婚約候補者である兄弟と顔を合わせたその日、妹は即座に弟を選びました――私に選択権はなかったようです。

四季

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前編

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 私たち姉妹はレツリとクックという兄弟とそれぞれ婚約しようという話になった。それは親が勝手に決めたことで、私たちの望みではなかったけれど、そういうものと思って受け入れていた。

 そしてやって来る相手選びの日。

「レツリといいます、よろしくお願いします」
「俺クック! 仲良くしてくれよな!」

 兄弟は容姿がまったく異なっている。
 しかも雰囲気も。
 兄のレツリは平均的な容姿で真面目な雰囲気だが、弟のクックはかっこいいという言葉が似あいそうな顔面で少々軽そうだが面白そうな雰囲気だ。

 で、妹は、すぐにクックを選んだ。

「クック様! わたくしを選んでください!」
「妹さん?」
「はい! お姉様は地味で堅苦しいですけれど、わたくしは一緒にいると楽しいはずですわ! 一緒にいる方から面白いとか楽しいとかよく言っていただきますの!」

 妹はクックに勢いよくアプローチ。そしてクックもそれを拒まなかった。ガードが固くないタイプの二人はあっという間に距離を縮め、数分で身を寄せ合うくらい仲良くなった。

「じゃあな兄さん! 上手くやれよっ」
「お姉様は精々そこで楽しんでいると良いですわ~」

 妹とクックはあっという間にその場から去っていってしまった。

 残される私とレツリ。
 一瞬で二人きりになってしまって。
 とにかく気まずい。

「ええと……レツリさん、でしたよね?」
「はい」
「すみません、あんな感じの妹で」
「いえいえ」

 でも何とかして話さなくては。
 しんとさせてしまっては申し訳ない。


「少し、何か、話しても構いませんか?」
「え。はい、もちろんです。何でも話してください」

 お互いぎこちない。
 けれども少しずつ言葉を交わしてゆく。

「レツリさんはどのような食べ物が好きですか?」
「食べ物……初めてです、いきなりそういうことを尋ねられたのは」
「あっ。変でしたか? すみません」
「ああいえそういう意味ではないです」
「食べ物とか聞いてしまって嫌だったらすみません……」

 気まずいところからのスタートだけれど、こうして言葉を交わしていると、徐々に距離が近づいていくような気がする。

 妹のように一瞬にして近づく能力はないけれど。
 それでも私なりに努力はしている。
 少しでも心の距離を近づけられるよう一応考えてはいるのだ。

 ――そして、私はレツリと、妹はクックと、それぞれ婚約が決まった。
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