このたび、友人が婚約破棄されました。~そこから始まる二人の道のり!?~

四季

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前編

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 私の友人である女性ミレーネンは先日婚約破棄された。

「聞いて……酷いの彼、急に他の女に乗り換えて……」
「それは酷いわね、婚約までしておいて」

 婚約破棄され傷ついた彼女は私と会って話をすることを望んだ――そして今こうして時間を共にしている。

 家にある自室にて。

 ここは私の部屋だ。
 だからこそミレーネンが何を言っても許される場所である。

「ううっ……駄目、また涙が……っ、ぐすっ……」
「落ち着いてミレーネン」
「う、うう……っ、う、ううっ……」

 目の前には手で顔を押さえて涙を流すミレーネン。

 どうして婚約破棄なんてしたのだろう。
 こんなにも美しく可愛らしい女性なのに。

 ミレーネンよりも選びたい女性って一体……。

 私には彼女の婚約者だった人の気持ちがちっとも理解できない。

 一度婚約しておいて婚約破棄する、その理由が理解不能だ。それに、こんなにも魅力溢れる女性に対して心ないことができるメンタリティも謎でしかない。そこは男女の差なのかもしれないが。でも、だとしても、ミレーネンと生きていくことで失うものなんてないはずだ。なのに彼はミレーネンを捨てる道を選んだ、そこがどうしても理解不能なのである。

「ミレーネン、これから毎日でも来ていいわ」

 思いつきで言ってみれば。

「……本当!?」

 暗かったミレーネンの面に僅かに光が戻った――ような気がする。

「ええ」

 私は微笑んで返した。

 彼女にこれ以上辛い思いをしてほしくない。
 だからできることはすべてしたい。

「嬉しい……ちょっと家にいづらかったの」
「ご両親に何か言われた?」
「ううん、そうじゃないの。親は味方してくれているのよ。ただ、こっちがあれこれ考えてしまって……それでちょっと」
「ああそういうことね」
「ここにいて許されるならとても助かるわ」
「もちろん! いていて! 友人でしょう」
「……ありがとう、本当に」

 そうよ、辛い時こそ寄り添うのが友。

 だから私は今こそミレーネンに寄り添い力になるの。
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