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前編
しおりを挟む婚約者ボルフェンは意地悪な人だった。
彼は容姿はそこそこ整っている。
それゆえ女性陣からの人気も低くはない。
本人の話によれば、一年に数回は結婚希望者が出てくるくらいらしい。
だが!
私に言わせれば、性格最悪! 極悪人!
……でも、私がそう言ったとしても、きっと誰も信じてくれないだろう。
「お前~よわっちぃなぁ~」
「やめてください、叩かないで……」
「はぁ? よえ~んだから仕方ないだろ? 何なら強くなってみろや」
「叩かないでください」
「ばぁ~かばぁ~か! そんなこと言っても無駄ぁ、なぁ~んだよ! 分かるか? お馬鹿さん?」
急に不機嫌になられ叩かれるのはよくあることだった。
だからもう慣れている。
心は麻痺している。
痛みももう痛くない。
――そう思っていたのだけれど。
ただ、その日は違っていた。
「分かりました。では、強くなってみせます」
その日の私の胸の内には反発する心が生まれていた。
「はぁ~? なぁ~に言い出すかと思ったら、強くなるぅ? ばっかだろ! くそだなぁ~、やっぱ脳が腐ってるなぁ~。だがまぁいいさ。なれるものならなってみろ! できたら認めてやるぞ~? ま、無理だろうけどな。どわぁっはっはは!」
舐めているボルフェンを痛い目に遭わせてやる。
その思いを胸に置いて。
私は郊外の格闘家のところへ弟子入りして鍛えることにした。
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