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前編
しおりを挟む女子相撲で世界一を狙っていた私は事故でうっかり死んでしまい、麗しい金髪の持ち主である令嬢エリカに転生した。
「見て、エリカよ。あの娘、婚約破棄されたんでしょ? ぶっふぉ! 面白すぎよね~。美しいのに婚約破棄されるなんて性格ぶすなんでしょうね~」
「ほんと、それよねっ」
「おほほ。ま、そういうことですわよね。女にとって美しさは大事ですけれども、美しさだけではないということですわ。おーっほっほほほろほほ」
しかしエリカは先日婚約者アドリットに切り捨てられたうえ周囲からはあれこれ言われて虐められていた。
これに耐えられなくなった私は、悪口を言っている女性たちのリーダー格の人に話しかける。
「決闘を申し込みます」
「はぁ~? 何を言っていますの? おーっほほほろのほ! 馬鹿じゃないですの?」
「私が勝ったら……もう二度と悪口をひそひそ言わないでください!」
そうして手に入れた、暴れられる舞台。
私は女性を合法的にボコボコにした。
「これでもう何も言わないでくれますね」
「ひっ……」
「良いですか?」
「……わ、分かりましたわよ! もう! 分かりましたわ! だからもう……もう、近づかないで!」
女性は怯えきっていた。
私はそのままその場を後にする。
――その日以降「エリカはとんでもなく強い、凶暴」という噂が流れてしまい、より一層人が近づいてこなくなってしまった。
けれども悪口をひそひそ言うような人はいなくなった。
今はそれだけでいい。
ひとまずそれで定期的に傷つかなくて済むから。
仲良くしてほしいなんて贅沢は言わない。
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