘れましょう」
「けれどさあ、あのアシンメトリーは」

 みなまで言わないうちに、聰明な秘書は僕の手前に紅茶を差し出す。カモミールの清純な薫りに僕は僕の真意を溶かし飲む。クロウ。黒い彼。かれの話に聴き入り、不具を晒したアシンメトリー。かれを想う。

ああ、あの不確定性を極限まで貶めたい。黒いクロウ。あの彼より、さらに、さらに、黒く。ぐちゃぐちゃな色彩であれを染め潰したい。そう想い、寝台にむかう。五感よ、さあ、夢という闇に僕の意識を解きはなて。そのステージに垣間見える神のセカイに、願わくば、我が脚を、土足を。つっかけさせたまえ。



了.





ーーーーー

 註釈:
 語り手・リドと対話した人物は様々です。話したタイミングも、様々です。誰だろ、これ? と振り返りながら再読してくださいませ☆













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