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21.ひきこもり
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あれから数日が経ち、俺のケガはほぼ完治して一人で少しの間なら立って歩くことも出来るようになった。
一方でアレクさんの方は、相変らず獣の姿のままで変化する兆しが見えない。
俺が動けなかった間、連日お手伝いに来てくれたルーくんはお役御免となってしまったけれど、また後日母親と弟を連れて遊びに来てくれると約束してくれた。
日本人だという彼の母親に会えるのが楽しみだ。一体どんな人なのかな。
ルーくんの弟の毛色は白い珍しいアルビノと聞いてから会える日を心待ちにしてる。アルビノの子狼なんて間違いなく可愛いの確定じゃないか。
十歳のルーくんは恥ずかしがってあんまり撫で撫でさせてくれなかったから、弟君にはいろいろと勝手に愛でさせてもらおうと期待している。下心満載でごめんなさい。
そんなこんなで、家に引きこもって何週間たったんだろう。
まあ、こちらに来た当初からわりと引きこもってたけどね。あんな事件が起こってから外出が前より少し怖くなった。
そんな俺の怯えを敏感に感じているのか、俺が出かけるそぶりをするとドアに近付けないようにアレクさんが邪魔をしてくるんだ。
最近では力尽くの方法はやめ、新たに泣き落としを覚えたらしい。きゅ~ん、くぅ~んと上目遣いで哀しげな鳴き声をあげられると、こちらの負けを認めざるを得ないではないか。
なので、食材や生活雑貨も定期的に家まで届けて貰っている。至れり尽くせりの引きこもり環境だな。
このままじゃ俺、ダメ人間になっちゃうんじゃないか?
「はぁ…ヒマだ」
ベッドでゴロゴロするのにも飽きてきて、日中はずっと日の当たるリビングの窓辺に居ることが多くなった。
フカフカのラグに寝ころび、エヴァンさんとシリウスさんがきれいに整えてくれた庭を見るともなしに眺めてボーっとするのが日課になりつつある。
ぐーたら万歳。
エヴァンさんもシリウスさんも、修羅場に巻き込まれた時は心底「勘弁してくれ」と思ったけど、仲良く暮らしているかな。また二人とも会いたいな。
ちなみに、うちの庭の花壇の水やりは見回りの人達にやって貰ってる。庭に出ることすらアレクさんに許してもらえないからね。まったく、過保護にもほどがある。
そういえば、入居したての頃に不思議な動く銅像みたいな姿の不審者を見かけたのも丁度この辺りだった気がする。
異世界の銅像は動くのかと関心したら、岩に似た見た目の不法侵入者だったのには驚いたっけ。結局あの後はどうなったんだろう。
その前に生きてるのかも怪しいけど……。
見事に破壊し尽くされた無残な庭の姿は凄まじかったな。
門の前の贈り物虫といい、アレクさんたちって知らない間にいつの間にか処理してくれているから、裏で色々と俺のためにやってくれていることにも気付かなかったりするんだよね。
もちろんしてくれることはすごくありがたいんだけど、それでいいのかなってたまに思ってしまう。
虫の人(?)にも自分でもうやめてくれとお断りするべきだと言ってはみたんだけど、直接関わるのは危険だからと結局止められてしまった。アレクさんの言う通り、逆上されたら抵抗できないし、それ以上は反論できなかった。
こっちに来てから俺がやったことってなんだろう。料理とか夜の練習とかかな。たまにアレクさんに舐められそうになるけど、そのたびに全力で拒否ってる。
本人の意思が今どれだけあるのかも分からない状態で流されるのは危険すぎるとルーヴさんにも注意されていた。
もともと積極的にしたいと思ってたわけじゃないから、こちらとしてはほっとしてるぐらいだけど。
そもそも、アヴァーロ神の祝福は本当に消えたんだろうか。未だに実感として感じることはできていない。
だからと言って、無暗に外出して試してみるわけにもいかないし、第一街に行くのは今のアレクさんの状態では難しい。代役にアレクさん以外の誰を選んでも血の雨が降るとルーヴさんに脅されてしまって、俺にはどうすることもできなかった。なに、血の雨って…怖いよ。
一方でアレクさんの方は、相変らず獣の姿のままで変化する兆しが見えない。
俺が動けなかった間、連日お手伝いに来てくれたルーくんはお役御免となってしまったけれど、また後日母親と弟を連れて遊びに来てくれると約束してくれた。
日本人だという彼の母親に会えるのが楽しみだ。一体どんな人なのかな。
ルーくんの弟の毛色は白い珍しいアルビノと聞いてから会える日を心待ちにしてる。アルビノの子狼なんて間違いなく可愛いの確定じゃないか。
十歳のルーくんは恥ずかしがってあんまり撫で撫でさせてくれなかったから、弟君にはいろいろと勝手に愛でさせてもらおうと期待している。下心満載でごめんなさい。
そんなこんなで、家に引きこもって何週間たったんだろう。
まあ、こちらに来た当初からわりと引きこもってたけどね。あんな事件が起こってから外出が前より少し怖くなった。
そんな俺の怯えを敏感に感じているのか、俺が出かけるそぶりをするとドアに近付けないようにアレクさんが邪魔をしてくるんだ。
最近では力尽くの方法はやめ、新たに泣き落としを覚えたらしい。きゅ~ん、くぅ~んと上目遣いで哀しげな鳴き声をあげられると、こちらの負けを認めざるを得ないではないか。
なので、食材や生活雑貨も定期的に家まで届けて貰っている。至れり尽くせりの引きこもり環境だな。
このままじゃ俺、ダメ人間になっちゃうんじゃないか?
「はぁ…ヒマだ」
ベッドでゴロゴロするのにも飽きてきて、日中はずっと日の当たるリビングの窓辺に居ることが多くなった。
フカフカのラグに寝ころび、エヴァンさんとシリウスさんがきれいに整えてくれた庭を見るともなしに眺めてボーっとするのが日課になりつつある。
ぐーたら万歳。
エヴァンさんもシリウスさんも、修羅場に巻き込まれた時は心底「勘弁してくれ」と思ったけど、仲良く暮らしているかな。また二人とも会いたいな。
ちなみに、うちの庭の花壇の水やりは見回りの人達にやって貰ってる。庭に出ることすらアレクさんに許してもらえないからね。まったく、過保護にもほどがある。
そういえば、入居したての頃に不思議な動く銅像みたいな姿の不審者を見かけたのも丁度この辺りだった気がする。
異世界の銅像は動くのかと関心したら、岩に似た見た目の不法侵入者だったのには驚いたっけ。結局あの後はどうなったんだろう。
その前に生きてるのかも怪しいけど……。
見事に破壊し尽くされた無残な庭の姿は凄まじかったな。
門の前の贈り物虫といい、アレクさんたちって知らない間にいつの間にか処理してくれているから、裏で色々と俺のためにやってくれていることにも気付かなかったりするんだよね。
もちろんしてくれることはすごくありがたいんだけど、それでいいのかなってたまに思ってしまう。
虫の人(?)にも自分でもうやめてくれとお断りするべきだと言ってはみたんだけど、直接関わるのは危険だからと結局止められてしまった。アレクさんの言う通り、逆上されたら抵抗できないし、それ以上は反論できなかった。
こっちに来てから俺がやったことってなんだろう。料理とか夜の練習とかかな。たまにアレクさんに舐められそうになるけど、そのたびに全力で拒否ってる。
本人の意思が今どれだけあるのかも分からない状態で流されるのは危険すぎるとルーヴさんにも注意されていた。
もともと積極的にしたいと思ってたわけじゃないから、こちらとしてはほっとしてるぐらいだけど。
そもそも、アヴァーロ神の祝福は本当に消えたんだろうか。未だに実感として感じることはできていない。
だからと言って、無暗に外出して試してみるわけにもいかないし、第一街に行くのは今のアレクさんの状態では難しい。代役にアレクさん以外の誰を選んでも血の雨が降るとルーヴさんに脅されてしまって、俺にはどうすることもできなかった。なに、血の雨って…怖いよ。
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