婚約と同時に同居させてきたうえやたらとこき使ってきていた彼がついに婚約破棄を口にしたので、去ります! ~今さら慌てても手遅れです~

四季

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 婚約と同時に同居することを求められ、仕方なくそれを受け入れ従った私だったのだが……。

「おい! トイレ掃除しろよ!」
「は、はい!」

 見事にこき使われてしまっている。

 どのみち結婚するのだから一緒に住むくらい問題ないだろう、なんて思ったのが間違いだった。

「とろいんだよ! 自分で考えてやれ! それともなんだ、俺のためにはできないってのか!?」
「違います!」
「じゃあやれよ! さっさと! あー、だる、もうとろいやつは捨てちゃおっかなぁ~」

 婚約者アデミムは元々はもう少し優しい人だったのだ。しかし同居開始と同時に急激に高圧的に支配的になった。まるで暴君のよう。そして今もそんな振る舞いが続いている。

 特に、押し付けられるのはトイレ掃除が多い。

 やたらと多い。
 それこそ一日に数回やらされる。

 しかも、敢えて派手に汚してから掃除をさせてくるから厄介だ。

 自分の家のトイレなのだからもっと綺麗に使えばいいのに……、なんて思ってしまう。

「掃除できました!」
「うるさいわ! 遅い、遅すぎるッ」
「え……」
「ああ? 何だその目は? 俺に何か言いたいのか? ああそうか! くちごたえしようとしているんだな!? 生意気な女だ!!」
「いえ、そうではなくて……」
「容姿も並、能力は下、それで忠誠心も下か! あーあーほんとクズだわな。どうしようもないやつ」

 彼は少し考えて。

「決めた! 婚約は破棄だ!」

 急にそんな宣言。
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