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後編
しおりを挟む「な、何だよそれ! じゃあはっきり最初から浮気するなって言えばいいだろ、回りくどいことするなよ! 乙女かよ!」
「乙女よ、ある意味ではね」
「さいっていなやつだな! はっきり言わないなんて! それにそれにそもそもお前が色気なくて健全なところが問題なんだよッ!! 婚約者が魅力的な人だったら僕だってこんなことしなくて良かったんだ!」
早速、責任転嫁が始まった。
「もういい! お前なんて要らない、婚約は破棄だ!」
しまいに彼は私を切り捨てるような言葉を発した。
「そう。そちらに言う権利はないけれど……でもいいわ、婚約破棄ね。いいわよ。私も事情によってはそのつもりだったから……」
こうして私たちの関係は終わりを迎えた。
◆
あの後カールはロングヘアの女性と結婚しようとしていたそうだが、婚約破棄してまで乗り換えたという話を勤務先の会社の社長に聞かれて激怒されクビにされてしまったために結婚できなくなってしまったそうだ。
何でもその社長には婚約破棄のトラウマがあったらしい。
だから余計に怒ったのだろう、恐らく。
そうして愛する人と結婚できないことになってしまったカールは、愛も職も失い、廃人となったそうだ。
一方女性はというと、カールと離れて少ししてから病気を貰っていたことが発覚し絶望――そのままこの世を去ったとか何とか。
二人して幸せにはなれなかったようだ。
その一方で私はというと、今は毎日のんびりティータイムをしている。実家での毎日はとても癒される。だから好きだ、とても気が楽で。
また、婚約希望の申し出もちょくちょくあるので、いつか良い人と巡り会えたなら結婚もしたいと考えてはいる。
今はまだその一歩前で穏やかに。
でも、カールと離れたことに悔いはない。
身勝手な二人に振り回されるくらいなら実家でのんびり自分のペースで暮らす方がずっと幸せだと思う。
穏やかな空気を吸って、美味しいお茶を飲んで。
そうやって生きている時間の方が愛おしい。
◆終わり◆
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